2019.2.16 【雀五郎体力強化の会・その112@高津の富亭】

【雀五郎体力強化の会・その112】

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さて今日は高津の富亭で毎月開催されてる雀五郎さんの会、この会の客席は、レギュラーメンバーの比率がとても高くて、しかもみなさんほぼ同じような席につかれているので、毎回一定の空気が流れている。そして、先日のツギハギ荘のように、突飛な客に閉口することもなく、いいネタの並びを楽しみに開演を待った。

大智 / 化物使い
雀五郎 / 厄払い
小鯛 / 尻餅
雀五郎 / がまの油
雀五郎 / ねずみ

大智さんから。まくらで雀五郎さんとの話題を振ろうとするも話題が見つからない、というのが話題になってて面白かった。そして噺は 「化物使い」。冒頭の奥さんのしゃべりがポンポンといいテンポで進む。それにしても大智さんの落語は、不器用そうに見えて案外小技使ってそうだったり、何より楽しそうにやってるのがいいな。そして泣かされた一つ目小僧が目に浮かぶ。

雀五郎さん、一席目は 「厄払い」。それほど聴く機会の多くない噺だけど、雀五郎さんでは3回目だ。昔は年末になると町中を回って一年の訳を払う、厄払い屋という商売が普通にあったそうで、しかしそういう人は年末以外は何をしているのだろうかと思ったりする。それはともかく、この噺の雀五郎さんは、視線の送りがとてもいい。そして厄払いをさせてくれない相手に向かっての 「ケチー」 で受ける。そんな大層な話でもないけど、結構雀五郎さんを堪能できる。

続いて小鯛さん、「尻餅」 この噺好きなんだけど、今年の冬は聴いてなかったのに気づいた。冬の終わりに聴けてよかった。ここに出てくるのもいい夫婦で、なんやかや言いながら亭主の言うことをきいてやるやる女房というところだ。でも小鯛さんのは亭主が優しそうなのがいい。お尻叩くのも抑えてる感じだ。そして、リズムがとてもいい。擬声語ていうのか分からないけど、「ゲーフー、ゲーフー」 ていうところとか、小鯛さんのニンにぴったりに仕上がってる。で、この噺はきっとあの方からだと思ったのだけど、どうなんだろうか。

この会は5席中入りなしなので、引き続き雀五郎さん二席目は 「がまの油」。以前は誰がやっても大差のないネタていう気がしてあまり好きになれなかったのだけど、最近随分楽しいのを聴いて見方が変わってきた。雀五郎さんでも一度だけ聴いている。で、雀五郎さんのは前半の長い口上が流れるようで見事だ。そして後半の酔っ払いのベロンベロンの様がまた楽しい。下げ前に腕を切ってしまいあたふたするところ。がまの油を塗って塗って、ひと貝全部塗ってしまっても止まらず半泣きで下げへ。これも好きな下げだな。

雀五郎さん最後は 「ねずみ」。人情噺というか、勧善懲悪というか、同じ甚五郎物でも 「竹の水仙」 とはかなり印象が違う。それはやはり、前半で 「ねずみや」 親子の余りの不遇ぶりに気持ちが引いていしまうところがあるからか。そして、甚五郎登場で一気に形勢は逆転し、スカッとするとか言うとヒーロー物みたいだけど、あくまで甚五郎は冴えないおっさんの色が濃い。雀五郎さん、そんな話を淡々と語りすすめる。こういう噺が一番合っているのかなとも思う。そして下げへ。僕の好きな下げが続いた。

毎月3席の雀五郎さんの会、やはり古典の持ちネタが多い人の会はいろんな噺が聴けて楽しい。しかも毎月開催、て言うかネタが多いから毎月開催で、いつも3席とかが可能なんだな。今日の3席でも全く方向の違う噺だけど、どれも楽しい。そして、3月4月もいいネタが並んでる。 

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2019.2.13 【喬介のツギハギ荘落語会】

 【喬介のツギハギ荘落語会】

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今日は、ツギハギ荘の喬介さんの会に初めてやって来た。喬介さんはそこそこ聴いてると思うのだけど、自分の会は多分初めてだ。一門会やユニットの会、ゲスト枠や開口一番で聴いてきたのがほとんどだと思う。ゲストも開口一番もなしの完全なひとり会、ならどんな落語をかけるのか、楽しみにして開演を待った。

