2019.2.9 【岡町南天の会@伝統芸能館】

【岡町南天の会】

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さて今日は「岡町南天の会」。二か月に一度の会だけど、交互にやってる太融寺の会とは客層がかなり違う。もちろんいつもよく出会う南天ファンの方々もきっちりいるのだけど、やっぱり郊外なので地域寄席っぽくて、地元のおっちゃんおばちゃんが主力になる。おそらくこの人たちは南天さんのラジオなんか聴いているんだろうなと。南天さんこの会では、平日昼間にしたり、昼夜公演にしたりといろいろ積極的に取り組んでいるのが分かるんだけど、今日は11時と14時半開演という朝昼公演だ。地元の人には休日夜よりむしろ朝の方が来やすいのではと考えての企画。僕が行ったのは14時半の方で多分100人ぐらいの大入りだった。
てことで、ネタおろしの 「小言幸兵衛」 を楽しみに開演を待った。

弥太郎 / 阿弥陀池
南天 / 小言幸兵衛
生喬 / 怪談・猫魔寺
南天 / 貧乏神

弥太郎さん、「阿弥陀池」 は南天さんからで、なんと今日がネタおろし、だと。まあ、朝公演があるので正確には二度目になるんだろうけど、それにしても稽古つけてもらった人の会の開口一番でネタおろしてのはそうそうないと思う。で、特に緊張もみえずに、会話がこなれてて楽しいし、所作も大きくていい。ネタおろしでこれならかなり先が楽しみだ。そして、南天さんネタおろしの 「小言幸兵衛」 に期待が高まる。

南天さん、上がって弥太郎さんの話から姫路の落語会に着物一式忘れて浴衣で上がった話、もちろん爆笑。そこからネタおろしの 「小言幸兵衛」 、この噺以前南光さんで聴いたことあるな。江戸ネタっぽいけど、元々は上方の 「借家借り」 だな。南天さんのは、冒頭で長屋の連中つかまえて小言言いまくる幸兵衛がそれほど嫌味でなくて、なんか親切で言っている感も少しあって、これが南天さんの落語なんだと納得させるものがある。そして下げ前の北海屋の件で顔芸炸裂。とても南天さんらしくて楽しい。そもそも僕は幸兵衛さんが嫌いじゃない。これからどう育っていくのかまた近いうちに聴きたい。

続いて生喬さん、もちろん大阪芸大落研時代からの同期で、入門も同期。友でありライバルでありという関係。これまでお二人の若い頃の話いろいろ聞いてるけれど、南天さんの卒業制作の話は初めて聴いた。当時から普通でなかったのか。そしておなじみお化けと幽霊の違いからだけど、岡町の客にはこういう話がよく受ける。で、ネタは 「怪談猫魔寺」、生喬さんでしか聴いたことなくて今日で6回目。こういう古典も珍しい。なので他の人と比べることができなくて、情景は怪談なんだけど、全く怖くない生喬さんの語りがむちゃくちゃ面白い。特に手招きで猫が井戸からひょこひょこ出てくる場面がたまらない。そしてそれが仕込みで、下げ前にばあさんがひょこひょこ。情景がみえてきて爆笑だ。そしてバカバカしく楽しい下げ。この話大好きだ。

最後は南天さん、生喬さんが振った落研時代の話をかるく返してから、関西人は神さんに対して馴れ馴れしいと。えびすさまがえべっさんになる、で爆笑。まあ、神さんをそれだけ身近な存在として関西人は日々暮しているのだろう。そこから 「貧乏神」。小佐田さんが枝雀さんに書いた噺だけど、これはもう南天さんの鉄板の一つだと思っていて、今日で聴くのが5回目だ。そして他の人で何人かは聴いているのだけど、ほぼ生喬さんの「猫魔寺」に近い。この噺の一番好きなのは、貧乏神の男に対する女房感というか、「ほんまにあの人はしゃあない人や」 と聴き手に匂わせるところだ。そして自分のサイフから金をくすめて飲みに行った男に見切りをつけて去っていく。とてもいい人情噺で小佐田さんの傑作の一つでもあると思っている。

てことで、今日の2回公演、南天さんによると朝公演は昼の半分ぐらいの入りだったとのこと。どうも南天さん今一つと考えてる感じでこの先あるかは微妙なのかな。そして、この伝統芸能館は最近随分いろいろな落語会が開催されていて、明らかに会場についてるお客さんてのがいるように思う。そういうのが地域に根付いてくるというのは二つ隣の駅に住んでいて岡町も地元みたいなものと思っている僕にとってもうれしいことだ。この会場がますます落語会で賑わっていけばいいなとずっと考えている。