2018.3.3 【称念寺寄席・林家花丸勉強会@谷九・称念寺】

称念寺寄席・林家花丸勉強会】

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花丸さんの勉強会ということで始まった称念寺寄席、行きたいと思いながらいろいろあって来れなくて、ようやく今日やって来た。早くも7回目ということだけど、今日の共演は遊方さんと雀五郎さんと慶治朗さん。そして、昨日動楽亭で自分の会を開催した鯉朝さんが急遽飛び入りとなって、開演前から何とも賑やかな雰囲気につつまれていた。 出足はそれほどでもなかったけれど、開場後どんどん伸びて最終的には椅子を膝送りというか横に送って超満員。初めての会なのでとてもわくわくしながら開演を待った。

慶治朗 / 桃太郎
雀五郎 / みかん屋
花丸 / 饅頭怖い
仲入り
鯉朝 / やかん
遊方 / 宿替え 

慶治朗さん、今日もいつも通りの堅実な高座で聴いてて気持ちがいい。何て言うか、この人は、ビジュアルも口跡もマイルドで、開口一番を穏やかに勤めて客席の空気を和ませる。とてもいいと思う。

続いて雀五郎さん、おなじみの今住んでる部屋のこといろいろでよく受けていた。かなり前から聴いてるんだけど、初めてならそら爆笑するわ。そこからネタは 「みかん屋」。かなり以前雀五郎さんで頻繁に聴いていたけれど、最近はご無沙汰だった。でも今日もこの人の落語はやっぱり独特の間だと感心した。みかんを売った男が思い出して上を見る時の間、長屋を出て行く時に呼び止めてもらうまでの間、僕はため方が絶妙だと思う。そして雀五郎さんの落語は普通の場面では時間あたりの言葉の数がかなり多い。そういう場面ではセリフにセリフをかぶせるような間が次々出てくる。そんなところと、ためるところとの対照が、快感につながっているのでは。

そして中トリは花丸さん、この会は本来花丸さんの勉強会で、始まった当初は花丸さん二席だったと思うのだけど、今は一席になっている。そして今日の超満員について、遊方さん、雀五郎さん、飛び入りの鯉朝さんへの感謝を述べ、オリンピック、カーリングから男と女の話。そこから噺は 「饅頭怖い」、よく知られているようにこの噺は上方と江戸ではかなり印象が違う。東では前座噺だけど、こっちでは途中に怪談の件がかなりあって結構長講になる。だけど僕は正直言って、江戸版の方がネタとしてのまとまりはあるように思っていた。上方版はちょっとバランスよくないかなと。でも今日の花丸さんのは、最初から最後まで終始受けっぱなしで、たくさんいる登場人物のキャラの違いが楽しかったし、怪談から饅頭にいたる流れもスムースに爆笑続いていた。これまでの上方・まんこわんのイメージを覆されるような高座だった。堪能した。

仲入り後は鯉朝さん、今日のツイッターで飛び入りのことを知った。何かとてもラッキーな気分。鯉朝さんは、まくらでも言ってたけど 「彦八まつり」 に15年自腹参加という素晴らしい方で、大阪の落語ファンの間では一番好意的に迎えられる東京の噺家さんだ。上がって名乗って、瀧川と春風亭の関係や大阪愛を語って大いに受ける。そこからこちらではあまり掛からない噺をということで 「やかん」、小鯛さんがよくやってるけど確かに上方では他にはきかない。冒頭の愚者、愚者でざわざわとして、噺に入り込みにくいんだけど、後半の地口連発から最後の講談調の部分は楽しめた。

最後は遊方さん、天王寺界隈のまくらでメチャクチャ受ける。それにしても大阪のおばちゃんは偉大だな。そこからネタは 「宿替え」。遊方さんで一度聴いてとんでもなく爆笑したこと覚えてる。この噺はやっぱり枝雀さんの印象が強くて、南天さん紅雀さん始め枝雀一門の人でよく聴いている。そして、演者にかかわらず爆笑率がかなり高い。それぞれ皆さん面白いんだけど、遊方さんのはアプローチがまた違うというか、かなり破天荒だ。冒頭の荷造りの場面から高座がギシギシ言いうほどたたきまくる。釘打ち込んで、向いの家やはす向かいや、自分ちに戻ったり、なかなか隣に行けないところがずっととぎれることなく笑いっぱなしで、聴いててしんどいぐらいだった。そこから一転嫁とののろけを隣家でしゃべりだし、ここもどこまで行くねん、というほど笑わせる。そして下げは、暴れまわった後普通に下げる福笑方式かと思えば、もう一回りしてまったく別の形で下げた。で、これがとても良かった。キュンとなってしんみりした。早くも今年の下げ大賞かもしれない。

とにかく今日は笑いっぱなしの会だったけれど、やっぱり花丸さんと遊方さんが秀逸だった。初めて来て、お寺だけど全席椅子席だし、きれいな部屋だし、基本これからも来ることにする。そして最後の遊方さんの通常の形で下げるとみせて、その先で二段落ちみたいな形はとても好きなんだけど、ふと思ったのは、繁昌亭昼席なんかで時々見かける、演者が下げを言い切らないうちに拍手する中途半端で目立ちたがりの落語ファンのおっさんがいたら台無しになりかねないなということ。改めてそんな拍手は馬鹿げた行為だなと。どこで下げるかは当然演者が決めるものだ。