2015.11.21 【桂紅雀独演会@テイジンホール】

桂紅雀独演会】

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このチケットを確保した後で、前日午後からの京都への泊りの旅行が決まり、それでもこの会は諦めきれなくて、結局今日昼ごはんまでで京都を脱出して堺筋本町に向かった。なぜそこまでしたかというと、やはり「たちぎれ線香」。数日前に偶然聴いていたラジオのオンエアーに紅雀さんが出てきて、南光さんと雀三郎さんという一門の筆頭・二番弟子にすすめられて取り組んだ、と話していた。ニンにあうと思えない噺を一体どう仕上げたのか興味はつきなかった。そして今日のゲストが雀三郎さんだ。

鯛蔵 / 阿弥陀池
紅雀 / いらち俥
雀三郎 / 代書
紅雀 / たちぎれ線香
中入り
紅雀 / かぜうどん

鯛蔵さん、いつもながらこの人はスキップを踏むように楽し気に登場し高座にあがる。それを見るだけで落語への期待が膨らむ。そして、「阿弥陀池」は、リズミカルにトントンと笑いをとって、また同じように楽しそうにおりていく。理想的な開口一番だけど、やっぱり上がる時、おりる時の歩き方のフォームって大切だな。

紅雀さん、一席目は「いらち俥」。もう演題見ただけで鉄板。おかしさがこみあげてくる。やっぱりこの人はこういうわちゃわちゃして動きのある噺が合う。早くも紅雀落語がたっぷりだった。

続いて雀三郎さん、「代書」を聴いてるうちに意外だけど初めてじゃないかなと思えてきて、帰ってから調べたらやっぱりそうだった。だけど、枝雀さんの空気はほとんど感じなかった。全面雀三郎の代書で全編楽しかった。

次はいよいよ「たちぎれ線香」。紅雀さん「いらち俥」とは打って変わって冒頭から抑えめにすすめる。こんな紅雀さんみたの初めてだ。これだけでも無理して来たかいがあった。後半、蔵出てからの若旦那とかに少しいつもの紅雀さんぽさが出ていたけど、紀の庄に行ってからは重厚な空気が漂ってきてやはり客席が静まり返って息をのむ。そしてさげで、かんで言い直したように聴こえた。それでも拍手の中頭を下げて、上げた紅雀さん「しまった!」と言う顔で、なんと高座からみずから転がり落ち、もう一度頭を下げた。

中入り後三度登場した紅雀さん、「たちぎれなんか二度としない」と。客席から「またやって」と声が掛かる中、実は10年ぐらい前ある先輩噺家のたちぎれを袖で聴いていた時、その人がしたのと同じ間違いをやりかけたと。でも下げ前までは今後の新しい紅雀さんを期待させるものだったし。ぜひまたやってほしい。やってもらえると信じている。
で、最後のネタは「かぜうどん」。好きなネタだし、また紅雀さんにとんでもなくあっている。この人の落語の特徴は、はまるネタは他の誰よりも面白く感じるということで、そんなネタ結構ある。そして、高座の上で縦横無尽にはじけまくって大爆笑でお開きとなった。

兄弟子二人が「たちぎれ線香」をするようすすめたわけが何となくわかった今日の独演会だった。