2017.9.26 【月刊笑福亭たま9月号・寄席小屋研究会R@繁昌亭】

 【月刊笑福亭たま9月号・寄席小屋研究会R】

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今月の月刊たまは、八聖亭と動楽亭で二回開催された 「寄席小屋研究会シリーズ」 のR (リターンズ) になるらしい。ということで、前座、二つ目は過去二回にも出演した元繁昌亭スタッフコンビの天使さんと智丸さん、そしてゲストは客席参加型落語の第一人者でたまさんとは 「できちゃったらくご」 でも競演している三風さん。どんな内容になるのか想像しにくいけれども、ともかく開演した。

たま / 前説
智丸 / 天狗刺し
天使 / 十枚目
たま、三風、天使、智丸 / トーク 「あなたの知らない繁昌亭」
たま / 兵庫船
たま / 包丁
仲入り
三風 / 目指せ!ちょっと岳
たま / 新作ショート落語~最後の晩餐

たまさん、まず幕前に出てきて、ケータイの鳴る会、鳴らない会いろいろあるけどその傾向について来月の月刊で発表すると。そして今日の主旨、アンケートを簡単に説明する。

そして智丸さん、「天狗刺し」 は初めてだけど、いつもながらキャリアを超越したようなべたっとした大阪ことばがいい。この口調で 「それをあんたに相談に来た」 と言われるともう爆笑しかない。

続いて天使さん、大阪のとある区民寄席で、別室でオーケストラの公演がありなぜか 「時うどん」 の下げがオケとぴったり合った話で受ける。そこからの 「十枚目」 は 「皿屋敷」 の改作。いつも通り聴きやすくて楽しいけれど、演題変えるのならもう一工夫ほしいかな。

トークは事前に質問事項のアンケートに記入したものを開演前に回収した。すでに解散した繁昌亭の企画戦略委員会メンバーだったたまさんと三風さん、結局米朝一門は高座が高いという話が一番面白かった。それ以上書けないこと多し。

たまさん一席目は兵庫船、改めて思うけどよく通る聴き心地のいい声だ。きゃっきゃ言う喜六が楽しいけれど、なんでも早く手を上げる男でリズムをつくっていく。会話の切れがいいから何度も繰り返しても飽きない。そして船頭が渋い。たまさんおっさんの表現も達者だな。そして下げは通常。とてもたまさんらしくて勢いのある 「兵庫船」 だった。

続いて二席目、上方と江戸の交流が人もネタも益々盛んになってきている。そして、時うどんと時そばは、それぞれ逆にしたパターンも最近はよくあると。確かにこのネタについては4種類のバージョンがあってそれぞれ楽しい。そこから噺は 「庖丁」、上方では 「庖丁間男」。 元々はどちらのネタかはっきりしないみたいにたまさん言ってたけど、トントントンと歯切れがよくて江戸っぽく聴こえる。下げにつながるテンポのいい展開も楽しい。

仲入り後はようやく三風さんの出番、それにしても月刊たまはゲストの待ってました感が強い。三風さん、今年7月、文枝さんの芸歴50年記念の富士山落語会に同行した話で大受け。これこそ日本一高い高座だと。
そこからネタは 「目指せ!ちょっと岳」、かなり前に一度聴いているのだけど、天王寺大学山岳部の学生が帝塚山山ガールズのガイドを引き受けたつもりが、実はそれが西成婦人会のばあさんたちの登山だったことで起きるドタバタの噺。三風さんらしく人情も散りばめられて楽しかった。

最後たまさん、新作ショート落語はサルモネラ菌、ケンタッキー、サイコパスとか今回は結構面白かった。そして新作ネタおろしは、できちゃった、でやったのを演題変えて 「最後の晩餐」、僕は聴くの初めてだったけど、所属する教会がつぶれて牧師を廃業することになった男が飲んでいる。今までいろんなこと懺悔されて他の人に言えなくて苦しかったけど、これからどんどんばらしてやると不倫の話とかしゃべりだす。そして話の区切りごとに 「アーメン」 と言ってグラスを上げる。何やら 「ひとり酒盛り」 のようでもあり 「バーテンダー」 的な要素も感じられ面白かった。月刊の新作としてはかなり完成度は高いのでは。

サブタイトルの 「寄席小屋研究会」 については、、企画した時期と今の状況がかなり変わってることもあるのだろうけど、何か主旨が空回りしてた感じもする。だけど全体的には今回も盛りだくさんで楽しかった。そしてやっぱりたまさんだけでなく、共演者が三人いるとそのメンバーのウエイトも結構高くなる。そんな意味では今日の三人はとてもよかったと思う。