2017.7.11 【たまのパワーアップ落語会@動楽亭】

【たまのパワーアップ落語会】

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パワーアップ落語会、おそらく1年限定なんだろうけど、もう折り返しを過ぎて7回目だ。トークコーナーの仕様がよく変更になってるけれど、若手三人続けて聴けるのがなかなか楽しくて、そしてゲストの高座、たまさん二席と、たまさんの会のなかでもボリュームについては一番だ。この盛りだくさん感が僕には贅沢に感じられる。今日の客数は60人ぐらいか。最近のたまさんの会にしては男性も結構いる。てことで開演だ。

たま・遊真 / 5秒根問
遊真 / 子ほめ
棗 / 時うどん
優々 / 擬宝珠
トーク / たま・優々・棗・遊真   たま・文也
たま / 千客万来
仲入り
文也 / たがや
たま / 三軒長屋

まず5秒根問から。たまさん上がって今日は三題にします。ということで、「着物はどこで買いますか」 と後なんだったか。さくっと終わってこれぐらいがちょうどいい。

そして、最近よく前座で遭遇する遊真さん、今日もいつも通りきちんとした高座。本当に先が楽しみだ。

次は棗さん、初めてだ。これまでどうしても見た目の印象が勝っていたのだけれど、これもなかなかきちんとした「時うどん」、軽快でリズムのいい口跡で、すごく落語を聴いてる感が強かった。都一門からまたいい人出てきた。

三人目は優々さん、この三人のなかではキャリアはかなり上だけど聴くのは久しぶりだ。で、ネタはなんと「擬宝珠」、熊はんの大声でつかんで、この噺定番のギャグも入って、若旦那が狂気ぽくてかなりいい。そして、同じ性癖が分かった時の 「親子やな」 てのもいい。だけど、この噺僕は喬太郎さんが発掘したときいているのだけど、最近上方で時々掛かってるのはまた別の流れなのかな。そこが謎だな。

そしてトークコーナー、若手三人とたまさんのは、師匠から怒られた話、いろいろ出てきたけど僕らが思ってるほど理不尽なことはないみたいだな。でも今だから言えるてのは楽しかった。
引き続きたまさんとゲストの文也さん二人のトーク、人の悪口が趣味という文也さん、危ない話が続々出てきて、相手がたまさんだから、それをまた転がす。ほとんど書けることないけど面白かった。

これでもまだ仲入りにならない。たまさん一席目は師匠福笑さん作の 「千客万来」、落語は基本不特定多数か特定少数の登場人物の噺になるけど、福笑さんはこれつくった時、特定多数の登場人物の噺を目指したらしい。尺はかなり長かったので短くしたと。留守番中の男に電話が掛かってきて、それが詐欺の電話で、買い物行ってる奥さんも絡んできて、おまけに空き巣に狙われて、なぜか関東連合関西支部まで登場して、いろんな人がこの男の家に押しかけてくる。そしていろいろまずい状況で、次々風呂場に隠れることになる。
奥さんに横恋慕する男、芝居好きでシェークスピアを演じだす。更に教会のシスター登場しみんなが懺悔しだす。こんな風にしっちゃかめっちゃかだけど、スピードのあるいいテンポで話がつながっていく。たまさんが短くくしても相当いろいろ詰まっている。面白さ凝縮された即戦力の爆笑噺だ。福笑さん、昔の新作をあまりやらないので、たまさんが発掘して取り上げていってほしい。

仲入り後はようやく文也さんの出番、打ち上げで先輩にあわせない後輩をチクリとやって、ネタは 「かがや」、もちろん江戸ネタで、それを大坂大川に設定変えてる。この噺、最後首が飛んだりするのだけど、決して凄惨な噺でなくて、勧善懲悪というか、ちょっと違うか、いばりちらしてる侍がかがやにやられて、みんながスカッとする噺だから、やはり上方弁では切れ味が今ひとつに感じた。江戸時代の江戸という町の代表されるイメージをいろいろつめこんだような噺だからやはり少し無理が出るのか。

最後はたまさん、昔の裏長屋には押入れはなかった。という話は面白い。ただ、こういうことも、時代の流れとともに微妙になってきて、時代のつじつまがまわなくなることもあると。少し言いかけてたけど、「青菜」 の長屋は押し入れあるよなとか考えるのも、また楽しい。そして噺は、これもまた江戸ネタの 「三軒長屋」、で、これはライブで聴いたことは一度もないけど、音源だとかなり長い噺で、人の出入りも多くて難しそうだ。たまさん、いつものようにカットしてるんだけど、僕の集中力不足か、ちょっと噺が入りにくかった。下げ前からの展開はすごく好きな噺なんだけど、東京の寄席とかではなかなか掛からない噺なので、たまさんでぜひもう一度聴きたい。

以上今日もとても楽しかったけれども、後半の江戸ネタ二席が少し消化不良だったのが残念だ。そして、段々この会の主役は若手三人なのではと思えてきた。三席続けて勢いのある噺を聴けて、さらにたまさんとのトークもあるというのはとてもいい。来年なくなったら寂しいなと早くも思い始めている。