2018.3.19 【月亭遊方の噺力@動楽亭】

月亭遊方の噺力】

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前回、前々回とやってきて、余りの面白さにそれまで来なかったことを後悔した遊方さんの 「噺力(ハナシノチカラ)」、今回のゲストはなんと福笑さん。もちろん落語はかなり聴いているけれど、福笑さんて案外舞台でトークとかやらないから今日の遊方さんとのセッションも楽しみで仕方なかった。 
てことで、今日の 「携帯切って」 の三象さんと共に開演だ。

米輝 / 千早ふる
遊方 / コンビニストアの人々
福笑 / 二人ぐせ
仲入り
トークセッション / 福笑・遊方
遊方 / お見立て

さて米輝さんから。3日前に6席聴いたところだけど、今日は開口一番で 「千早ふる」、冒頭からの設定少し違うけれど基本は大きく変わらず。しかし、ポイントポイントの強弱が巧みでよく受けていた。もちろん自分の会の時ほど色は出さないけれど、あっさりした前座ではなかった。この会ならこれぐらいの濃さは必要か。

続いて遊方さん、一席目はジョニー・ビー・グッドで登場。そして今日もまくらは天王寺の話。だけど遊方さんの天王寺はいろいろあって、今日のは僕があまり聴いたことないバージョンだった。「転んだおばちゃんが、8か国語で突っ込まれる」 で爆笑。そこからコンビニの件少しふって、ネタは 「コンビニストアの人々」。新しくコンビニの店員になった男の接客が丁寧過ぎて客が引く様で爆笑。でもこれ遊方さんよく観察してるな。それから酔っ払いが登場して大騒ぎ。しかし、酔っ払いのおっさんは上方落語では定吉やお咲さんなみの主要キャラやな。遊方さんも確か飲まないはずだけど、これがまた上手い。なるほどコンビニはネタの宝庫だ。まだまだ膨らませることできそうだ。

次にゲストの福笑さん、森友問題とか時事ネタで飛ばす。うーん、同意できないところもあるけど、それはそれだから別にいい。そして人それぞれ癖はあると、福笑さんなりの力技で強引に 「二人ぐせ」 へ。
まあ、よく聴く噺でストーリー基本同じなんだけど、福笑さんのは爆発力がとんでもない。「時うどん」 なんかでもそうなんだけど、所作の切れ味、しゃべりの迫力、そして何より 「笑わせる」 という気合が全身から感じられて客席は大爆笑が続く。そして下げ前にはこれでもかの仕掛けを持ってきて、騒然とさせる。また大受けだ。笑いへのあくなき貪欲さが客席を引っ張って最後まで離さない。

仲入り後はお待ちかねのトークセッションだ。前回、前々回はそれぞれ文太さんと九雀さん。落語の色々な事のトークがとんでもなく楽しかった。これはゲストの人の見識もあるのだろうけど、選んだ遊方さんのセンスもなかなかのものだろう。みなさん遊方さんの先輩になる。
遊方さんが巧みに福笑さんの話を引き出して、「なぜ人情噺をやらないか」 「噺は変えていかないと」 「面白くないといやだ」 とか次々と興味深いことが語られる。そして福笑さん、「自分のスタイルだから分かる人だけに支持されればいい」 と。で、古典と新作の違い、福笑さんは自作の新作はとても大切にしている。最後に下げについて、つまらない下げは変ればいい。具体的にいくつか下げの悪い古典の演題をあげていた。
時間があっと言う間に経ってしまった感じで、貴重なセッション、もっともっと聴いていたかった。

最後は遊方さん、ネタ出しの 「お見立て」、江戸の廓噺だ。遊方さん、この噺を上方に置き換えるにあたって、師匠の八方さんや、染丸さんに話しを聞きに行けば、吉原は江戸特有の文化のあるところだから単純に置き換えても無理がある。それに遊方さん自身がこういう噺をする生様ではないと言われた、と。
「でも、ネタは出してるしとにかくやってみる」 と言って始まった。ただ、事前にそういう事を聴くと、どうしても先入観が植え付けられてなかなかピンときにくかった。でもお大尽の田舎くささと空気の読めなさはよく出ていたと思う。近いうちにぜひまた聴きたい。それと逆に東の人が 「百年目」 「たちきれ」 を掛けた時も何か違和感があること多いけれど、僕は個人的にはネタの東西交流、どんどんあっていいと思ってる。

ということで今日も爆発的に楽しかった。そして、次回チラシをみると、5/31 になっていて、ゲストが福團治さんで、ネタが 「くっしゃみ講釈」 これを聴くとこの人が 「人情噺の福團治」だけでないことがはっきりわかるほど面白い。この日実は発売前のある会に行くことに決めていたのだけど、予定変更してこっちに来ることにする。次もとても楽しみだな。