2017.6.1 【小三治三三親子会@豊中文芸センター大ホール】

 【小三治三三親子会】

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豊中文芸センター、旧市民会館が建替えられて去年の秋に完成した新しいホールだ。大ホールのキャパは1344席、地元のホールなのでクラシックや落語を始めいい公演がどんどんやってくるようなホールになってほしいと、僕は願っている。ちょうど西宮芸文センターのように。
クラシックについては、これも地元のセンチュリー交響楽団が指定管理者になっているのでかなり期待できる。
一方落語は市民会館時代にはワンパターンの米朝一門会ぐらいしか開催がなくてあまり期待していなかったのだけど、今年4月の談春さん、そしてこの小三治三三親子会と二つ大きな会を持ってきた。これは落語ファンとしてよりも豊中市民としてうれしい。てことで、どちらも祝儀的な気持ちもあってチケット確保した。

ここからようやく落語の話になる。小三治さん聴きに来るのは4回目、2年前西宮の三三さんとの親子会、そして去年鈴本と新大阪のメルパルクホール、何がどうこういうより他にはいないとても素晴らしい噺家さんだと思っている。さて今日は何を聴かせてくれるのか、三列目という良席でもあり期待して開演を待った。

小かじ / 二人旅
三三 / 橋場の雪
仲入り
小三治 / 田楽喰い

小かじさんは三三さんのお弟子さん、「二人旅」 は上方ではまずきかない噺だけど、初めての大阪の高座がこの大ホールてのは少し気の毒だったか、緊張が伝わってきた。でも江戸の噺家さんらしさは感じられたので、今度は東京の寄席で聴きたい。

三三さんは5~6年前はよく聴いていたんだけど、北村薫とのコラボ公演に行ったあたりから少し離れだして聴かなくなった。むちゃくちゃ上手いんだけど、何か固い感じがして、もちろん僕自身の勝手な感想なんだけどね。それで去年久々に聴いたら、すっと耳に入ってきた。多分三三さんがどうのより僕の聴き方の問題だと思うけど。
で、今日は 「橋場の雪」 演題は知っていたけど聴くのは初めて。とにかくいろんな情景が登場人物を介して魔法のように次々浮かぶ。そして心にしみる。いい高座だった。

仲入りはさんで小三治さん。三三さんも4月の談春さんもだったけど、豊中ということで最近有名な地元ネタの話をふる。まあ、今日の客席で豊中の人2割もいないと思うけどね。東の人が豊中来るとやっぱりお約束やね。
ていうか小三治さんもこういうベタな噺もするんだなと思った。そしてまくらは次々とふわふわと話が転がっていく。この転がり方が小三治さんなんだろうけど、面白いんだね。そして受けてる最中に聴き手を置いていく。そしてまた受けるその繰り返し。そしてシームレスにネタに入る。今入ったのかなと、小三治さんあまり聴いていない僕なんかにはちょっと分かりにくい。
今日は 「馬の田楽」、確かに 「馬の田楽」 なんだけど、上方でいつも聴いてるのとは随分印象が違う。小三治さん以外に東の人の 「馬の田楽」 聴いた事ないので上方と根本的に違うのか分からないんだけど、まあそういうのは置いといて、小三治さんの 「馬の田楽」 は馬方がとても優しくて馬への愛情が溢れている。これがとてもいい。そして田舎言葉がピタッとはまる。もうそれだけでこの落語は完成してるのではと思えてくる。もう存在そのものが小三治落語でただただ聴き手を幸せにする。僕がいままで聴いた落語で、こういう感覚になったのは、噺のタイプは違うけど三代目春團治だけだったな。
小三治さんこれからも機会見つけてできるだけ聴いていきたい。

さてこのホールにこれからどんな落語会がやってくるのか。しかし、1344席というと少し大きいかな。今日も2階席は空席目立ってたし。でも小三治さん来年もまたぜひ豊中に来ていただけるよう願っている。

あと、落語会が終わった後近くで打ち上げやってて、帰る時店を出るととんでもない雨だった。久しぶりにぼとぼとになって寒かったのだけど、何かのライブでこんなことあると、セットで記憶されるのでまたこれも思い出になる。
それも含めていい会だった。