2019.2.19 【生喬まるかじりの会2019~一席入魂~@動楽亭】

【生喬まるかじりの会2019~一席入魂~】

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生喬さんの 「まるかじりの会」、今年はゲストと二人で長講一席ずつ。そしてもちろんトークもあり、というとても注目のプログラムとなっている。先月スタートのゲストは吉坊で、今月は紅雀さん。そして来月以降もいいゲスト陣が続く。落語をやって、そのネタの話を中心に二人でトークして掘り下げるという、生喬さんとゲストの方どちらのファンにとってもすごく楽しみな企画だ。さて今日はどうなるのかと考えながら開演を待った。

生心 / 寿限無
生喬ばなし
仲入り
生喬 / らくだ
生喬・紅雀 / トーク

この会は開演前に前座として毎回生心さんが登場する。生喬さんの新しいお弟子さんだ。先月に次いで二回目、今日は 「寿限無」 だ。口の動きが少し気になったけど、しつこくてくどい口跡が何か化けそうな気もする。

続いて生喬さん上がっていろんな話し。京都の綾部での三扇さんの会の話、そして師匠の話。三扇さんの娘さんの話。なんか人柄出て楽しい。

そしてゲストの紅雀さん、久しぶりに落語するとかだけど、聴くのは今年3回目。メールの返信のことで雀五郎さんいらってから 「天狗裁き」、年末の雀喜さんとの二人会で紅雀さんでは初めて聴いた。その時も感じたけど、紅雀さんのは女房のお咲さんがとてもいい。最初優しく、そして怒って喧嘩になって、感情表現が細かくて多彩で、聴いていてとても楽しい。隣人、家主と登場人物がみんな少し派手目なのが紅雀さんらしいか。そして最後は天狗、これも怖さよりも面白さが勝ってる感じで、かなり楽しい 「天狗裁き」 だった。  

仲入り後はいよいよ 「らくだ」 だ。大阪には 「らくだ」 マニアと言われる人たちがいて、ネタが出ていれば演者が誰でも足を運ぶらしい。果たしてそういう人がホントにいるのかは未確認だけど、やはり今日も大勢のお運びだ。 そして僕はこの噺とりわけ好きというわけでもないんだけど、やはり僕自身の傾向として米朝一門の方がよく聴いてる。でも生喬さんでも今日で3回目だ。生喬さんのは冒頭から熊のやたけたぶりと屑屋の善人さがどちらも強調されていて対照が際立つ。無理難題を要求する熊、いやがるけれどしかたなく従う屑屋。だけど、結局は要求をのませる屑屋の交渉力もなかなかだな。そして、らくだが死んだことを聞かされた時のみんなのうれしそうな顔ときたら、らくだがかわいそうに思えてくるぐらいだ。後半になって、屑屋が飲み始めてじわじわと変わってきて、熊との立場が逆になってくる。で、屑屋の長い独白から葬れんの準備、無茶をする屑屋。千日前の火屋へ。そして下げ。一番印象的だったのは、かんかんのうを躍らせる場面での熊の力の入れようがありありとわかったところ。これがあってこそ、かんかんのうを家主が怖がったことがリアルになると思う。さすがにとてもいい 「らくだ」 だった。

最後は生喬・紅雀、二人のトーク。この会はトークでの芸談やネタの話もとても楽しみだ。生喬さん、「らくだ」 は 15年前に師匠から習ったと。師匠の先代松喬はでもあまりやらなかったらしい。そしてなんと兄弟子の当代松喬さんには生喬さんが頼まれてつけたと。ここで、元散髪屋の先代松喬のカミソリの持ち方のこだわりの話が面白かった。で、生喬さん、紅雀さんのことを直感で落語できるところが素晴らしいとほめる。僕も同じだ。「天才紅雀」だと思っている。三重vs滋賀、お互い出身地の田舎話も楽しかった。
ここで、生喬さんが振って、「今、どのネタが好きか」 という話になる。紅雀さんは 「除夜の雪」 の後半じゃなくて、前半の寺子三人の会話の場面が好きだと。紅雀さんの 「除夜の雪」 も年末に聴いた。僕もこの場面がとても好きなんだけど、紅雀さんのはやはりこの場面が強調されていて面白かった。対して生喬さんは 「三人兄弟」  が好きだと。かなり珍しい噺で、調べたら僕は7年前に生喬さんで聴いた一度きりだ。でも噺の内容はよく覚えている。演者の方のこんな話はなかなか聴けない。今日のトークもとてもよかった。

生喬さんの会と言えば、客席をおっさんが圧倒することで有名だったのだけど、1月2月と女性客も多い。ゲストが吉坊と紅雀さんだからということもあるんだろうけど、でも3月も花丸さんだから、またこの傾向は続きそうだ。そして花丸さんのネタは 「たちぎれ線香」 。対して生喬さんは彼岸の月に 「天王寺詣り」 だ。これも見逃せないな。今日5月以降のチラシをいただいたけれど、南天さんの 「算段の平兵衛」 を始めいいネタが並んでいる。今年はこの会、皆勤を目指すかな。