2017.7.15 【紅雀の・昼の部、夜の部@堺筋本町・ステージ空】

紅雀の・昼の部、夜の部】

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今日は紅雀さんの会が昼夜公演、好きな噺家さんがこういうことをしてくれるとやっぱりたまらん。そんな楽しみで出掛けた。以前の会社が本町にあって、当時よく行ってたおいしいうどん屋でランチしてから向かったのだが、何を思ったのか、堺筋本町じゃなくて、長堀橋が最寄り駅と勘違いしてしまって~大阪の人は分かると思うけど、どちらの駅周辺も道路が完全に碁盤の目になっているので風景が区別しにくい~しばらくさまよった後、ようやく事実に気がつき開演ぎりぎりに到着した。念のため僕は全く方向音痴じゃないんだけど、出発点を間違えては目的地に着くはずがなかった。
そんなわけで、僕にしては珍しく、到着ほぼ即開演となった。

(昼の部)
紅雀 / 時うどん
雀喜 / アンドロイドJ
紅雀 / ふたなり (ネタおろし)

紅雀さんまず上がって、今回初めて二回公演にしたのは、最近長い落語会多いので短い会でささっと笑ってすっと帰ってもらおうと、そして時間空けて夜の部を別にする。そんな主旨だったけど、実際はほとんどの人が通しの予約だった。なので昼と夜の間が時間あいてしまって申し訳ないことになったと。そこから親指を切った話、学校寄席のまくらで受けた話は iphone の Siri とリーゼントの兄ちゃん。まあ、盛りだくさんンで爆笑続くまくらなんだけど、それにしても紅雀さんよく面白い出来事に遭遇するな。 ていうか面白い話にするのが上手いのかな。
そしてネタは間違えたリベンジということで 「時うどん」、もちろんこれも爆笑なんだけど、ベテランの面白い「時うどん」 は、所作としゃべりのつながりがみなさん独特だ。「引っ張りな」 のところでも大きなアクションするとまた大きく戻さないといけないし、僕は小刻みにスパッと切れていくほうが好きだな。

そして今日のゲストは雀喜さん、ゲストも昼夜通しだ。雀喜さんは落語会のタイトルつけるのが好きらしい。この会も30回超えてるので 『紅雀が』 とか 『紅雀と』 とかに変えればどうかと。客席の反応は今一つだった。でも弟弟子・雀五郎さんの会の提案で爆笑、でも雀五郎さんは 「嫌です」 とあっさり却下したらしい。そして米朝アンドロイドの話から 「アンドロイドJ」 に。聴くの二度目だけど、ある噺の肝心な下げ前で噛んだ噺家が病気で余命がなくなり、高い費用をかけてアンドロイドを制作。アンドロイドは何があっても噛まない。それで噺家として人気も出てきたけれど、結局アンドロイドは客席とコミニケションをとれない。そして実は噺家が生きていたことが分かって……、と言う噺「。米朝アンドロイドが注目集めた時、雀喜さんんなりの気持ちを表現したネタらしい。いい噺だな。

紅雀さん二席目はネタおろしの 「ふたなり」、この噺、登場人物も場面転換も多くて、さらに 「ふたなり」 というテーマも結構怪しげだ。難しい噺だと思うのだけど、紅雀さんはあまりそんなことを感じさせない。紅雀さんの落語はネタおろしの時でもきちんと積み上げたというよりも、直感的に処理したように聴こえる。よく噛んだ噺「が出てくるけれど、僕は正直あまり気にならない。もちろん稽古はきちんとされているのだろうけど、そういうのが想像しにくいということだ。だから「やっぱり天才なのかなと。でもこの噺、「ふたなり」 という要素がなくても十分噺として成り立つと思うのだけど、入ることによって下げ前にも一ひねり加えてる。この先紅雀さんんでこの噺がどう展開していくのかとても楽しみだ。

という事で100分弱で昼の部終了。通しの人達は改めて並び直す。実はこの会場は基本フリースペースなんだけど、形の都合で、入ってすぐのスペースに奥に向けて高座をつくっている。高座の後ろに暗幕をつるして。そして客席前方のスペースに約30脚、後方の中2階みたいなところに20脚ほど椅子を並べている。そして中2階の下の半地下のスペースが楽屋と下座になる。今回は到着が遅れたため、中2階しか空いてなかったんだけど、これがなかなかみやすい。演者の方は僕らの座ってる下から出ていき、そこに帰って来る。だから前方の人と僕らとでは拍手のタイミングが微妙にずれるのが面白い。そして「僕らが座ってる真下から三味線や太鼓が聴こえてくるのもまた楽しい。なかなかユニークなつくりのスペースだ。

(夜の部)
紅雀 / 幸福男 (新作ネタおろし)
雀喜 / 軒付け
紅雀 / 饅頭こわい

紅雀さん、今の政治情勢を突っ込んだ後、小学生の娘さんの友達が夏休みで家に遊びに来る話。しかし今時の小学二年はそんなこと話題にするのか。そしてネタに入ったけれども、漠然と新作ネタおろしは二席目だと思っていたので、気病い系の噺に入った時、「崇徳院」 「千両みかん」 「宇治の柴舟」 それともまさかの 「擬宝珠」、と思ったけれど、どうも全部違う。じゃあ何なんだと少し聴いて、これが新作ネタおろし?となって、確かにそうだった。男が恋仲のみっちゃんに、伊勢屋の番頭との縁談が持ち上がり、勝ち目がないと男は臥せってしまう。ここで男は紹介で安楽斎という医者に見立てをしてもらいに行く。この安楽斎、常に幸せを感じる男で、逆に人が不幸になるほど幸せを感じる殿様と相いれない。そして拷問がエスカレートして最後はスコンとひっくり返して下げになる。前半と後半の噺が変わって最後はシュールに。紅雀さんらしいかもしれない。

次は雀喜さん、浄瑠璃の話、床が回転する時手裏剣投げたくなると。確かに忍者屋敷みたいで、別に回転しなくても普通に入れ替わればいいだけかもしれない。雀喜さん、浄瑠璃知らない人向けに太夫と三味線のすごさを延々と語る。そして軒付けの実地で大騒動に。だけど浄瑠璃、練習してある程度語れないと、下手にきかすこともできないよな。いつも楽しいネタで、当時の大坂の浄瑠璃を取り巻く状況がよく分かって好きな噺だな。そして雀喜さんが楽屋に入る時、中2階より2度目の拍手、なんか楽屋にいて拍手で演者を迎える感じだった。

最後は紅雀さん、うかつなのにいらちだ。どちらかだけならともかく、両方備わるとかなり危険だと「。それにしても高速での事故の話はビビった。紅雀さん気を付けないと。そこからネタは 「饅頭こわい」、紅雀さん鉄板だな。この噺、東西でかなり扱いが違う。江戸は前座噺、上方はトリネタになる。紅雀さんのは幽霊が出てくるところとかかなり怖い。ボリュームがあって聴きごたえのある噺になるけど、僕は正直怪談めいた部分がない方が好きだな。上方版はメインがどこなのか分かりにくくなる。

以上今日は紅雀さんを一日で四席、十分に堪能した。なんとも贅沢な一日だった。