2018.2.26 【神戸らくごビレッジ@アートビレッジセンター】

【神戸らくごビレッジ】

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さて今日は一週間ぶりの落語会、気温も上がって春間近という中神戸までやってきた。梅田から阪神電車で新開地下車して、まず喜楽館の様子を見に行く。工事中の建物は防音シートで覆われていたけれど、かなり進んでいる様子で、完成、開場が今から楽しみだ。そしていつものアートビレッジセンターへ。昼の部は今日も完売している。米朝一門の文之助・九雀・吉弥の三人がレギュラーという大阪でもまずありえない会、またネタが出ていないこともあり今日も何が聴けるのか楽しみでやってきた。

弥っこ / iいらちの愛宕詣り
愛染 / 電話の散財
吉弥 / 花筏
仲入り
九雀 / 片棒
文之助 / 住吉駕籠

最近よく遭遇する弥っこさん、先週も聴いたばかりだけど、今日は初めての 「いらちの愛宕詣り」 だ。この噺亭主のぼけっぷりと嫁の突っ込みが楽しくて好きなんだけど、弥っこさんのは会話のテンポがよくて、聴きやすいメリハリのある口跡でとてもよかった。そして、京都が舞台の噺たくさんあるんだけど、洛外というか今でいう洛西エリアだけが舞台の噺はめずらしくて、成立過程なんかも少し興味がある。

次は二つ目、この会以前は仲入り明にゲスト枠が設定されていたんだけど、数回前からその枠が二つ目になり、もっと若手が出るようになった。レギュラー三人のキャリアからするとその方がプログラムとして落ち着くように思える。てことで、今日の出番は愛染さん。この人ちょっと訳あって最近聴いていなかったんだけどやっぱり達者だな。「電話の散財」 は花丸さんで何度も聴いてるんだけど、やっぱりそこから来てるのかな。この人特有の少しずらしてためるような間が心地よかった。

中トリは吉弥さん、先日の京都マラソンに出て5時間切るタイムで完走したけれど、その後が大変だったと。
そこからネタは 「花筏」、吉弥さんの落語は終始さらっと軽くナチュラルに噺を進めていくのだけど、聴いてるうちに楽しくなってくるというか、術中にはまるというか、吉弥さんの落語世界に連れて行かれる感じだ。この噺でも、最後の徳さんと千鳥ヶ浜の対戦で、呼び出しのくささが僕は好きだな。そして千鳥ヶ浜の過剰な怖がりようもいい。終わってみると心地がいいといういつもの高座だった。それと吉弥さん人気者だからか、今日も噺の中で二度も客席から拍手が来たけれど僕は噺聴く邪魔になるのでこれは歓迎できないな。

仲入り明けは九雀さん、将棋の話いろいろ。勝負について云々で 「棋譜が汚れることはできません」 というある棋士の言葉がよかったな。そこから、将棋や囲碁関連のネタかと思っていたら 「片棒」。このネタ上方では何と言ってもこの後トリで上がる文之助さんに代表されるのだけど、九雀さんでは去年一度聴いていて爆発的に面白かったのを覚えている。長男は東大寺での葬式を提案。これもかなり可笑しいのだけど、父親に速攻で却下される。そして次男は宝塚大劇場を使おうと。「ベルサイユのばら」 からマリー・アントワネットが登場して、「ごはんがなければうどんを」とかとにかく大爆笑。今まで聴いた 「片棒」 の中で一番面白かった。

そして最後は文之助さん。オリンピックの話し一通りしてから 「住吉駕籠」。先週千朝さんで聴いたところだ。下げまでいくと結構大ネタになるけれど好きな噺で、僕はこの噺は河内の狭山の…が、酔っ払って同じ話を三回繰り返すところがキモだと思っている。文之助さん、だれずに受け続けたのはもちろんだけど、三回目の 「知ってるやろ?」 の返しで 「知ってます」 というところをほとんど間をあけずに言うのが気持ちがいい。ここはこんな間でやってほしいんだ。その後も更に酔っ払いが語る浄瑠璃で爆笑が続き、下げ前の堂島のジキの件へ。ここで駕籠に二人乗って、中で暴れたり床を抜かして駕籠と一緒に走るジキたちの楽し気なはしゃぎっぷりや、顔をぶつけて困惑する表情がとても豊かでもうこの表現力はさすがというしかない。とても楽しい 「住吉駕籠」 だった。

てことで今回ももちろんよかった。ただ気になることがあって、前回どなたかが喜楽館ができればこの会はそちらでするようになると言ってて、今日が95回で4月と6月の日程は既に出ているのだけど、喜楽館は昼席が7/11からで、夜席は8月からみたいな報道がこの間あったばかりだ。できれば100回目はこのアートビレッジセンターで迎えてほしいところなんだけどね。それと、喜楽館に移れば、向こうは昼が定席になるので、夜席のみになるのかな。今は、この会昼の部に来て、それから神戸で遊ぶパターンが気に入っているんだけどな。どうなるのかその辺が心配だな。