2018.3.12 【雀五郎体力強化の会@高津神社・高津の富亭】

 【雀五郎体力強化の会】

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雀五郎さんは 「高津落語研究会」 を始めかなり聴いているのだけど、ご本人の会には初めてやってきた。というのも前回までの会場は全席座布団だったため腰痛持ちの僕はこわくて行けなかった。なので、雀五郎さんを二席以上聴くのは初めてで、まして今日は三席で、とんでもなく楽しみでだった。そして新しい会場でどれぐらい入るのかも気になっていたけれど、6時半開場の7時開演で6時前にやってくると誰もいなかった。でもそれから結構列が伸びて、開場時には20名弱になっていた。

慶治朗 / ぜんざい公社
雀五郎 / 高津の富
眞 / 蛸芝居
雀五郎 / 米揚げ笊
雀五郎 / かぜうどん

慶治朗さんから。ついこの間聴いたところだけど、今日は 「ぜんざい公社」 のネタ出し。 これまでの前座ネタとはちょっと違って楽しみだった。冒頭の役人の偉そうな様がいい。神戸の寄席のくすぐりも面白い。いいリズムで進んで、この人のこれまで聴いた中で一番良かったと思う。

雀五郎さん、自分の会でどんなまくらをと思っていたけど、会主の名前をいきなり噛んだ慶治朗さんを少しいらって 「新しい会場での一席目はここにちなんだネタを] とすぐに 「高津の富」 に入る。冒頭の旦那の高笑いがいい。そして当たりくじの確認で 「あたた、あたた。」と騒ぐ場面もいい。そしてなだめる境内にいた男。このシーンを宿屋主人がやってきてもう一度繰り返して再度受ける。雀五郎さんの落語の楽しさは緩急の差にあると思うのだけど、このネタでは急の方が目立つ。雀五郎さんの落語は時間あたりの言葉の数が多くて、それが軽快なリズムにつながる。当時はここのどこらへんで富の発表があったのかなと想像していた。

続いて眞さん、カーリング女子と都一門の比較で受けてから 「蛸芝居」。眞さんで何度か聴いているけど、今日は良かったな。定吉・亀吉の子守りの場面から切れ味ありで、勘平の腹切りでもますます切れて所作も大きく見せる。片膝たてて見栄を切る。とても小さな身体にみえない。そして蛸の表情が豊かで、だんまりからしゃべる蛸、走る蛸、六方を踏んで。とても楽しい 「蛸芝居」 だった。僕は芝居噺では切れ味にしびれたい方で、笑いは後からついてくるぐらいでいい。今日の眞さんは所作もビシビシ決まって観ていて気持ちよかった。そして客席全体もそんな受け止め方をしていたように思う。やっぱり現場にいた人の感想が一番だよ。

仲入りあるのかと思ったら、続けて雀五郎さんの二席目は 「米揚げ笊」。そう言えばこの噺最近あまり聴いてないな。ネタにも小さな流行りすたりがある。 雀五郎さんのは、前半緩く進むも 「ほおーっ」 ていう突込みがいい。そしていらちに道を訊く時のつかまえる所作が、「初天神」 の向いのおっさんみたいだ。トントンとリズムが出てきて、後半の堂島相場師との応対へ。ここはもう上げて上げて上げて、下げて下げて。文字通りジェットコースターだ。立て弁的でもあり、雀五郎さんの落語にはぴったりのネタだ。

そして最後の三席目は 「かぜうどん」、これは代表的な冬噺で季節は少し違うけれど、冒頭の物売りの声いろいろで聴かせる。やはり師匠の雀三郎さんのを思い出す。でも雀五郎さんも全然負けてない。この部分だけでも相当聴きごたえがある。さおだけ~たけのこ~まったけ~金魚…
この噺は前半が緩急の急。酔っ払いが 「おひや」 でからむ場面がテンポよく盛り上がっていく。「たぬき出たらきつねこしらえたろ。」 が好きだ。そして後半は博打の親方の采配が何か噺を引き締めてる。そして小さい声でのやりとりがかわいく聴こえる。最後のうどんのすすり方がとてもうまい。うどんを食べたくなる。とてもいい 「かぜうどん」 だった。

初めての雀五郎さんの会で、しかも三席。これが毎月聴けるとなるとかなり贅沢だな。僕はやっぱり古典も好きで、噺のリズムで抑揚をつけるような、少し音楽的な落語が好きなんだというのを再認識した。ゲストの眞さんも開口一番の慶治朗さんも含めてとてもいい会だった。今日の動員は結局40人弱か。次回から更に増えることを期待しよう。