喬介 / 三人旅
喬介 / 借家怪談
仲入り
喬介 / 転宅

一席目は師匠の話、一門会の話から 「三人旅」、もちろん東の旅の中の噺なんだけど、余り聴けない。調べたら喬介さんで4年前に一度聴いていた。後は喬介さんも言ってた、しん吉さんで数回。それですべてだ。しかしこの噺、いろいろと言葉があれだな。なんて言うか、今は普通に使えない言葉がバンバン出てくる。こういうのを聴くと当時のそういう言葉の捉えられ方が分かって興味深い。そして馬方の言葉の迫力と汚さに圧倒される。喬介さん、入門当時師匠から二番目にこれを習ったそうだけど、さすが笑福亭、というか、米朝一門とは全然違う。

続いて二席目は、幽霊になるための五つの条件から。これはよく聴く。先週も生喬さんで聴いた。その時は「猫魔寺」 だったけど、ここではさんだある有名歌手の礼儀正しさの話がよかった。そしてネタは 「借家怪談」、なるほど。喬介さん、三人旅でもそうだけど表情がとても豊かだ。そしてこの噺では前半の真っ当な借家人を幽霊の恐怖で煽って帰らせた後、次の柄の悪い借家人にも同じ手を使うけれど、全く動じなくて狼狽える様がいい。やたけた全開で幽霊と婚礼あげるから仲人紹介しろとまで言われる。そして僕はこの下げがとても好きだ。正体見たり………、てとこだな。

仲入りはさんで三席目は 「転宅」。先月2月にやると約束していたらしい。まくらで去年の1月御坊の落語会で1年以内に結婚することも目標にした話を振る。もう残りの時間は少ない。そして 「転宅」最近聴いたなと思っていたら、この日曜の 「上方落語をきく会」 のラジオで師匠の松喬さんがやっていた。これは大爆笑だったな。喬介さん、泥棒が登場した時の表情がいい。そして、お杉が 「あんた、誰?」 て言うところの間がとても好きだ。男のおとぼけぶり、お杉のだましっぷり、そして向いのおっさんの楽しそうなしゃべり、と聴きどころ満載だ。「あんた、平屋だっせ」も爆笑だった。師匠に負けずとても楽しい 「転宅」 だった。

恭介さんのリラックスしたはじけっぷりがとてもよかった。毎月あるのならまた来ないといけないな。それにしてもツギハギ荘の落語会はいい空気になるな。最近繁昌亭よりも来ることが多いかもしれない。
残念だったのはただ一つ、落語会とは関係ないんだけど、終演後ダッシュで行った 「くにし」 に入れなかったことだな。

2019.2.9 【岡町南天の会@伝統芸能館】

【岡町南天の会】

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さて今日は「岡町南天の会」。二か月に一度の会だけど、交互にやってる太融寺の会とは客層がかなり違う。もちろんいつもよく出会う南天ファンの方々もきっちりいるのだけど、やっぱり郊外なので地域寄席っぽくて、地元のおっちゃんおばちゃんが主力になる。おそらくこの人たちは南天さんのラジオなんか聴いているんだろうなと。南天さんこの会では、平日昼間にしたり、昼夜公演にしたりといろいろ積極的に取り組んでいるのが分かるんだけど、今日は11時と14時半開演という朝昼公演だ。地元の人には休日夜よりむしろ朝の方が来やすいのではと考えての企画。僕が行ったのは14時半の方で多分100人ぐらいの大入りだった。
てことで、ネタおろしの 「小言幸兵衛」 を楽しみに開演を待った。

弥太郎 / 阿弥陀池
南天 / 小言幸兵衛
生喬 / 怪談・猫魔寺
南天 / 貧乏神

弥太郎さん、「阿弥陀池」 は南天さんからで、なんと今日がネタおろし、だと。まあ、朝公演があるので正確には二度目になるんだろうけど、それにしても稽古つけてもらった人の会の開口一番でネタおろしてのはそうそうないと思う。で、特に緊張もみえずに、会話がこなれてて楽しいし、所作も大きくていい。ネタおろしでこれならかなり先が楽しみだ。そして、南天さんネタおろしの 「小言幸兵衛」 に期待が高まる。

