2019.1.29 【高津落語ゼミ@高津神社・末広の間】

【高津落語ゼミ】

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米輝さんがインフルエンザ発症で休演のため、急遽二人で二席ずつの二人会形式になった。でもこの三人だったらどの組み合わせの二人会になっても、僕はそれはそれで楽しいと思う。たまにはこんなイレギュラーもありだろう。今日のネタ出しは、佐ん吉さんが「始末の極意」で、鯛蔵さんが「桜の宮」。さてもう一席ずつは何が聴けるのだろうかと楽しみで開演を待った。

佐ん吉 / 始末の極意
鯛蔵 / 強情灸
佐ん吉 / 二階借り
鯛蔵 / 桜の宮
佐ん吉・鯛蔵 / 公開反省会

まず佐ん吉さんから。一昨日の日曜日、米團治さんの京都の独演会で一緒だった米輝さんの報告から米團治さんの話へ。いろいろと規格外の人なんだな。そして 「始末の極意」。これはなんと住込み弟子時代に米朝さんから直接つけてもらったということだ。僕は基本このネタあまり好きでない。なんかセコい話だし、下げもいいと思わない。だけど今日の佐ん吉さんのはとてもリラックスしてる感じのしゃべりで気持ちよく聴けた。そして下げ前のいろいろ、エロ全開も楽しかった。

続いて鯛蔵さん、入院中の師匠塩鯛さんの話から。お元気なようで少し安心した。しかしやっぱり身に降りかかったどんな不幸も、客前では笑いに変えてしまうのがいいな。そこから、東洋医学予防医学の話になって、何がかかるのかと思っていたら 「強情灸」。鯛蔵さんでは結構以前から聴いていた。だけどもうこなれているというか、女に見せるための見栄を強調しまくるところが、流れるようにスムースで、でも爆発的で楽しくて仕方がなかった。そして下げ前、もう一方の男がやせ我慢から崩れる様までもシームレスに爆笑だった。

そして佐ん吉さん、二席目はすっと入る。「茶漬間男」 だ、と思っていたけど、トークで 「二階借り」 になっていた。二つの演題は使い分けられている根拠とかはあるのかな。それはともかく、今日のこの噺の間っ先の感想は、「おっさん、いつまで茶漬食うてるねん」 だった。二階でとんでもないことが起きてるのに。小品で落語らしい噺で、展開も軽快で、してることの割に三人とも悪気が感じられなくて、佐ん吉さん、こういう噺をサラッとするのは、なんていうかさすがだな。まあ、こっちもエロかったけどね。

そして最後は今日期待の鯛蔵さんの「桜の宮」だ。4年前の春に鯛蔵さんで初めて聴いて、なんて鯛蔵さんに合っているネタなんだと。そしてもちろん大爆笑だった。それから去年の春にも聴いて、今日が三回目だった。春満開の大川べりで稽古屋の連中が趣向をしようと企む。そこに田舎侍が二人絡んで大騒ぎになる。典型的な群像劇で、若者たちが桜の下を走り回って次々に場面転換するところがとても楽しい。落語と言うよりはすごく映画的な、映像がリアルにみえてくるような噺だ。これを鯛蔵さんはいつも見事に生き生きと表現している。登場人物のワチャワチャ感が鯛蔵さんならではで特に後半は畳みかけるような面白さがとてもよかった。まだ寒いけど、3月か4月にもう一度聴きたいな。

で、いつもの公開反省会。今日はいい話が聴けた。「桜の宮」は、塩鯛さんからという事だけど、その前の流れが僕には意外だったけど、綿々とつながっている噺を今聴くことができてとてもよかった。「始末の極意」 について、佐ん吉さんは極意を教えるおっさんは、家で裸で過ごしてるんだかから、ああいう展開になったと。そういう自由さが好きだな。そして 「二階借り」 の流れで、佐ん吉さんからこのネタについて紅雀さんが言ったことが聴けたのもよかった。今日も本当に楽しい会だった。そして次回は3月20日ということだ。