2016.5.10 【東西激突落語会・第一集@繁昌亭】

【東西激突落語会・第一集】

夜までずっと雨だったので写真はなし。
たまさんプロデュースのこの会、東京から三三さんとこはるさんを呼んで開催。たまさんは自分の会は大阪はもちろん全国各地で開いているけど、今回のように自分も演者の何分の一かになる会はあまりプロデュースしていない。高津はあくまで4人の共催だしね。
だから、今日の会はたまプロデューサーの企画が色濃く反映されるはずでそんな意味でもすごく楽しみだった。
三人選んだ人選にもどんな意図があったのか、会が終わるころにはきっとわかるだろう。

智丸 / 寿限無
こはる / 転宅
三三 / 粗忽の釘
仲入り
東西トーク合戦 / 三三・こはるvs仁智・たま
仁智 / 多事争論

智丸さんは、仁智さんの三番弟子、年季明けたのかな。入門間がない頃以来の2度目だ。寿限無……、を何回言ったのかな。その度に言い方工夫してた。声のトーンや大小でアクセントつける人もいるし、落語のネタの中で指折りの有名なネタだけど、ちょっと落語聴くとすぐに飽きる噺でもある。何回も同じ調子でされると、もういいって。となる。智丸さんの工夫良かったと思う。以前聴いた時の印象覚えてないんだけど、今日はクサかった。でも決して悪い意味じゃなくて、楽し気なクサさやった。分かりにくいか。

続いてこはるさん、びっくりした。
て言うのが、今日5時過ぎぐらいに繁昌亭の受付に用があっていたら、なんか男の子か女の子か分からん小さい子がコロコロ持って入ってきて。誰やねん、新しいお囃子さんか、と思ってたら、その子が舞台に上がってきて、こはるさんやった。
しかし、ビジュアルも声も想像と全然違う。見た目子供っぽいけど、声は意外に太いし、最初はすごく緊張してるのが伝わってきたけど、すぐにリズムよくなってきた。この人いいなと思って聴いていた。リズムがいいと多少噛んでも気にならない。切味いいし、江戸っぽい。また聴きたいな。

次はたまさん、東京大阪の落語の違いについて。東京は基本噛まない、と。確かにそうだ。江戸落語の方がリズムのウエイトが高いからかな。上方でも文之助さんとか調子よくトントン運ぶ人は噛まないもんな。
そこから、こはるさんの話で、ほぉー、と思ったことは後半のトークで再び出てくる。
ネタは「バーテンダー」、調べたら去年の2月に「住吉バー」としてネタおろし。次から「バーテンダー」になって聴くの5回目。なぜ住吉バーだったかというと、それは「住吉駕籠」からきてるから。
かなりの頻度で聴いてるけど、もうすっかり爆笑噺に仕上がってる。マスターが木村拓哉木村太郎かバシッと判断するところが好きだな。店にビール納品にくるお姉ちゃんのところも。
そしてカルアミルクは、こないだとあるバーで近くの人が飲んでて思わず思い出した。もう飲まれへんな。
ともかく、この噺今はたまさんの新作の中でもかなりの好物です。

中トリ、江戸の人こういうと違うって言う、中入りだと。でも上方では中トリ。
中トリは三三さん、で、また東京大阪の落語の違いから。「でも、こはるは随分噛んでたな」って。
三三さん、昼席の「元犬」でも思ったけど、三年ぶりぐらいにまともに聴くと随分印象変わった気がする。かつては今の喬太郎さんなんかと同じように、大阪来たらよく聴きに行ってた。なぜ聴かなくなったかというと、年齢の割に上手過ぎて、なんか聴くのが窮屈になってきたから。僕の一方的な思い込みだったのかもしれないけど、
今日はこの「粗忽の釘」も「元犬」以上によかった。この噺、やっぱり「宿替え」なので、比べてしまうのだけど、三三さんは終始ハイテンションが続き、まったくだれることなく笑いっぱなしだった。こういう噺は客が息継ぎする必要ないと思う。三三さんまた聴きに行かなくては。

仲入り後は、今日のメイン「東西トーク合戦」。左端のたまさんがホスト役になり、右に向かって、仁智さん、こはるさん、三三さんと並ぶ。プログラムに今日の出演者の略系図が載っていたように、それぞれの師匠の話をたまさんが聴いていく。仁智さんはもちろん仁鶴さん。昔の話でなんか懐かしかった。もう仁鶴さんは年間何度高座にあがってるのかという感じだし。三三さんは小三治さんのそれぞれのお弟子さんへの対応の違い。こはるさんは談春さんの厳しさについて。修業時代や前座のこととか出てきて、東西落語界のいろいろな違いが浮き彫りになった。なかなかこういうトークはない。
この流れで終わりそうな感じの時、仁智さんがたまさんに「君んとこはなにもしゃべってない」ということで、福笑さんの話が始まった。面白かったし、東京の二人は興味深いみたいやったけど、福笑さんと仁智さんて仲がいいのかな。

最後は仁智さん、何をを掛けてくれるのかと思っていたら、アンケートをとるから聴きたい方に拍手してください。
で、なんと「ステディベースボール」と「多事争論」。仁智さんどうしてこんなに「スタディ」が好きなんだろう。
仁智さんにサラの人には受けても、仁智さんをある程度聴いている人には飽きてる人もいっぱいいると思う。
僕はもちろん「多事争論」に拍手。この素晴らしい会の最後に危うく「ステディベースボール」でズタズタになりかけた僕は、目玉焼きには塩派です。
僕の好きな仁智さんの噺は、「EBI」 「めざせ甲子園」  「兄貴の頭」 「いくじい」 「老女A」 「恐怖の民宿百物語」
「トクさんトメさん」 「源太と兄貴・純情編」……  面白い噺いくらでもあるのに、もうスタディはいいでしょう。

こんな東西激突落語会、よく東西〇〇とかいう落語会あってもただ普通に落語するだけだったり、トークがあっても当人同士の話からあまり広がらなかったり、とかが多かった。でも今日はかなり話が拡散していって楽しかった。第一集で満員だから当然第二集はあるのだろうけど、また同じメンバーでみたいような、別の顔ぶれも期待したいような。
とにかく、たまさんは名プロデューサーだった。