2017.8.24 【月刊笑福亭たま・8月号@繁昌亭】

 【月刊笑福亭たま・8月号】

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24日にして今月初めてでしかも最後のの繁昌亭だ。もちろん落語会に行ってないわけでなくて、何か高津と動楽亭ばかりに行ってる感じだ。こうしてみると、大阪の落語ファンの中での繁昌亭の存在が決して圧倒的というわけでもないのがわかる。そんな繁昌亭で毎月続く「月刊たま」、多分僕は2年半ぐらい皆勤だと思うけれど、すっかり僕と繁昌亭をつなぎとめる存在になっている。そんな毎月の楽しみ、もうすぐ開演だ。

染八 / 平林
松五 / 餅屋問答
たま / チリトテチン
たま / 苫が島
仲入り
都 / 星野屋
たま / 新作ショート落語~妖刀村正

染八さん、「平林」 は2回目、いつものようにはっきりした口跡でリズムもいい。名前の読み方を普通に四つ覚えられることに気づいた定吉がおかしい。 

たまさん、一席目のまくらで、先日も聴いた腹立ち日記のことを。そして繁昌亭集客員会の昼席改善案のこと、バーテンダーの客あしらいなんかについてしゃべった後 「チリトテチン」、元々はカタカナ標記だったので、これからはそうすると。でもカタカナにしただけで、何やら怪しげな印象になるのは気のせいか。
噺は、わさびたべるところで設定変えてたり、チリトテチンのつくり方が更にとんでもなかったりというのはあるけれども、全体的にはいつも以上の疾走感が気持ちのいいたまさん落語だ。しかし竹にチリトテチンをどんぶり一杯一気食いさせたり、その後の断末魔とかとんでもない場面もきっちり盛り込まれていて気持ちよさだけでは終わらせない。もちろんこれもたまさん落語だ。

続いて二席目は 「苫が島」、珍しい噺で、するのは文我さんとたまさんぐらいらしい。江戸時代初期、紀州徳川家の頼宣公が久々に国に帰ってくるという事で、地元では行列を迎える準備でお祭りのようになっている。そんな中でいろいろとドタバタが起きる。そして場面転換で行列が終わった城内、殿が 「苫が島」 の事を聴き、狩りに行くと言い出すけれど、家臣は物の怪の住む島と思いとどまらせようとする。しかし、結局行くことになる。そして大鷲が出る大蛇が出るで大騒ぎ。面白い噺だと思うんだけど、どうしてやり手が少ないんだろうか。数少ない紀州ネタでもあるし。たまさんのネタとしては平均点ぐらいか。あまり手を入れにくい噺にも思えるんだけどね。

仲入り後は都さん、相変わらずまくらの話は面白い。たまさんとは仲がいいようだ。で、以前繁昌亭での一門会でのネタおろしの 「船弁慶」でたまさんにプロンプターを頼んだことがあると。この時実は客席にいたんだけど、 正直かなりひどい高座で、この人の落語はもう聴くまいと思った。そして久しぶりに聴いたのが一昨年の 「月刊たま」 での 「子は鎹」、とてもよかった。今日の 「星野屋」 も同様によかった。都さんにはもう得意ネタだけやっていただければと思う。何より、都さんはお弟子さんをガンガンとって一門を形成している立派な師匠であるわけだから。都さんの落語は本当に楽しいなと今日改めて思った。

最後たまさん、ショート落語は何やったかな。ちょっと思い出さない。
新作は 「妖刀村正」、ネタおろしではないそうだけど、僕は聴くのは初めてだ。 妖刀村正と言えば、落語では何と言っても 「大丸屋騒動」 なんだけど、特にモチーフにしてるとか言うことはないようだ。
噺はある商家の三番蔵、しかし落語に出てくる蔵はどうしてことごとく三番蔵なんだろうか。
その中には気色の悪いものがたくさん入っている。中には主人に仇なすものとかもあって、そんな村正が番頭や定吉の手に渡って騒動が起きる。たまさんだと狂気よりも滑稽のほうにどうしてもシフトされるけれども、たまさんの新作ではあまりない雰囲気の噺なので、先でどう変わるのか楽しみだ。

今月も楽しかった。でも今日は 「チリトテチン」 の破壊力が抜群だった。最近たまさんの落語の中に、一気に突っ走って爆発的に面白い、だけでなくで他の要素もちらほら見えるように感じるのは僕だけだろうか。