南天さん、上がって弥太郎さんの話から姫路の落語会に着物一式忘れて浴衣で上がった話、もちろん爆笑。そこからネタおろしの 「小言幸兵衛」 、この噺以前南光さんで聴いたことあるな。江戸ネタっぽいけど、元々は上方の 「借家借り」 だな。南天さんのは、冒頭で長屋の連中つかまえて小言言いまくる幸兵衛がそれほど嫌味でなくて、なんか親切で言っている感も少しあって、これが南天さんの落語なんだと納得させるものがある。そして下げ前の北海屋の件で顔芸炸裂。とても南天さんらしくて楽しい。そもそも僕は幸兵衛さんが嫌いじゃない。これからどう育っていくのかまた近いうちに聴きたい。

続いて生喬さん、もちろん大阪芸大落研時代からの同期で、入門も同期。友でありライバルでありという関係。これまでお二人の若い頃の話いろいろ聞いてるけれど、南天さんの卒業制作の話は初めて聴いた。当時から普通でなかったのか。そしておなじみお化けと幽霊の違いからだけど、岡町の客にはこういう話がよく受ける。で、ネタは 「怪談猫魔寺」、生喬さんでしか聴いたことなくて今日で6回目。こういう古典も珍しい。なので他の人と比べることができなくて、情景は怪談なんだけど、全く怖くない生喬さんの語りがむちゃくちゃ面白い。特に手招きで猫が井戸からひょこひょこ出てくる場面がたまらない。そしてそれが仕込みで、下げ前にばあさんがひょこひょこ。情景がみえてきて爆笑だ。そしてバカバカしく楽しい下げ。この話大好きだ。

最後は南天さん、生喬さんが振った落研時代の話をかるく返してから、関西人は神さんに対して馴れ馴れしいと。えびすさまがえべっさんになる、で爆笑。まあ、神さんをそれだけ身近な存在として関西人は日々暮しているのだろう。そこから 「貧乏神」。小佐田さんが枝雀さんに書いた噺だけど、これはもう南天さんの鉄板の一つだと思っていて、今日で聴くのが5回目だ。そして他の人で何人かは聴いているのだけど、ほぼ生喬さんの「猫魔寺」に近い。この噺の一番好きなのは、貧乏神の男に対する女房感というか、「ほんまにあの人はしゃあない人や」 と聴き手に匂わせるところだ。そして自分のサイフから金をくすめて飲みに行った男に見切りをつけて去っていく。とてもいい人情噺で小佐田さんの傑作の一つでもあると思っている。

てことで、今日の2回公演、南天さんによると朝公演は昼の半分ぐらいの入りだったとのこと。どうも南天さん今一つと考えてる感じでこの先あるかは微妙なのかな。そして、この伝統芸能館は最近随分いろいろな落語会が開催されていて、明らかに会場についてるお客さんてのがいるように思う。そういうのが地域に根付いてくるというのは二つ隣の駅に住んでいて岡町も地元みたいなものと思っている僕にとってもうれしいことだ。この会場がますます落語会で賑わっていけばいいなとずっと考えている。

2019.2.5 【動楽亭昼席】

【動楽亭昼席】

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今日はとてもいいメンバーだったので、動楽亭昼席へ。随分久しぶりだと調べたら、去年の6月以来だった。結構混むのではと思っていたけど、結果的には30人弱ぐらい。しかもほぼ知り合いがいないという中で、今日来てる人たちは、果たして誰のファンなんだろうと考えながら開演を待った。

弥っこ / 時うどん
雀五郎 / 手水廻し
紅雀 / いらちの愛宕詣り
米左 / 七段目
仲入り
米團治 / 稽古屋
雀喜 / 帰り俥

弥っこさん、「時うどん」 は吉朝一門なので一人時そばバージョン。やっぱり僕は普通に二人バージョンの方が面白いと思うのだけど、東で 「時そば」 を二人バージョンでする人がいるように、「時うどん」 の一人バージョンもあった方が楽しい。確かに一人の方が笑いは少ないんだけど、何て言うか、あっさり味の方がいいと思える時もある。この噺は東西合わせて4パターンてことでいいのでは。そして、弥っこさんは今日もきっちり。

