2016.5.25 【5月天神寄席・化けて演じて芝居して@繁昌亭】

 【5月天神寄席・化けて演じて芝居して】

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天神寄席はいつから今の形になったのかよく覚えていないんだけど、マイナス要素が多くて最近はほとんど行ってなかった。ゲストの選定、寄席の企画はいいんだけど、それ以外でのマイナス要素が期待より不安が上回るから行かなかった。でも今回は演者が文之助さん、生喬さん、雀喜さん、吉坊とズラリ。かつネタもいい。しかもゲストが、わかぎゑふ、とくれば不安を期待が上回る。久々に早々にチケット確保した。

雀喜 / 野崎詣り
吉坊 / 狐芝居
春之輔 /           *所用のためここで一旦退席
仲入り
鼎談 「落語を演出する」/ わかぎゑふ、高島幸次、春之輔
生喬 / ヅカタツ
文之助 / 桜の宮

今年聴けてなかった野崎詣り、もう5月も終わりでようやく聴けた。雀喜さんに感謝。この噺も三十石よりは移動距離短いけれどロードムービーといえばそうだな。喜六のアホっぽさがいい。最後までリズムよくトントンと。でも正直聴くにはもう暑すぎる。

続いて吉坊は「狐芝居」。小佐田さんが吉朝さんに書いた噺で今は一門でやっている。少し前に佐ん吉さんで聴いて、今回吉坊では初めて。冒頭の侍が刀を忘れる場面で、実は大部屋の役者と分かったあとの豹変ぶりがつかみになる。そこからの道中でその役者が遭遇した芝居小屋は実は狐が忠臣蔵を演じる狐芝居の小屋だった。今まさに四段目で由良之助の登場を待つシーン。しかしいつまでたっても出てこない。えーいと、その旅役者がそのまま花道に飛び出し、芝居は続く。が、楽屋に狐の由良之助が到着し、人間が上がってるのではとなり舞台は暗転する。その役者の正体実は…、という下げも含めてファンタジーだな。吉坊の芝居噺の中でも異色。そのあたりの雰囲気がずっと崩れないまま、下げでピタッと決まった。よかったな。

中入り後は鼎談。ゑふさん最初から飛ばす。20代でらもさんのマネージャーになった頃の話、面白いな。やっぱりゑふさんと言えばらもさんだから。で、吉朝さんの話にもつながってきた。吉坊の狐芝居の後で、話が気持ちよく流れる。やっぱり、わかぎゑふって素晴らしい才能だなと。
そんな中、後の二人は全く話について行けない。ホストとしてきちんと準備してる様子もない。ならいっそ黙っておけばゑふさん一人でしゃべるのに、自分が話に入れるつまらないゾーンに話題を変えようとする。
「旦那がいるのか」とか「野崎詣りがどうこう」とか、今日のゲストはわかぎゑふだ。
この二人が鼎談相手の話を引き出せないことは前から分かっていたけど、今日は特にひどかった。
でもゑふさんの個性は十分突出してたし、それはそれで楽しかった。

ここから気を取り直して後二席。
まず生喬さん、いきなり見台がパノラマヅカ仕様。でも例の三十石見台よりは短い。「ヅカタツ!」は数年前のはなしか宝塚で聴いた。当時も今日も爆笑。生喬さん、イレギュラーな落語はヅカ関連と福笑さんのテーマ落語会ぐらいでしかやらないけど、僕はこの人の新作はすごく好きで、発想も楽しい。おまけに今日はすみれ色のヅカ噺用着物の下にヅカ衣装を仕込んで、早変わりするサービスぶり。久々に聴けてよかった。
ちなみに、はなしか宝塚について、僕はこういう落語をシャレでするのがメインの頃が好きだった。今のように客席に現役やOGのジェンヌが登場して演じ手も聴き手もマジになりすぎると面白くなくなる。だから今年は行かなかった。

最後は文之助さん、さらっと前のネタに触れて「桜の宮」。これも好きな噺だ。今年もう一度聴けてよかった。
登場人物が多くて、その雰囲気がよく似ていて演じ分けが難しそうな群像劇。あの季節のあの辺りの光景が目に浮かぶ。そして、そこを駆け回る登場人物。誰にでもできる噺じゃない。わちゃわちゃ感をリズムよく回していけるような人、正に文之助さんにぴったりだ。今日は前半少し不調な気がしたけど、後半はいつものリズムで楽しく下げまで。特に二人の侍のしゃべりがいい。

そんなことで、予想通りプラスがマイナスをかなり上回って来た甲斐があった。
そして、今日鼎談で少し触れられていたけど、天神寄席が今の形なのは6月までらしい。7月25日は今年は天神祭り特別公演になるので、8/25からどうなるのか。というより誰が出るのか出なくなるのか。
8月スケジュールの発表を待とう。