2017.7.30 【神戸三宮南天の会@シアターエートー】

【神戸三宮南天の会】

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さて今日は神戸での南天さんの会、会場は4月のこけら落しで吉坊の会に行った、三宮のシアターエートー、大阪芸大ゆかりの新しい小屋で、南天さんもその流れで会をすることになったのかなと思っていた。4月の印象は
100名キャパでとても見やすいこじんまりとしたホールというもので、その後、落語では南光さんやまん我さんの会も開催されて、駅から徒歩2~3分とロケーションもいいし、新しい小屋としてはなかなかいいスタートをきったなと思っていた。

南天 / あいさつ
小鯛 / つる
仲入り
雀五郎 / 蔵丁稚
南天 / 算段の平兵衛

まず南天さん上がってごあいさつとこの会の主旨説明。南天さん、大阪では自分の会を最近ずっと、太融寺や岡町や動楽亭で毎月しているけれど、どうしても同じ大阪で同じネタを頻繁にできないので、少し離れた京都や神戸での会もやりたくなってくる。そんなことで今回の会もすることになった。特に神戸の人には来ていただきたいのでよろしくお願いします、とのことだった。そして、今日の客演の小鯛さん、雀五郎さんのことに触れてほめて下がった。

開口一番の小鯛さん、今日の演目は 「つる」。南天さんが現在最高峰の前座とほめていたけれど、今日もリズムよくとんとんと運ぶ。小鯛さんは語りだけでなく顔もいい。とても落語的な顔というか、いろんな表情が自然と出てくるような顔に見える。そして言葉の一つ一つも聴きやすくつながっている。今年で10年目、先がますます楽しみだな。

南天さん、無趣味だという話から一席目は 「茶の湯」、この噺も南天落語の鉄板の一つだけれど、僕は元々 好きな噺じゃなくて、長すぎて後半だれてくるなと思っていた。でも南天さんのを何度も聴いているうちに長すぎるとは感じなくて、とてもスムースに噺の筋が入ってくるようになってきた。そして今日も訳の分からない成分のお茶や菓子を食べた時の客の表情が爆笑だ。僕からするとこの噺は南天さんから聴き方を仕込まれたように思える。「茶の湯」 という本来粋な遊びをおちょくるという落語の精神に合った噺だし、下げも好きだな。

仲入り後は雀五郎さんで 「蔵丁稚」、ご存知忠臣蔵四段目からの噺だけど、「七段目」 を覚えようとしていた時のひろばさんの話で爆笑。「同じ名字が二人いてややこしいて、親子やちゅうねん」。 
「蔵丁稚」 もちろん主役の定吉が大活躍するのだけれど、「初天神」 と同じように雀五郎さんの子供の表現はとてもいい。落語に出てくる子供はだいたい生意気な困っしゃくれたところがあるのだけれど、それが強すぎると全然かわいく思えなくなる。雀五郎さんの子供はその辺のバランスが絶妙だ。もっと他の子供噺も聴きたいな。
「子はかすがい」 とかしないのかな。

最後は南天さん、「算段の平兵衛」 は南天さんで三回目。最近は他の人では聴いていない。僕はこの噺も好きなんだけど、平兵衛はやっぱり悪い奴、でも悪人過ぎると落語にならないし、かと言って本当はいい奴、て言うのでもないし、そのあたりがとても微妙になってくるんだろう。僕は落語に出てくるちょっと悪そうな主人公には好意的な方なんだけど、特に平兵衛にはピカレスクな空気をまとっていてほしい。南天さんが5月に百年長屋でされた時は庄屋をがけから落とした後に、徳の市と平兵衛の会話の場面があって、ここがかなり平兵衛の悪さを強調していたと思うけど、今日はその場面はなくて、役人が徳の市という名前を出すに留めていた。百年長屋とこことの会場の違い、客層の違いもあってのことだろうけれど、僕は徳の市との会話シーンがある方が好きだな。悪さをまとった平兵衛であってほしいから。

落語自体はとても楽しかったけれど、申込順に座席を主催者が決めてしまうというシステムはいただけなかった。指定席であれ自由席であれ、どの席を選ぶかも含めて商品なんだから一方的に席を決めていいと思ってるのだとしたらそれは間違っているのでは。次回あったとして、またこのシステムを採用されるのなら僕はもうこの会には行かない。