続いて雀五郎さん、「手水廻し」 は随分久しぶりだなと思っていたら、2年以上聴いてなかった。て言うか、雀五郎さん以外でも最近ほとんど聴いていない。前座噺のはやりすたりてのは確かにある。だけどやはり、雀五郎さんの 「手水廻し」 は面白すぎる。今まで聴いた 「手水廻し」 の中で一番面白いと思っている。雀五郎さんの落語の肝は困惑の表情と、そんな時の目線の少し遅れるような動きだと思っているけど、それが独特の間につながる。そして田舎言葉がいい。不審顔の女子衆がいい。長い頭を見上げる様がいい。「大阪の朝がやってまいりました」 と言う喜助の間もいい。やはり、雀五郎さんのこの噺はもっと聴きたい。

そして紅雀さん、奥さんと娘さんがインフルエンザにかかって、なんか家の中でのけもんみたいになってると。そこから大坂なおみの話で、テニスの点数の数え方でうんちくを一つ。これは知らなかった。確かに疑問に思っていたけどわざわざ調べなかった。で、ネタはまくらとは何の関連もなく 「いらちの愛宕詣り」。これも紅雀さんの鉄板だ。いきなり男が飛び込んでくる場面から勢いが全然違う。僕はこの噺も好きなんだけど、愛宕さんは西なのに間違えて東へ行くおっさん、天神さんや、と言われて気がつく。北野天満宮だ。この辺割と知ってるので地図が立体的に思い浮かぶ。そしておとぼけのおっさん、こういうのは紅雀さんの独断場だな。さいごまでハイテンションで楽しかった。

次は米左さん、最近あまり聴いてなかったけれど、文楽1月公演の阿古屋の話に始まって、浄瑠璃のこと、歌舞伎のこと、長いまくらだ。何を掛けるのかとずっと考えていたら、ストレートに芝居噺で 「七段目」。とにかく声が大きい。2列目で聴いていたから。でも全然やかましくなくて聴いてて気持ちよかった。お七のところだけじゃなくて、終始芝居ぶりが楽しかったし、所作はもちろんだけど、顔も表情も芸だな。二階に上がった定吉のセリフで四天王とかいろんな人が登場したのもよかった。下げは 「いいえ、七段目」 逆のパターンもあるけど、僕はこの方が好きだな。

仲入り後は米團治さん。上がってきて、なんか派手な羽織だと思っていたら、今年還暦だそうで、その祝いにつくってもらったと。そして芸歴40周年だと。それにしても今更だけど華があるな。繁昌亭である人の独演会にゲストで出た時、急に外人の団体が入ってきたこと分かって、その言葉を速攻で覚えてあいさつしたと。そして縁があってフランスで落語した時披露した小噺を。これは何かすぐに分かった。そこからネタは 「稽古屋」 .踊りの所作がきれいだな。そして喜六のあほっぷりも楽しい。僕は米團治さんは、自分のこともうあほぼんとか言わずに、普通にきっちり落語すればいいのにと思っている。重ねて言うけど、今東西噺家の中でこの人以上に華のある人いないと思うから。

最後トリは雀喜さん、上がって、米團治さんに振られてたこともあって、中国語落語をさわりだけ。今年も8月に繁昌亭で会をするそうだけど、何の噺なのか分からなかった。やっぱり難しいものだな。
そして今日のメンバーは他には新作派は一人もいない。そんな中でトリで新作するのかどうか注目だったけれど、浅草で長男と人力に乗った話になったので、え、古典、と思ったらなんと 「帰り俥」。小佐田さんが雀三郎さんに書いた噺だ。雀三郎さんでは何度か聴いていて、その息も伝わって楽しかった。これから雀喜さんの色にどう変わっていくのか楽しみだな。

以上6席、みなさん楽しかった。やっぱり、繁昌亭と喜楽館も含めて、本当の寄席の落語をもっと聴かないとと思った。でも正直今日は良かったけれど、聴きたくない人がいると行く気がしないのもそれぞれの昼席。で、それはもう仕方ないという気持ちもある。わざわざ落語聴いていやな気分になるのはごめんだからね。

2019.2.1 【図書室の落語会~すぴんおふ ちまる@天満橋・Spin off】

 【図書室の落語会~すぴんおふ ちまる】

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今日は天満橋で、智丸さんの落語会読書会だ。3回目でようやく来ることができた。場所は駅近だけど少しややこしい雑居ビルの中。でも5Fまで上がって部屋に入ってみると、それほど広くないところに約3000冊ぐらいか、ぎっしりと本がつまっている。しかも僕好みのがいろいろあって目移りする。今日智丸さんに聞けなかったのだけど、そもそもここはどういうスペースなんだろうか。そして高座には自作という五枚笹のかわいい見台。なんとも居心地のよさそうな空間で開演を待った。

