2016.1.21 【福楽の底力@動楽亭】

【福楽の底力】

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今日は動楽亭の福楽さんの会にやって来た。もちろんたまさんが落語+トークで出番ということもあるけど、僕は福楽さんを繁昌亭や動楽亭の昼席で何度か聴いて、落語はきっちりしていてプラス独特の空気感のある人だなと思っていた。つかみどころがないというか、どこまで本気かわからないというか、そんな感じの人にみえた。で、今日ようやくこの会に来ることができた。去年までは2か月に一度を今年から毎月開催していくそうだ。
客席は25人ぐらいか。決して多くはないけどなかなか濃い。僕からしたらアウェーな雰囲気が漂っている。個性的な客席にプラス、スタッフの人も更に独特な空気を身にまとっているようにみえた。
ネタの出てないたまさん、この中で何を掛けて何をしゃべるのだろうか。

愛染 / 平林
福楽 / ふぐ鍋
たま / 桑名船
トーク / 福楽×たま  「今、改めて検証する師弟関係の定義とは」
仲入り
福楽 / お直し

愛染さん、笑顔がいい。「平林」を楽し気にきっちりと。理想的な開口一番だけど、最近聴く機会が減っているのはそのポジションのキャリアでなくなってきてるからか。こういう若手の人の会にもっと行きたいんだけど、なかなかそこまでは難しい。でも今日髪が立ってたの気になった。

福楽さん、上がってなぜか落語の基本の話。見台の使い方とか話し始める。このあたりが意味不明でシュールだ。今日の客席でそんなこと知らない人まずいないと思うのだけど。
噺は「ふぐ鍋」。「どうして落語はふぐ鍋なんでしょうね。関西では言わない。てっちりですよね」。はふはふする様がいい。絶対食べたくなるもんな。下げもスコンと決まる好きな噺だけど、福楽さんだとちょっと不思議な世界になる。

そして、たまさん登場。見まわして春団治さんのこと話し出した。具体的に一門の人の名前が次々出てくる。まあ、僕は福団治さんが継がないなら急ぐことないと思うけど。そこからSMAPの話。僕も騒ぎ過ぎだと思う。国民的スターて言っても興味のない人いくらでもいる。更に、あおばさん、りょうばさん、枝雀家の話とかたまさん絶好調だな。最初珍しく硬いなと思ったけどすぐにいつものたまさんに。
で、「火焔太鼓しようと思ってたけど、やっぱり桑名船します」。しかし、最近頻度が高いな。とんとんと快調に進み、名古屋弁の男を中心によく受けていたのだけど、若侍が船に追いついたあたりのちょっとした間で、太鼓のデンデンが入り、下座に向かって「まだ、下げと違うで」。ここで少し混乱したけど立て直して折り句なしの下げ。先日の落語会で福笑さんから公開稽古受けたところで、折り句を用意していたのかは分からなかった。アクシデントだ。

トークは、まず福楽さんが上がり、たまさんを呼び込む。プログラムに大層なテーマが書いてあって、お互いの師匠、福団治さんと福笑さんが変りもん同士で仲がいいという話から。この間聴いた福車さんといい福楽さんといいやっぱり師匠に習った変りもんの一門なんだ。そこから師匠とは何かプロとは何かという話になって、北海道や広島で木戸銭とって、本まで出して落語家と称してる素人落語家をチクリ。これは関東関西なら絶対できないことだろうな。プロの噺家も口うるさいコアな落語ファンもいない土地だからこそできること。詐欺だと言われてもしょうがないと僕は思う。たまさん「それでも収入を得てるから税務署的にはプロなんです」。
慶応の落研に笑福亭や古今亭という亭号があるてのもびっくりした。
トークはとりとめもなく続きそうだったけど、この辺で福楽さんがスパッと切って仲入りに。

最後は福楽さん「お直し」。江戸落語でネタおろしだそうだ。上方の人が掛けるのは初めて聴いた。廓噺で「お直し」という言葉、今で言う延長みたいなものだけど、がキーになる。福楽さんに廓噺が似合う。風貌といい、今日はちょっと調子悪そうだったけど、声といい色気がすごく感じられる。こういう部分はたまさんも全然かなわない。また調子のいい時に聴きたいと思った。

普段からよく行っている人の落語会は安心で確実に楽しいのだけど、やっぱりいろんな人の会に行かないと、と思っている。それでそんな会に行くと全然顔を知らないお客がたくさんいて、関西の落語ファンも層が厚いなと感じる。それも今日この会に来た値打ちだし、福楽さんという噺家さんに少しでも踏み込めたのもよかった。ぜひこれからも足を運びたい会だな。