2019.2.5 【動楽亭昼席】

【動楽亭昼席】

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今日はとてもいいメンバーだったので、動楽亭昼席へ。随分久しぶりだと調べたら、去年の6月以来だった。結構混むのではと思っていたけど、結果的には30人弱ぐらい。しかもほぼ知り合いがいないという中で、今日来てる人たちは、果たして誰のファンなんだろうと考えながら開演を待った。

弥っこ / 時うどん
雀五郎 / 手水廻し
紅雀 / いらちの愛宕詣り
米左 / 七段目
仲入り
米團治 / 稽古屋
雀喜 / 帰り俥

弥っこさん、「時うどん」 は吉朝一門なので一人時そばバージョン。やっぱり僕は普通に二人バージョンの方が面白いと思うのだけど、東で 「時そば」 を二人バージョンでする人がいるように、「時うどん」 の一人バージョンもあった方が楽しい。確かに一人の方が笑いは少ないんだけど、何て言うか、あっさり味の方がいいと思える時もある。この噺は東西合わせて4パターンてことでいいのでは。そして、弥っこさんは今日もきっちり。

続いて雀五郎さん、「手水廻し」 は随分久しぶりだなと思っていたら、2年以上聴いてなかった。て言うか、雀五郎さん以外でも最近ほとんど聴いていない。前座噺のはやりすたりてのは確かにある。だけどやはり、雀五郎さんの 「手水廻し」 は面白すぎる。今まで聴いた 「手水廻し」 の中で一番面白いと思っている。雀五郎さんの落語の肝は困惑の表情と、そんな時の目線の少し遅れるような動きだと思っているけど、それが独特の間につながる。そして田舎言葉がいい。不審顔の女子衆がいい。長い頭を見上げる様がいい。「大阪の朝がやってまいりました」 と言う喜助の間もいい。やはり、雀五郎さんのこの噺はもっと聴きたい。

そして紅雀さん、奥さんと娘さんがインフルエンザにかかって、なんか家の中でのけもんみたいになってると。そこから大坂なおみの話で、テニスの点数の数え方でうんちくを一つ。これは知らなかった。確かに疑問に思っていたけどわざわざ調べなかった。で、ネタはまくらとは何の関連もなく 「いらちの愛宕詣り」。これも紅雀さんの鉄板だ。いきなり男が飛び込んでくる場面から勢いが全然違う。僕はこの噺も好きなんだけど、愛宕さんは西なのに間違えて東へ行くおっさん、天神さんや、と言われて気がつく。北野天満宮だ。この辺割と知ってるので地図が立体的に思い浮かぶ。そしておとぼけのおっさん、こういうのは紅雀さんの独断場だな。さいごまでハイテンションで楽しかった。

次は米左さん、最近あまり聴いてなかったけれど、文楽1月公演の阿古屋の話に始まって、浄瑠璃のこと、歌舞伎のこと、長いまくらだ。何を掛けるのかとずっと考えていたら、ストレートに芝居噺で 「七段目」。とにかく声が大きい。2列目で聴いていたから。でも全然やかましくなくて聴いてて気持ちよかった。お七のところだけじゃなくて、終始芝居ぶりが楽しかったし、所作はもちろんだけど、顔も表情も芸だな。二階に上がった定吉のセリフで四天王とかいろんな人が登場したのもよかった。下げは 「いいえ、七段目」 逆のパターンもあるけど、僕はこの方が好きだな。

仲入り後は米團治さん。上がってきて、なんか派手な羽織だと思っていたら、今年還暦だそうで、その祝いにつくってもらったと。そして芸歴40周年だと。それにしても今更だけど華があるな。繁昌亭である人の独演会にゲストで出た時、急に外人の団体が入ってきたこと分かって、その言葉を速攻で覚えてあいさつしたと。そして縁があってフランスで落語した時披露した小噺を。これは何かすぐに分かった。そこからネタは 「稽古屋」 .踊りの所作がきれいだな。そして喜六のあほっぷりも楽しい。僕は米團治さんは、自分のこともうあほぼんとか言わずに、普通にきっちり落語すればいいのにと思っている。重ねて言うけど、今東西噺家の中でこの人以上に華のある人いないと思うから。

最後トリは雀喜さん、上がって、米團治さんに振られてたこともあって、中国語落語をさわりだけ。今年も8月に繁昌亭で会をするそうだけど、何の噺なのか分からなかった。やっぱり難しいものだな。
そして今日のメンバーは他には新作派は一人もいない。そんな中でトリで新作するのかどうか注目だったけれど、浅草で長男と人力に乗った話になったので、え、古典、と思ったらなんと 「帰り俥」。小佐田さんが雀三郎さんに書いた噺だ。雀三郎さんでは何度か聴いていて、その息も伝わって楽しかった。これから雀喜さんの色にどう変わっていくのか楽しみだな。

以上6席、みなさん楽しかった。やっぱり、繁昌亭と喜楽館も含めて、本当の寄席の落語をもっと聴かないとと思った。でも正直今日は良かったけれど、聴きたくない人がいると行く気がしないのもそれぞれの昼席。で、それはもう仕方ないという気持ちもある。わざわざ落語聴いていやな気分になるのはごめんだからね。