智丸 / 寿限有
白鹿 / 転失気
智丸 / カフェ役者 (桂米輝・作)
仲入り
読書会~課題本 「コンビニ人間 / 村田沙耶香

智丸さん、上がって読書会のこと、村田沙耶香のこといろいろ。文芸青年がたまたま落語してる、ていう感じがしてなんともいいな。そして大学時代にコンビニでバイトしてたと。客のたばこの銘柄まで覚えるらしい。
そこから噺は 「寿限有」 でいいのかな。「寿限無」 じゃなくて 「寿限有」。長い名前のせいで家族が次々不幸になって、寿に限りが有るんだと。そして最後は主人公が自分の名前を探す旅に出るという壮大な噺。智丸さんらしい発想がとても楽しい。

続いて白鹿さん、今日で聴くの5回目。文福一門の、そして師匠文鹿さんの話。どちらにしても確かに文鹿さんは異色の存在だ。日本刀買った現場にいらしたことで僕は一人受けてた。それがあのネタつながったんだから。それにしても相変わらず声がいい。何か噺家の声という感じがしない。太くて低くてよく通る。
で、噺は「転失気」。とんとんと軽快に進んで、まさかの正岡子規で爆笑だった。

智丸さん、二席目は米輝さん作の 「カフェ役者」。去年の二人の新作ネタ交換の会に行けなかったので、これは聴けるのがうれしい。でも二人がそれぞれの大学の落研時代から知り合いだった話は面白かったな。一度二人のトークも聴きたいものだ。で、「カフェ役者」。米輝さんで二回聴いてる。米輝さんのはエキセントリック満載で、初めて聴いた時はそのインパクトがとても強くて、噺の筋が入ってきにくかった。二度目はさすがに噺の内容も楽しめたのだけど、今日の智丸さんのは穏やかでなんともいい雰囲気の中で訳の分からない会話が続く。同じ噺でも全く違う。「やめてくれー、やめてくれー」 がぐるぐるしてる。下げも好きだな。米輝さんとの新作ネタ交換またやってほしいな。

そして休憩はさんで、いよいよ読書会だ。僕は読書会に参加するの初めてだけど、友達によく参加してる人がいるので、なんとなく雰囲気みたいなのは分かっているつもりだった。参加人数は22~23人ぐらいか。智丸さんと白鹿さんが前方に座り、後の人はコの字型に椅子を並び替えた。そして簡単な自己紹介から。中に実際コンビニを経営されてるご夫婦が参加されてて、どっとわく。「コンビニ人間 / 村田沙耶香」 の僕の感想は、主人公のことを、周りの人たちは普通じゃないとして彼らが思う普通にあてはめようとするのだけど、そもそも普通と普通でないとは相対的なもので、もっと人に対して寛容な世間であってほしいなというものだった。もちろん小説としては十分面白い。皆さんの感想もそれに近い人が多くて、なかなかまともな人が集まってるなと感じた。そしてコンビニ経営のご夫婦の話もとても興味深かった。智丸さんと白鹿さんの進行もよかった。これからもぜひ続けてほしいし、極力参加したい。

てことで今日も「楽しい会だった。そんで、読書会の時にふと思ったんだけど、同じような形式で落語のネタを語り合う会があれば面白いんじゃないかなと。それも 「らくだ」 とか 「百年目」 とかのいかにもなネタじゃなくて、「近日息子」の真実は、とか、「いらちの愛宕詣り」 のおっさんのおとぼけを語る、とか、マイ・ベスト・オブ・喜六、とか。そんなテーマで、演者の方と落語ファンとが語り合うような場があれば楽しいのに。でもそんな発想のきっかけになったこの智丸さんの会はとても素晴らしかったと思う。

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2019.1.30 【ふたりで200席@動楽亭】

 【ふたりで200席】

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米紫さんと文鹿さん、同期二人が「二席ずつかけて200席を目指す会。今回が35回目ということなのでもうかなりの間続いてることになる。以前から気にはなっていたんだけど、なかなか来る機会がなくてようやく今回来れた。とは言っても、最近通っている落語会からするとそれほど遠いところに位置している会とも思えないんだけど、知り合いがほとんどいない。やはりこの会も6年近く続いているだけあってかなり濃い客層なんだと推測して開演を待った。50人は超えていたか。おそらくいついもこれぐらいの人数なんだろう。

