2019.1.30 【ふたりで200席@動楽亭】

 【ふたりで200席】

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米紫さんと文鹿さん、同期二人が「二席ずつかけて200席を目指す会。今回が35回目ということなのでもうかなりの間続いてることになる。以前から気にはなっていたんだけど、なかなか来る機会がなくてようやく今回来れた。とは言っても、最近通っている落語会からするとそれほど遠いところに位置している会とも思えないんだけど、知り合いがほとんどいない。やはりこの会も6年近く続いているだけあってかなり濃い客層なんだと推測して開演を待った。50人は超えていたか。おそらくいついもこれぐらいの人数なんだろう。

希遊 / 犬の目
米紫 / 牛ほめ
文鹿 / 代書
仲入り
文楽 / 困客万来
米紫 / 除夜の雪

開口一番は希遊さん、2回目だけどはきはきしたしゃべりで聴きやすい。先が楽しみだ。そして今日は少し遊方さんに近いような間も感じられた。

米紫さん、平成6年入門の同期9人の話から。そう言えば繁昌亭でかつて同期全員の会があって終演が10時半ごろになったことがあったなと、思い出して調べたら、もう8年前だった。同期をいじりまくる話はいつでも面白い。今日は三金さんで爆笑だ。そこから一席目は 「牛ほめ」。これも米紫さんでは初めて。冒頭から軽快にリズムよくとんとんと進む。おっさんの家を見回してほめる時の、少し遅れるような目線がよかった。流し目までいかない自然な感じで。これも所作の間だな。

続いて文鹿さん、一席目は 「代書」。上がる前から見台が右横に縦にして置かれている。どういうことかと思っていると、文鹿さんは春団治系でつけてもらったので見台使わないんだけど、米朝さんがこの噺で小拍子を判子に見立てて見台をたたくのがとてもいい音がしていて、どうしてもそれをやりたいからと。上方落語を代表するネタだと思っているけれど、米朝さんから枝雀さんと春団治さんにいって、今はどちらの流れもよく聴くことができる。文鹿さん、冒頭で少し三代目の息が感じられてうれしかった。でもそこからはどんどん文鹿さんゾーンになってきて、男のいい加減さにストレートに怒りを爆発させる代書屋が大爆笑だ。

仲入り後文鹿さん二席目は、繁昌亭昼席とかで終演後お客を見送る時の事がテーマの新作 「困客万来」。昼席の出番だった文鹿さんが、お見送りである客から声を掛けられる。その客は米紫さんのファンだと言いながら、文鹿さんに次々失礼な言葉をあびせていく。最初冷静な文鹿さんも段々我慢できなくなってきて、こちらもまた最後に怒り大爆発で爆笑。客の言葉で 「なんで文福さんに弟子入りしたん?」 のところが一番面白かった。弟子をとるとらないの件は、現に文鹿さんにはお弟子さんが二人いるんだから、なんか素直に面白くはない感じがした。

そして最後は米紫さん 「除夜の雪」 だ。上がる前に客席の照明が少し暗くなった。冒頭で米紫さん、今からする落語はあまり笑うところがない上方では珍しい話だと。僕はこの噺がとても好きなんだけど、前半の寺子たちのわちゃわちゃの面白さと、対照的に後半のシリアスで少し怖い顛末とのどちらに比重を置くのか。あるいはどちらも前に出すのかということなのかなと思う。寺子たちの会話ではやはり兄弟子と珍念との繰り返しの会話がとても楽しかった。「ええにきまってるやろ」 は決めゼリフだな。ここで、大晦日の寺の、除夜の鐘つかないといけないんだけど、他の事は済んで少しのんびりしてる三人の空気がよく伝わってきた。そこで、伏見屋の御寮人さん登場した時の伏し目がちな様にまずやられた。うーん、噺の流れがガラッと変わる。提灯置いて帰った後の兄弟子の独白、ここでぐっと客席を引き付ける。そして鐘がなる。足跡がない。下駄もない。真っ白な雪。小僧が更に気がつく。御寮人さんの足跡もない。もう情景がくっきりと浮かび上がる。ほどなく伏見屋の番頭がやってきて御寮人さんが亡くなったことを告げる。驚く三人。そこで今度は番頭の独白。無念さが伝わってくる。
そして、小僧二人が釣り鐘に走って行って除夜の鐘が鳴りだす。ここはもう大晦日の寺の日常の光景になって、最後に兄弟子と番頭の会話で下げ。とてもいい下げだと思う。
「除夜の雪」 堪能した。

てことで、とてもいい会だった。200席という事はまだ15回ぐらいは続くんだな。できるだけこれからも通いたいな。そして今日開場時間の10分前ぐらいに着いたら、なんかみなさんだらっと並んでるんで、どこが最後か訊いたら、整理券てことで上がっていくと入り口のドアにセルフの整理券が貼り付けてあった。こういうの初めてだったけど、手間を掛けずに整理券配布するひとつの方法だなと思った。

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