2018.3.2 【いきなり九雀の日@岡町・伝統芸能館】

 【いきなり九雀の日】

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九ノ一 / 道灌
九雀 / 掛取萬歳
由瓶 / 電話の散財
九雀 / 桜ノ宮

九ノ一さんから。今日は 「道灌」、江戸の前座噺で、こちらでは僕は九雀さんと花丸さんでしか聴いたことはない。九ノ一さんで聴く噺は五つ目だけど、聴く度によくなってるように感じる。大きな身体でもシャープによく動くし、表情、特に口の動きが独特で印象的だ。そして明るい高座でよく受けていた。とても九雀さんのお弟子さんらしくなってきたと思った。

そして九雀さん、一席目は 「掛取萬歳」 。年末年始の昔の風俗と、萬歳から今の漫才に至るまでの歴史を分かりやすく説明してネタに入る。狂歌~歌舞伎~喧嘩、ときて最後が演題にある萬歳。九雀さんでこの噺聴くのは初めてだけど、勢いのある派手目の高座がすごく合ってる。萬歳のところでの唄もいい。「掛け取り」 はこの形が本来のようだけれど、最近は萬歳の部分をやらない人が多くなってきて、これはやっぱり説明が必要だからかな。でも 「土橋萬歳」 とかにも出てくるし、九雀さんが最初に話したように、今の萬歳につながっているわけだし、こんな形で引き継いでいくのも大切な噺だと思う。

続いて今日のゲストは由瓶さん、一門の兄弟子、弟弟子の話で大いに受けた後 「電話の散財」 へ。先週も聴いたところだけど、あまりよく掛かる噺じゃない。でも僕は好きだな。由瓶さんのは、とにかく親旦那のキャラがぶっ飛んでいて楽しい。初めて登場した時の奇声でインパクト与えて繰り返すと、次に出てくるのが楽しみになってくる。70才の遊び人て設定にピッタリだし、「話し中」 のキャラにもかぶさってくる。それにしても由瓶さんという人はゲスト枠で出た時最高の仕事をする。自分を呼んでくれた先輩とそのお客に最大限の気遣いをして爆笑につなげる。

最後は九雀さん、「桜ノ宮」 は大好きな春噺だ。東での演題は 「花見の仇討」。大阪以外の人にはこちらの方が分かりやすいかな。昔も今も桜の名所の桜ノ宮界隈、ここで稽古屋の連中がただ花見してもしかたないと趣向を凝らして仇討の芝居を打つ。ところがそこに本当の仇討と勘違いした田舎侍二名がからんできて大騒ぎになる。桜満開の華やかな舞台で、元気な人達がわちゃわちゃと駆け回る、とても楽しい群像劇だ。
そして、九雀さんのは立ち回りのアクションが大きくてとても気持ちがいい。「どっきり芝居」 というネーミングと、下げも通常とは違う形だけど、こちらの方が分かりやすくて粋でとてもいいと思う。

ということで、4席終わった後、九雀さんが下がらずに 「この会では、亡くなった噺家の出囃子を流すのが恒例になっています」 と話して、12月から2月まで続けて亡くなった、仁勇さん、福車さん、慎悟さんの名ビラを三回めくりながら、思い出を語った。皆さんと付合いの「あったという九雀さん、辛そうだったけれどとてもいい供養になったと思う。