2018.2.19 【千夜九夜物語・第8夜@繁昌亭】

【千夜九夜物語・第8夜】

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千朝さんと九雀さんが、かつてのLPの米朝全集23巻を1巻からほぼ同じネタでかけていくというマニア垂涎の企画で、今日はその第8夜。いつも通り楽しみなネタが並んでる。そしてもう一つのお楽しみはこのプログラム。
当時のレコードジャケットを模したもので、中にはお二人の高座写真と楽屋でのなにげないスナップ。創った人のセンスをすごく感じる。さあ、今日もたっぷりと聴かせていただこう。

弥っこ / 煮売屋
千朝 / 住吉駕籠
九雀 / 皿屋敷
千朝 / 鴻池の犬
仲入り
九雀 / 親子茶屋

九雀さんのお弟子さんの九ノ一さんがインフルエンザ、そしてお囃子の岡野鏡さんが風邪の発熱で休演と、九雀さんから丁寧なお詫びが配られていた。ということで、開口一番は弥っこさん、お囃子は九雀さんの奥さんの高橋まきさんが代演だ。

弥っこさん、あがって代演の旨伝えてネタに入る。「煮売屋」だ。「発端」も含めて僕はこの噺結構好きなんだ。最近は若手の人が以前ほどやらなくなっているようにも思えるけれど、弥っこさん、今日もいつも通りきっちりと語っていく。口跡もきれいで聴きやすくて堅実そのものの高座だ。ますます先が楽しみになってくる。

そして千朝さん、いつもの小ギャグを軽くかましてから 「住吉駕籠」。こんな大ネタを二席目で聴けるのもこの会の魅力の一つだ。千朝さんでは三回目だけど、前半の侍と駕籠屋のやり取りで爆笑。そこから河内の狭山が登場。僕はこの場面がこの噺の肝だと思っているのだけど、酔っぱらいのからみかたで気持ちよく笑わせられた。三度目のリピートの返しがもっと速攻だったらなおよかった。
だけど千朝さんも、独特の言葉にかぶせるような間で、これは好みだな。決してテンポが速くは感じないのだけど、時間あたりの言葉の数はかなり多い気がした。

続いて九雀さん、休演のお詫びの後に九雀さん独自の風邪予防対策を披露。効果あるのかもしれないけれど、僕もまきさんと同じ理由でやってみようとは思わないな。そこから一席目は 「皿屋敷」、九雀さんでは二回目。前半のお菊が死んで幽霊になって青山鉄山を呪い殺すまでの件をきっちりと。この辺り割と流す人もいるけれども、後半の可笑しみがより活きてくるからあまり抜いたりしない方がいいと思うけどね。そして後半、みんなで見に行く場面がガヤガヤと楽しい。更にお菊のとぼけキャラもツボにはまる。九雀さんの芝居噺の所作が僕はとても好きなんだけど、この噺でも前半の殺陣というか立ち廻りの場面の切れ味と大きさがよかったな。

千朝さん二席目は、テレビの動物番組いらってから 「鴻池の犬」。以前は千朝さんでよく聴いていたけれど今回久しぶりだ。冒頭から丁稚の常吉登場。定吉でなく常吉。後、常吉の噺といえば 「次の御用日」、それ意外には何かあったかな。なんてことないんだけどちょっと気になった。で、旦さんと鴻池手代の会話のテンポがいい。特に旦さんの心境の変化がくっきり分かって噺にメリハリがつく。この会話の中で天赦日という言葉に初めて引っかかって、年に数日しかない縁起のいい日らしい。こういう言葉、僕は分からなければ調べるので、解説はない方が好きだな。そして後半の鴻池家の場面、千朝さんのこの噺はクロの貫録がとても頼もしく感じる。犬としての強そうな所作も楽しい。そして小ギャグはさんで通常の下げに。

最後は九雀さん、最近は三田でお父さんと暮していることが多いそうで、噺家の飲む打つ買うから、三田の飲む打つ買うはとても健康的だと。そんな噺いろいろから 「親子茶屋」。聴いててふと気が付いたけれど、九雀さんの今日の二席は、どちらも三代目の鉄板噺じゃないか。てことはやっぱり 「皿屋敷」 「親子茶屋」 も米朝さんから三代目にいったのかな。そんなことを想像するのも楽しかった。
それで、噺は冒頭から親子の対決、きつい父親も息子のへ理屈が勝つように見せるのが落語の面白いところ。息子のキャラが軽くてよかった。後半のお茶屋の件も続けて息子が楽し気だ。父親も実は遊び人ということだけど、この噺あくまで息子が展開していくようになっている。両者が際立った九雀さんのはとてもよかった。

ということで第8夜も楽しく終了。僕はもちろんコンプリートを目指している。まだ5年以上かかると思うけれど、すべての落語会よりもこの会を優先させるとこにしている。でも先が長いので、まず通える身体を維持し続けなければ。もちろん演者のお二人にもそれは言えることなので、ずっとお元気で続けていただきたい。
そして、今日はオリンピックの女子カーリングがあったからか、前回より客席が少し寂しかったけれど、本当にいい会だと思うので、ぜひ皆さんに来ていただきたいなと思ってる。次回はまた4か月ほど先になるのかな。とても待ち遠しい。