2017.10.29 【繁昌亭昼席・第579週】

【繁昌亭昼席・第579週】

イメージ 1今日の一番太鼓は都一門から湊都さん

なんと4か月も来てなかった繁昌亭昼席、今週は文五郎さんの昼席初出演ウイークで、トリが福笑さん、中トリが文喬さん、そしてたまさんに講談の南湖さんと楽しみなメンバーが揃った。久しぶりに来てみるとやはり寄席はどんな流れになるのか予測できないことが多くて普通の落語会とは空気が違う。結構わくわくしなから開演を待った。

文五郎 / 普請ほめ
ちょうば / 強情灸
出丸 / 寄合酒
南湖 / 赤垣源蔵・徳利の別れ
文喬 / 涙をこらえてカラオケを
仲入り
福車 / おごろもち盗人
吉次 / 権兵衛狸

まずは文五郎さん、骨折から復帰後僕は聴くの二回目だけど、きちんとネタをするのは初めてだ。そんなことで 「普請ほめ」 なんだけど、冒頭から甚兵衛はんがとても表情豊かで、乗り出す仕草もピタリと決まる。そしてアホが来て異様にビビる池田のおっさんがおかしい。それにしても文五郎さんの上方言葉がいい。やっぱりこの人ただの若手じゃない。

続いてちょうばさん、ちょうばは朝丸のちょうとざこばのばから来てる名前だと。確かにそうだ。てことで師匠のざこばさんの財布の話で受ける。そこから噺は 「強情灸」、勢いがネタに合ってる。

そして出丸さんと、ざこば一門が続く。先日出た京都 「かねよ寄席」 の話題で受ける。出演はうなぎ他らしい。そしてネタは 「寄合酒」、口跡がきれいでとても分かりやすい落語だ。アマチュアの人に教えるのにぴったりしてるようで気持ちがいい。

次は講談の南湖さん、講談では、、夏は幽霊、冬は義士と相場が決まってます、と 「赤穂義士伝より赤垣源蔵」本当に講談の醍醐味をスパッとみせたような高座で、吉良邸の表門、裏門に並ぶ47士の名前をずらりと立て弁で言ってみせるところでテンション大いに上がる。そして仇討を果たした義士たちの引き上げる様もまたいい。

続いてたまさん、あれっと思うとお茶子さんが釈台を置いたまま下がる。たまさんすわってそのまま始める。珍しい場面だ。ショート落語のベスト番でとても受ける。やっぱり博多でナンパが好きだな。そこからネタはシネマ落語ということで 「シザーハンズ」、僕はこの映画観ていないんだけど、名場面が次々出てきてるらしい。でもそれに関係なく爆笑の連続で、やはり今日も紙切りでミッキーを。最前列の女性がもらっていた。そして次々繰り出した後に、この後噺はまだまだ続きますがちょうどお時間となりました、で講談風に下げる。そのために釈台残したのか。

中トリは文喬さんなんだけど、たまさんが下げで雪に見立てて切り刻んだ紙を巻き散らかしたのをお茶子さん片づけない。どうして?  と思っていたら、それをネタに文喬さんがたまさんをいらいまくる。ああそういうことなんだ。南湖~たま~文喬の流れは多分全部たまさんの仕掛けだろう。分かる人には分かるというかなかなか芸が細かい。そして文喬さん、ネタは兄弟子三枝作の 「涙をこらえてカラオケを」、この人の新作は 「研修医山田一郎」 が有名だけど、こんな噺もするんだな。カラオケものだから当然かもしれないけれど、マイクの使い方がとても上手い。ボリューム上げたり下げたりで客席を引きつける。パチンコ葬、カラオケ葬、いろんなのが出て来て楽しい。

仲入り後は漫才から、三吾・美ユルの親子漫才、繁昌亭で漫才はあまり聴けないけれど、爆笑で大いに受けていた。美ユルさんの長い早回しのセリフがいいな。

つぎは福車さん、出囃子はフォスターの草競馬。上がって泥棒小噺をいくつか披露、これで客席をすっかりつかんでしまう。ネタは 「おごろもち盗人」、出てくる泥棒が強気弱気を繰り返すのがおかしい。そして通りがかりの男に財布の中の5円をとられてしまうとぼけっぷりもいい。福車さん独特のゆるさが楽しい高座だった。

そして吉次さん、53才で5才の娘がいるといういつものまくら。でもこの話はなんかほっこりする。そこからネタは 「権兵衛狸」、最近吉次さんではほぼこの噺を聴いてるように思う。田舎で床屋をやってる権兵衛はんのところに狸が転がり込む噺、何か民話的なテイストが吉次さんに合ってるように思う。

そしていよいよトリの福笑さん、大阪のお客さんは金払ったら笑わな損みたいなところがあると。そんな話をひとくさりして、道頓堀や新世界の中国人の話に。かなりオーバー目に中国人の話をしてから 「きょうの料理」 はテレビ番組の中華料理の噺、福笑さんの結構昔の噺だと思うけど、わけの分からない料理が次々登場して大爆笑になる。ここでも福笑さんの、どこまでいくねん感のしつこさが満載で楽しい。だけど、福笑さんの中国人口調を聴いているとゼンジー北京にしか聞こえなくなってちょっと困った。

ここまで十席楽しかった。大阪では動楽亭もあるけれど、いろんな意味で出来上がった寄席は繁昌亭昼席だけなのでもっと来なくてはと思った。そして情報源であるホームページの改悪について、今日投書をしておいた。なんとかならないものかな。