2016.1.23 【千朝落語を聴く会@太融寺本坊】

【千朝落語を聴く会】

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千朝さんが2か月に一度、土曜日の午後という一番行きやすくてリラックスできる時間に開いている楽しい会だ。僕にとっては梅田徒歩圏てものいい。この太融寺ではいろんな落語会が開催されているが、おそらく一番客入りのいい会だと思う。週末大寒波の到来予報にも関わらず今日もよく入っていた。

弥太郎 / ふぐ鍋
千朝 / 植木屋娘
文華 / 打飼盗人
千朝 / 三枚起請

弥太郎さん、今日はかなりよかった。「ふぐ鍋」は吉朝一門の鉄板ネタで、みなさんしはるけど全然負けてなかったのでは。噺の抑揚に沿って全編すごくリズミカルに流れていて自然な笑いが随所で生まれる。かなり理想的な高座だったと思う。僕は特にふぐ好きでも鍋好きでもないけど、この噺聴くとやっぱりてっちりが食べたくなる。

千朝さん、一席目は「植木屋娘」。元々好きな噺なんだけど、先日たまさんが高座に掛けた時に言ってた、なぜみなさんあまりしないのか、という理由に結構納得がいって、それは演者からみれば客席が決して大受けしてるようにはみえにくいから、あまりやらなくなると。しかし、千朝さんのはそういう理論を越えていて、もう大爆笑の連続だった。千朝さん特有の細かい所作や合いの手に近いような一言ギャグ~一発ギャグではない~を入れまくって、もう遊びたおしてた。初めて千朝さんを聴いた落語ファンがどう思うかなというのもあるけど、いつもの千朝ファンは堪能しただろう。
遊ぶていうのは客席からそう見えるだけなんだけど、落語の本来の流れに加えて、いろんな所作やギャグをこれだけ入れて一切噛むこともなく流れるようすすめるてのはかなりすごいと思う。
そして、たまたまその日の夜にラジオで米朝さんの「植木屋娘」がかかってて、聴いてると落語としての流れは千朝さんほとんど同じだ。だから当然落語の基本的なおかしみも十分感じることができると。

続いて文華さん、学校寄席の話で去年60回ぐらい行ったと。みなさんまくらでこの話題よくされるけど、そんなに行ってるんだ。僕らが子供の頃は浄瑠璃お能を学校でみた記憶はあるけど落語はないな。だから潜在的に落語や漫才は他の古典芸能とは違うものだと思っていた。今も多分漫才は学校でしないと思うので、落語がその世界ではこっち側からあっち側に移ったということなのかな。いいことなのかそうでもないのか、どうなんだろう。
で、文華さん、そこから泥棒の話題に移って、例の泥棒の分類が十ほどあるやつの説明。これ好きです。覚えられんけど。
ネタは「打飼盗人」。別名「逆様盗人」でそっちの方が分かりやすいやんと思ってて、以前打飼てなんだと調べたら簡易な小物入れみたいなものらしくて、なるほど演題が下げにつながるんだと納得した。
文華さん、失礼だけどなんか顔が泥棒噺に合ってる。三喬さんの次ぐらいに合ってる。特にこの噺は泥棒が知らない間に家の男に翻弄されるんだけど、間抜けな人の好さがよく出ていて楽しかった。

最後は千朝さん、「三枚起請」。最近どうも二席する場合は、最初の一席をギャグてんこ盛りにして、もう一席を比較的きっちりということが多いように思っていてたら、こっちもそこそこギャグ盛りだった。
で、この噺はおやまの小輝をどう表現するかだろうけど、三人に書いたのがばれて豹変して開き直るところがいいな。それと下げの小輝のセリフも粋だな。

いろんな会のブログを書いてるけど、千朝さんのは意外に書きにくい。イレギュラーなことがあまりなくて、いつも通り爆笑で、いつも通り楽しく終わる。それが実は一番すごいことなのかもしれない。これからもそんな会であってください。