2015.11.25 【吉坊ノ会@近鉄アート館】

【吉坊ノ会】


この会実は行かないつもりだった。ここ5.6年は皆勤だったと思うけど、今回発売日にぴあに行くと全くまともな席がなかったので撤退を決めた。知り合いの落語ファンに言われて思い出したけど、前回会場で前売りしてたんだ。それで僕は半年も先の会なんか買えるかと。その時かなり売れたんだろうな。僕はどれだけ好きな公演でも自分にとって全く不本意な席しかなければ行かない。そのかわり、いい席確保のためには一生懸命になる。そんな考えなんだ。でも正直気になるから、一週間ほど前にぴあをのぞくと、なんと1F5列目ほぼ真ん中が出戻ってたので即押えた。結果的には行かなかったら大後悔するところだった。

生寿 / 金釣り
吉坊 / 身代わり団七~寄席の踊り「ずぼら」
中入り
マグナム小林 / (バイオリン漫談)
吉坊 / 三十石夢之通路

開口一番は生寿さん、当日まで名前出てない時なら得したなと思う。まくらは最近受けてるJRの得々切符の話。これ初めて聴いた時はどうなるんやろかと結構ドキドキやった。よくできたまくらだ。
ネタは金釣り。短いけど、こちらもよくできた噺だ。生寿さんクラスが開口一番で出てくると、安心感が広がってメインの演者を落ち着いて迎える気持ちになる。

で、吉坊一席目。多分芝居噺なんだろうと思っていたら、やはり。数か月前の繁昌亭昼席トリの時にズラリと並べた芝居噺以外にもまだあったんだ。「身替り団七」。初めて聞く演題だったので、ちょっと調べたら、「親子芝居」、それを小佐田さんが夏祭浪花鑑を脚色して「身替り団七」ということなのかな。ネットにもほとんど情報ないけど、どちらにしても見事な切れ味だ。だけども見栄の切り方は自然に感じる。吉坊の芝居噺はこの辺りがいい。最後の方には例のだんじり囃子も入って団七気分。更に寄席の踊りということで「ずぼら」。羽織を袈裟に見立てて坊さんに。軽くていいな。

中入りはさんで、マグナム小林さん、この人繁昌亭昼席に結構出てるし、東京の寄席でも観たことある。僕はこういうバイオリン漫談とかも音曲系だと思っているので好きなんだけど、拍手が早すぎる、多すぎる。もっときっちり音を聴いていたい。他の芸事でもそうだkど、拍手のタイミングは難しい。聴くのが観るのが、第一だからね。

そして、いよいよ「三十石」。一席目が期待以上だったので、どうかなと思っていたけど、心配無用だった。完全フルバージョンで60分、僕はこの噺ロードムービーだと思っているのでいつもフルバージョンで聴きたい。でも時間的になかなか叶わなくて、また、最近は船唄を過剰にクローズアップしたのもあって、なんだかなと感じていた。今日の吉坊は、三条大橋四条大橋南座北座、祇園さんからいろいろ回って三十三間堂。そこから伏見街道通って寺田屋の浜、と。この京の名所めぐりのところめったに聴けない。だけど、四条大橋だけなぜ擬宝珠がないのかとかなかなか面白い件があるのにな。ここから土産屋、乗船までの待機、出る前の名乗りのてんご、中書島の鬢付け油、船唄の応酬、枚方の百姓唄、泥棒のための切り替えし、そして朝焼けの中船が八軒家浜に。ラストシーンだ。吉坊はどの場面も実に淡々と演じていくんだけど、それがまた情景を次々浮かび上がらせることになる.。ほんまに映画観たみたいやった。

この公演東京は来週の12月1日、チケットの状況分からないけどお勧めです。今回はなかった次回前売り、日程は東京4/9、大阪4/19だそうです。