2019.2.18 【千夜九夜物語・第11夜@繁昌亭】

【千夜九夜物語・第11夜】

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かつて米朝さんが発売したLP全集・23巻について、基本発売順にかけていくという好企画の落語会も今日で
11夜目になる。そろそろ折り返しが近づいているのか。千朝さんと九雀さんという個性の違う達者な二人が、いつも二席ずつ取り組んでいく贅沢な会。今日もいいネタが並んでうきうきしながら開演を待った。

九ノ一 / 東の旅-発端~煮売屋
千朝 / 貧乏花見
九雀 / 京の茶漬
千朝 / 花筏
仲入り
九雀 / こぶ弁慶

九ノ一さん、あがっていきなり 「発端」、九ノ一さんで聴くの久しぶりだし、まさか予期してなかったので意表をつかれた。でもそんな中での 「発端」 はなかなかシュールに聴こえて楽しかった。大体僕はこの噺がかなり好きなんだ。リズム落語というか~僕が勝手にそう呼んでるだけなんだけど~九ノ一さんのようにテンポよく元気に進んでいくと、この噺は本当に聴いていて気持ちがいい。開口一番だけど25分、たっぷりと煮売屋のじき醒めまで。

千朝さん、昔の給食の三角食べとかうさぎ跳びやらされた話で受ける。いつもながら、同年代なのでこの人のこういう話は可笑しくて仕方がない。そこから 「貧乏花見」、この噺聴くと春だな。千朝さんは貧乏に負けないバイタリティの噺だと。本当にそうだな。で、花見に出かけるまでのわちゃわちゃがとても楽しい。ぶつぶつ言いながらもみんな前向きなのがいい。しかし、裸にスミて、ここで爆笑。千朝さんご陽気に踊って桜の宮に登場。場所の設営でもまた爆笑。今日はこの辺りまで。後半の喧嘩の件も聴きたかったけど、今日はさすがに時間がなかったか。

続いて九雀さん、九ノ一さんの発端を楽屋で聴いていてお二人がこれの稽古をしたのはもう40年以上前で、最近はやらない一門も多いらしい。そして、この会完結までまだ14~15回かかりそうだと。僕もそこまで元気でいないと。そこから本音と建前の話をはさんで 「京の茶漬」。京都の建前文化をよく表した話だと。僕は上方落語の隠しテーマの一つに 「京vs大坂」 てのがあると思っているんだけど、その代表的な噺だ。「お茶漬けでも」 と言わせたくてわざわざ京まで訪ねていった大坂の男、明確な目的を持っている方がやはり強くて、言わせることに成功する。でもその後もまだバトルは続く。九雀さんのは二人の気持ちの変化が手に取るように分かって楽しかった。

そして千朝さん、昔の子供はスポーツと言っても野球か相撲ぐらいしかすることがなかった。そして相撲遊びでもいろんな子がいて、個性的な相撲取りもたくさんいたと。そこから二席目は 「花筏」。今日改めて感じたけれど、千朝さんのは間のない間だな。そして会話中の二人を全く演じ分けない。それでも面白くてこういうストーリーものなら筋を知ってても先が楽しみでわくわくする。やっぱりこの人の噺はずっと聴いていきたい。後半、徳さんと親方の思惑、そして千鳥と父親の会話。その四人の思いが交錯する土俵上。で、勝負がついて下げ。この下げも好きだな。スコンと落としてこその下げなので、そんなスコン感がいい。

最後は九雀さん、再び九ノ一さんの 「発端」 に触れて、先ほどのは東の旅の最初の話、今からするのは帰路の大津の宿、同じ東の旅の最後の方の話だとl断って、「こぶ弁慶」。宿探しで声掛けられて 「定宿ある」 でキャッキャ言う喜六。おなじみの風景からスタートだ。旅館にあがって食事になって、なぜか両隣を始めそれぞれの部屋の客と一緒になって数十人の大宴会に。このあたりのどんどん増えていく様がわくわくを増幅させる。そして喜六清八を差し置いて、この噺の主人公 「壁土を食べる男」 が登場する。そこからはとんでもない展開になるのだけど、九雀さんはリズムよくトントンと運ぶので、余りとんでもなさを感じないで噺に入り込んでしまう。しかし、男とこぶの弁慶の掛け合いは楽しかったな。で、このネタも下げ前から下げに至るまでの展開も好きだ。察しがつくけれどでもいいな。なかなか聴く機会が少ないので、もっと聴きたい噺だ。

今日も4席+「発端」で堪能した。でもあと14~15回というと5年ぐらいかかるのかな。なんとかコンプリートしたいものだ。そしてこの会はプログラムがLPジャケットをもじった形になっていて、それをもらうのも楽しみ。今回からまた色が変わった。全部集めるよ。

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