2017.7.28 【佐ん吉・鯛蔵・米輝の落語ゼミ@高津神社・末広の間】

 【佐ん吉・鯛蔵・米輝の落語ゼミ】 

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佐ん吉さん、鯛蔵さん、米輝さん、個性的な三人のユニットは去年9月にこの場所で3日連続落語会の開催から始まった。そして今年に入り、2か月に一度の定期的な開催になった。とてもいい会だと思っているのだけど、月末近くの開催になっているので、いろいろと都合があったりして2回続けて来れなかった。1月以来てことになったのだけど、今日改めてチラシをみていると何ともいいネタが並んでいる。三人の個性にとてもあったネタに思える。果たしてどんな展開になるのかとても楽しみだった。

米輝 / 八五郎坊主
鯛蔵 / 火焔太鼓
佐ん吉 / たちきれ
トーク・反省会 / 佐ん吉・鯛蔵・米輝

米輝さん、若手グランプリで優勝したけど、それで仕事の依頼が来たとか言うことは全くないと。まだ一カ月少しだからこれからだと思うけどね。優勝したのは素人時代の 「鼻えんぴつ飛ばし」 以来らしい。これもまた新作一本書けそうなネタだな。米輝さんは優勝ネタの 「イルカ売り」 とか奇怪な新作のイメージが強いけれど、本来古典をきっちりできる人だと思っている。「八五郎坊主」 は、ずくねん寺の和尚が 「天災」 の医者のキャラに似ていて僕が一人で受ける。米輝さんの落語は口跡きれいだし、ほとんど噛まないし、言葉の一つ一つがくっきりしていて、それを自在に強調できるように思える。だから聴きやすいし困惑の間で笑いも起きる。

続いて鯛蔵さん、6月の初めに、二乗さん、松五さん、石松さんの平成15年入門同期で宍道湖に旅行した話、同期の落語会は遠慮がない分よくもめて続かないケースがあるけれども、「四尺玉」 という会を今も続けている。今回も鯛蔵さんが広島出身なので広島で四人で落語会をしてきたそうだ。そこからネタは 「火焔太鼓」、これはネタ出し見た時から鯛蔵さんにピッタリじゃないかと思って楽しみにしていた。鯛蔵さんの落語は、ちょかというか、ワチャワチャしてる様子を表現するのがとても達者だ。この噺でも旦那と定吉の応酬とか爆笑だ。
「火焔太鼓」 は最近は南天さんで頻繁に聴いているのだけど、設定はかなり違う。下げもこのパターンが上方本来のものなのか。こうしてみると 「火焔太鼓」 の、南光さん~南天さん~小佐田さんの方が改作しているのがよく分かる。

最後は佐ん吉さん、7月の前半暇だったのでバイトでもしようかと 「フロムエー」 をみていて、この時給いいなと思ったらフロアレディの募集だったと、またとぼけた話から 「たちきれ」。端正な 「たちきれ」、前半の番頭が若旦那を 「おすわりやす」 「すわんなはれ 」と諫める場面もいい。蔵へ入れられ100日経って番頭と話した時の若旦那の清々しさが印象的だ。そして、紀の庄に行き女将と会う。小糸が亡くなったこと聞き驚く。女将の長セリフ、飛び込んでくる朋輩衆、少し笑いが起こる。そして若旦那独白 「一生妻と名のつくものは持たない」。淀みなく流れてよかったのだけど、出来れば若旦那にもう少し乱れてほしかったかな。
そして、僕がこの噺で一番分かりにくいのは、80日続いた手紙を番頭が全く評価しないで、100日続いてたら……と、極端に手のひら返す場面、先方は100日蔵住まいの事知らないわけだから、80日と100日でこんなに評価が違うのはおかしい。でもこれは番頭の後付けのこじつけだったのかな。

そして三席終わった後は、本日の反省会。まず9/14~16の三日間開催の告知、これはまた厳しい日程になった。そして彦八の件、いろいろ連絡事項、の後今日のネタについて。このトークは面白い。以前あった南天さん・生喬さんの 「らくご道」 では同じようなトークがあってとても楽しかったこと思い出した。
今日の三本のネタの来し方をそれぞれ話していたのがとても興味深かった。そして 「火焔太鼓」、江戸時代大坂には武士はとても少なかったので行列と遭遇したとかの設定は無理があるけれども、唯一の例外として幕末には政治の中心が京都になっていたため大坂にも武士はたくさんいた。なので、この噺は幕末の大坂という設定にしている、という話だったな。