希遊 / 犬の目
米紫 / 牛ほめ
文鹿 / 代書
仲入り
文楽 / 困客万来
米紫 / 除夜の雪

開口一番は希遊さん、2回目だけどはきはきしたしゃべりで聴きやすい。先が楽しみだ。そして今日は少し遊方さんに近いような間も感じられた。

米紫さん、平成6年入門の同期9人の話から。そう言えば繁昌亭でかつて同期全員の会があって終演が10時半ごろになったことがあったなと、思い出して調べたら、もう8年前だった。同期をいじりまくる話はいつでも面白い。今日は三金さんで爆笑だ。そこから一席目は 「牛ほめ」。これも米紫さんでは初めて。冒頭から軽快にリズムよくとんとんと進む。おっさんの家を見回してほめる時の、少し遅れるような目線がよかった。流し目までいかない自然な感じで。これも所作の間だな。

続いて文鹿さん、一席目は 「代書」。上がる前から見台が右横に縦にして置かれている。どういうことかと思っていると、文鹿さんは春団治系でつけてもらったので見台使わないんだけど、米朝さんがこの噺で小拍子を判子に見立てて見台をたたくのがとてもいい音がしていて、どうしてもそれをやりたいからと。上方落語を代表するネタだと思っているけれど、米朝さんから枝雀さんと春団治さんにいって、今はどちらの流れもよく聴くことができる。文鹿さん、冒頭で少し三代目の息が感じられてうれしかった。でもそこからはどんどん文鹿さんゾーンになってきて、男のいい加減さにストレートに怒りを爆発させる代書屋が大爆笑だ。

仲入り後文鹿さん二席目は、繁昌亭昼席とかで終演後お客を見送る時の事がテーマの新作 「困客万来」。昼席の出番だった文鹿さんが、お見送りである客から声を掛けられる。その客は米紫さんのファンだと言いながら、文鹿さんに次々失礼な言葉をあびせていく。最初冷静な文鹿さんも段々我慢できなくなってきて、こちらもまた最後に怒り大爆発で爆笑。客の言葉で 「なんで文福さんに弟子入りしたん?」 のところが一番面白かった。弟子をとるとらないの件は、現に文鹿さんにはお弟子さんが二人いるんだから、なんか素直に面白くはない感じがした。

そして最後は米紫さん 「除夜の雪」 だ。上がる前に客席の照明が少し暗くなった。冒頭で米紫さん、今からする落語はあまり笑うところがない上方では珍しい話だと。僕はこの噺がとても好きなんだけど、前半の寺子たちのわちゃわちゃの面白さと、対照的に後半のシリアスで少し怖い顛末とのどちらに比重を置くのか。あるいはどちらも前に出すのかということなのかなと思う。寺子たちの会話ではやはり兄弟子と珍念との繰り返しの会話がとても楽しかった。「ええにきまってるやろ」 は決めゼリフだな。ここで、大晦日の寺の、除夜の鐘つかないといけないんだけど、他の事は済んで少しのんびりしてる三人の空気がよく伝わってきた。そこで、伏見屋の御寮人さん登場した時の伏し目がちな様にまずやられた。うーん、噺の流れがガラッと変わる。提灯置いて帰った後の兄弟子の独白、ここでぐっと客席を引き付ける。そして鐘がなる。足跡がない。下駄もない。真っ白な雪。小僧が更に気がつく。御寮人さんの足跡もない。もう情景がくっきりと浮かび上がる。ほどなく伏見屋の番頭がやってきて御寮人さんが亡くなったことを告げる。驚く三人。そこで今度は番頭の独白。無念さが伝わってくる。
そして、小僧二人が釣り鐘に走って行って除夜の鐘が鳴りだす。ここはもう大晦日の寺の日常の光景になって、最後に兄弟子と番頭の会話で下げ。とてもいい下げだと思う。
「除夜の雪」 堪能した。

