2018.3.16 【ぴよぴよねき~桂米輝落語会@動楽亭】

ぴよぴよねき~桂米輝落語会】

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米輝さんの年度末特別落語会は、一人だけでなんと6席。この会の情報聴いた時すぐに行きたいと思って予約した。開場直後に着くともう50人ぐらいか。最終的には80人ぐらいで満員だった。しかも客席にはなかなかマニアな人達の顔も並んでいた。それだけこの会が注目されていたということなんだろう。古典2席に新作4席。特にまだ聴いていない新作2席が注目だった。

米輝 / カフェ役者
米輝 / 龍宮界龍都
米輝 / 超巨大エスカルゴ売り
米輝 / 距離つかみ
仲入り
米輝 / イルカ売り
米輝 / 鹿政談

六席中、まだ聴いていない新作は 「距離つかみ」 と 「カフェ役者」。聴いたことあるのは 「イルカ売り」 と 「超巨大エスカルゴ売り」。そして古典二席もまだ聴いていなかった。

てことで、今日の6席の中で一番衝撃が強かったのが 「距離つかみ」 演題から内容はまったく想像できなかったのだけど、大阪の侍が主人公の噺だった。ネタ割らないように書くのがとても難しいのだけど、米輝さんのこれまで聴いた新作の中では 「イルカ売り」 を初めて聴いた時に匹敵する衝撃だった。切腹とか、うどん食べたりとか、仇討ちとか。うーん、書けないのがもどかしいけど、事前情報なしで聴いた方が何倍も面白いと思うので、とにかく聴いてほしいな。
そしてもう一席の初めて聴くネタは 「カフェ役者」、こちらは 「距離つかみ」 とはまた違って小ネタの繰り返しの面白さ。役者の演技があることによってどう変わるのかという、くすぐりの面白さだった。

次に古典の二席、米輝さんは新作の強烈なイメージがあるけれど、実際これまで聴いた回数では古典の方がずっと多い。今日はまず 「龍宮界龍都」、これまでは 「小倉船」 として米輝さんで何度か聴いてる。 でもこの噺、考えてみれば今日並んでる新作同様にとても荒唐無稽なネタで、この会にいピッタリな古典かもしれない。で、これにも爆笑くすぐりが入って、もう、古典と新作がシームレスだ。
もう一席の古典は 「鹿政談」、今日唯一の古典らしい古典か。こちらは奉行の貫録と塚原出雲の小悪人ぶりがよく伝わってきて楽しかった。

そして、後二席は 「イルカ売り」 と 「超巨大エスカルゴ売り」、どちらもこれまでに複数回聴いてる。「イルカ売り」 はいろんな意味で衝撃的だった。更に去年の 「若手グランプリ」 の優勝ネタでもある。米輝さんの代表作か。設定の妙が活かされた作品だな。
「超巨大エスカルゴ売り」 は聴き手のスケール感を破壊しながらも、どこまで超巨大なんだと納得させるのがすごい。粘液がどうこうとか、すこし不気味系が入っているのも米輝ワールドか。

これで6席。もちろん僕は一人の演者の噺を6席聴いたのは初めてだけど、満員の客席の中には年間100回以上落語会に行くようなマニアな人達がゴロゴロいたのが印象的だった。米輝さんがそれだけ上方の落語ファンの心をつかんでるということなんだろう。
更に、米輝さんの新作はどこからこんな発想を持ってくるのかというのが多い。新作落語といっても古典をベースにつくられているような作品も多くて、もちろんそれはそれで楽しいんだけど、米輝さんのは古典の発想からは根本的に違う気がする。この先どんな作品が生み出されるのかとても楽しみだ。

19時に開演して、2席で20時になった時は終演何時になるかと心配したけれど、終ってみればきっちり21時、来年の年度末もこんな会があれば、何としても駆けつけなければと思いながら動楽亭を後にした。