2017.7.26 【月刊笑福亭たま・7月号@繁昌亭】

【月刊笑福亭たま・7月号】

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7月の月刊たまはゲストが遊方さん、そして出演の4人が全員踊りを披露するというなんとも盛りだくさんなプログラム。まあ、この会が盛りだくさんなのはいつものことだけど、今月は始まる前からたっぷり感満載だ。果たして何時に終わるのかそちらの方が心配だったかもしれない。ところで、最近上方の落語会では踊りをプログラムに組み込んだのが目立つように思う。生喬さんの会でもよくやってるし、ある面色変わりみたいなものでとても楽しい。そしてみなさんが踊られると、それぞれの違いも観られてなお楽しい。そんなわけで今月もわくわくしながら開演を待った。

しかし、この写真の夜席香盤表、みているだけでは理解できなかったのだけど、プログラムでようやく分かった。
こういうことだったんだ。

天使 / 煮売屋
石松 / 鉄砲勇助
たま / 借家怪談
踊り(一部)  天使・夕暮れ、石松・河太郎
たま / 桑名船
仲入り
遊方 / クレーマークレーマー
踊り(二部)  たま、遊方・奴さん
たま / 新作ショート落語~ニコニコクリーニング


天使さんで 「煮売屋」 は初めてだけど、いつも通り落ち着いた口跡。しかし短めだな。踊りの時間を意識してのことなのだろうか。

続いて石松さんで 「鉄砲勇助」、なんと聴くのが5年ぶりだ。その頃とは落語の印象が一変してる。そりゃそうだろう。5年も聴かなかった方が悪い。「三段腹の二枚舌」で爆笑。次々出てくるほら話がリズムよく流れていく。

そしてたまさん、タブレット持ち込んで、落語家の事が載ってる記事を紹介したりしてよく受ける。そこから一席目は 「借家怪談」、落語的で好きな噺だ。たまさん、こういう長くはない噺を一気に語るとむちゃくちゃ面白いな。後半のやたけたな男の件でどんどん勢いが出てくる。

ここで踊りが入る。梅十三のお師匠はんが斜め前に座った。まず天使さんは 「夕暮れ」 伸びやかでいいな。それに何か色っぽい。続いて石松さんは 「河太郎」 河童のことらしい。こちらも切れ味あってかわいくていい。短い時間だけど楽しかった。

そしてたまさん、二席目は 「桑名船」、この噺、東では 「巌流島」というのだけど、上方では 「演題」 だけ残っていて内容は全く残っていなかったのを文太さんが復活させた。そして噺が残っていなかったのに、ハメモノについては語り継がれて残っていたと。何かすごい話だけど、「桑名船」 の旅噺の中でのポジションが以前から分かりにくいと思っていたので、それを聴いて少し腑に落ちた。そして前半に折句をいれたのも文太さんのアイデアだそうだ。たまさん版は折句の内容はたまさんネタらしい。この折句の場面で、いろんなキャラの人が次々登場して個性が際立つところが楽しい。そして必ず、おみゃーさー、のおっさんで締めるのがいい。ところがこの乗合船のほのぼの感が、難儀な侍が一人登場することによってガラッと変わってしまう。みんなでその侍を離れ島に置き去りにしたらなんと泳いで船に迫ってきてさてどうなるか、でスコンと下げ。上方でも特定の何人かしかやらないように思うけどもっと聴きたい噺だ。

仲入り後は遊方さん。「たまは、賢さをこじらせていってる」、名言かもしれない。そこからいろんなクレーマーの話、新今宮のふぐ屋へのクレームで爆笑。そこからネタは 「クレーマークレーマー」、以前一度だけ聴いたことあるのだけれど、キャラメルから金属片が出てきたことから、メーカーにクレームを入れるけれど、それがとんでもない展開になり大爆笑となる。遊方さんの新作はこんな数珠つなぎみたいなストーリーが楽しいのが多い。かなり直感的に噺を組み立てていくんだろうか。この5日間で遊方さんを3回4席聴いたのだけど、どれも面白かった。とりあえず遊方ウィークが終わった。また近いうちに聴きたい。

続いてたまさん、遊方さんの踊り。二人とも一応  「奴さん」、たまさんは普通に踊った後、「春團治さんだよっ」、で色々三代目の所作を入れて踊る。よく受けていた。そして、遊方さんは 「ブラウンシュガー」 で奴さんを踊る。そう言えば、以前 「月刊たま」 のゲストが梅十三のお師匠はんの時、梅十三さんがこれを踊っていて、すごいもの見た気がしたの思い出した。遊方さん何より自分が楽しそうだったけど、やはりのお師匠はんの方がすごかった。

最後たまさん、新作ショート落語は、ヒアリ、ワタナベケン、アベシュショウ、とか。そしてネタは何度か聴いてるけれど 「ニコニコクリーニング」、クリーニング店での客対応の噺で、何か遊方さんのと似てると言えば似てるけどそういうのは実はあまり気にしない。確かにクリーニングはクレーム産業的で、シミ抜きとか最たるものだけど、ベテラン店員が客を煙に巻いて納得させる様のギャグが楽しい。そして新人に仕事教える時の 「大阪の人間は最後にドンドン言うといたらみんな笑うねん」 で爆笑。下げもいい。これはもう十分完成品だと思う。

やはり盛りだくさんだった。そして落語の中に入った踊りが皆さん上手くてスマートで、とてもよかった。最近の「月刊たま」の中でもかなりいい方の会だったと思う。