2019.2.20 【桂雀三郎 ツギハゲ落語会@ツギハギ荘】

桂雀三郎 ツギハゲ落語会】

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今日も初めての会だ。雀三郎さんが二席するツギハギ荘の会、キャパは詰めて40人ぐらい。どちらにしてもとても贅沢な会だ。そして開口一番は智丸さんで、中は雀五郎さん。こちらもいい顔触れだ。画像のようにツギハギ荘は古民家に近いような建物なので冬は寒い。大阪が少し暖かくなってきた今日、きっと楽しいだろうと開演を待った。

智丸 / 手水廻し
雀三郎 / 一人酒盛
雀五郎 / 花筏
雀三郎 / 不動坊

智丸さんは、今までも何度か言ってきたけど、大阪弁のしゃべりがいい。べっっちゃっとして粘いんだけど乾燥してるみたいな口跡はなかなかお目にかかれない。引っ張って、止めて、また引っ張って、そういうのが自在だな。こんな感じが本当の大阪のネイティブなんだろう。

雀三郎さん、師匠に習った酔態を細かく繰り返して見せる。こういう時はやっぱり枝雀さんにみえるな。で、段々出来あがってくる様が楽しい。だけど、知らない人見たら変な光景だと。そこから 「一人酒盛」、有名なネタの割に聴く機会は少ない。雀三郎さんでは2回目だ。引越しの手伝いに来た友人に、何もしてもらわなくていい、と言いながらあれこれ言いつけて、自分は飲み続けて結局友人には一杯も飲ませない。現実には有り得ないと思うのだけど、よくこんな台本が書けたなと。無理やりな設定を聴き手に納得させる必要があるので難しいんだろうか。だからやり手が少ないのかな。雀三郎さんはもちろん大爆笑だ。

続いて雀五郎さんは 「花筏」、2日前に千朝さんで聴いたところだ。出だしの 「徳さん、おるか」 がなんとも渋い。雀五郎さん、改めていい声してるな。前半はトントンとリズムよく進んだけれど、途中でプロレスの話に脱線させたのが面白かった。この噺、雀五郎さんでは2回目だけど前に聴いた時はこういうのなかった気がする。そして後半、千秋楽に相撲をとらされそうになり帰ろうとする徳さんに、親方が詰め寄る.夜這いの件を責められた徳さん、「へっ!」 とか 「あちゃー」 とか、ここがなんともゆるくていい。そして二人で作戦を練る。一方父親は千鳥を相撲とらせないよう説得する。てことで結びの一番、四人それぞれの思惑が土俵でぶつかり下げに。この下げも好きだな。

最後は雀三郎さん、松竹座の 「天下一の軽口男」 に出ていた話から、関ジャニの人が出ていたので、客席は30前後の女性ばかりで落語会とは客層が全く違うと。なんか楽しそうな仕事でいいな。そこから、講談師と噺家の違いの話になって 「不動坊」。僕はこの話がとても好きで、特に雪がしんしんと降る中で男たちがあほなことする場面がたまらない。そして雀三郎さんのは、お滝さんをと家主に言われて喜びまくる利吉、怒る三人の男たちと感情表現がぶっ飛んでるのがいい。最後はいろいろ企んだのが失敗してとんでもないことに。
「遊芸稼人」 てのは字面も音もいい言葉だな。しかしこの噺、お滝さんはそこにいるんだけど、セリフな一つもないんだな。こういうこと作者は意図的にやってたんだろうか。

初めての会、小さな小屋での昼夜公演。雀三郎さんは900キャパのブリーゼで独演会をする人なんだけど、こういう小屋でも落語会をする。そしてなぜか40人キャパが満員にならない。それが不思議だけど、僕らにしたらこんなにいい環境で雀三郎さんの落語を聴けるのは何よりだ。だけど、小屋のキャパに応じてなぜかお客さんはやってくる、て誰かが言ってたけどそういうことはあるんだな。どちらにしても、この会もまたおじゃましたくなった。最近魅力的ないい落語会がほんとうにたくさんある。