てことで、とてもいい会だった。200席という事はまだ15回ぐらいは続くんだな。できるだけこれからも通いたいな。そして今日開場時間の10分前ぐらいに着いたら、なんかみなさんだらっと並んでるんで、どこが最後か訊いたら、整理券てことで上がっていくと入り口のドアにセルフの整理券が貼り付けてあった。こういうの初めてだったけど、手間を掛けずに整理券配布するひとつの方法だなと思った。

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2019.1.29 【高津落語ゼミ@高津神社・末広の間】

【高津落語ゼミ】

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米輝さんがインフルエンザ発症で休演のため、急遽二人で二席ずつの二人会形式になった。でもこの三人だったらどの組み合わせの二人会になっても、僕はそれはそれで楽しいと思う。たまにはこんなイレギュラーもありだろう。今日のネタ出しは、佐ん吉さんが「始末の極意」で、鯛蔵さんが「桜の宮」。さてもう一席ずつは何が聴けるのだろうかと楽しみで開演を待った。

佐ん吉 / 始末の極意
鯛蔵 / 強情灸
佐ん吉 / 二階借り
鯛蔵 / 桜の宮
佐ん吉・鯛蔵 / 公開反省会

まず佐ん吉さんから。一昨日の日曜日、米團治さんの京都の独演会で一緒だった米輝さんの報告から米團治さんの話へ。いろいろと規格外の人なんだな。そして 「始末の極意」。これはなんと住込み弟子時代に米朝さんから直接つけてもらったということだ。僕は基本このネタあまり好きでない。なんかセコい話だし、下げもいいと思わない。だけど今日の佐ん吉さんのはとてもリラックスしてる感じのしゃべりで気持ちよく聴けた。そして下げ前のいろいろ、エロ全開も楽しかった。

続いて鯛蔵さん、入院中の師匠塩鯛さんの話から。お元気なようで少し安心した。しかしやっぱり身に降りかかったどんな不幸も、客前では笑いに変えてしまうのがいいな。そこから、東洋医学予防医学の話になって、何がかかるのかと思っていたら 「強情灸」。鯛蔵さんでは結構以前から聴いていた。だけどもうこなれているというか、女に見せるための見栄を強調しまくるところが、流れるようにスムースで、でも爆発的で楽しくて仕方がなかった。そして下げ前、もう一方の男がやせ我慢から崩れる様までもシームレスに爆笑だった。

そして佐ん吉さん、二席目はすっと入る。「茶漬間男」 だ、と思っていたけど、トークで 「二階借り」 になっていた。二つの演題は使い分けられている根拠とかはあるのかな。それはともかく、今日のこの噺の間っ先の感想は、「おっさん、いつまで茶漬食うてるねん」 だった。二階でとんでもないことが起きてるのに。小品で落語らしい噺で、展開も軽快で、してることの割に三人とも悪気が感じられなくて、佐ん吉さん、こういう噺をサラッとするのは、なんていうかさすがだな。まあ、こっちもエロかったけどね。

そして最後は今日期待の鯛蔵さんの「桜の宮」だ。4年前の春に鯛蔵さんで初めて聴いて、なんて鯛蔵さんに合っているネタなんだと。そしてもちろん大爆笑だった。それから去年の春にも聴いて、今日が三回目だった。春満開の大川べりで稽古屋の連中が趣向をしようと企む。そこに田舎侍が二人絡んで大騒ぎになる。典型的な群像劇で、若者たちが桜の下を走り回って次々に場面転換するところがとても楽しい。落語と言うよりはすごく映画的な、映像がリアルにみえてくるような噺だ。これを鯛蔵さんはいつも見事に生き生きと表現している。登場人物のワチャワチャ感が鯛蔵さんならではで特に後半は畳みかけるような面白さがとてもよかった。まだ寒いけど、3月か4月にもう一度聴きたいな。

で、いつもの公開反省会。今日はいい話が聴けた。「桜の宮」は、塩鯛さんからという事だけど、その前の流れが僕には意外だったけど、綿々とつながっている噺を今聴くことができてとてもよかった。「始末の極意」 について、佐ん吉さんは極意を教えるおっさんは、家で裸で過ごしてるんだかから、ああいう展開になったと。そういう自由さが好きだな。そして 「二階借り」 の流れで、佐ん吉さんからこのネタについて紅雀さんが言ったことが聴けたのもよかった。今日も本当に楽しい会だった。そして次回は3月20日ということだ。