2017.7.8 【露新軽口噺@日本橋・太陽と月】

 【露新軽口噺】

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新治さんとお弟子さんの新幸さんの落語会、場所は日本一交差点からほど近い 「太陽と月」 というバー、実はここは新幸さんの店でもあるんだけど、黒門市場直近のエリアといい内装といい、一見かなり怪しげな店でもある。ここで数年前からお二人が定期的に落語会を開催している。いごごちがいいのかよくないのかはもうひとつ分かりにくいけれども、個性的な店であることは間違いなく、どんな落語会になるのかも想像つかないけれど、開演前にテンションが上がるのだけは確実だ。

新幸 / 煮売屋
新治 / 抜け雀
仲入り
新治 / 摂州皿屋敷 (ネタおろし)

まず新幸さんから、「煮売屋」 は声はいいけれど、もう一つメリハリがないか。旅噺のわくわくしたリズムがほしい。

続いて新治さん、一席目は 「抜け雀」、親に駕籠をかかせた、の説明を振ってから噺に入る。多分名の知れた絵師親子の噺だけど、同趣向の甚五郎もののように具体的な名前は出てこない。それがかえって噺をミステリアスにしてる気もするけれども、僕はストーリーとしてはこちらの方が好きだ。新治さん、特に構えることもなく、自然にさらっと演じる。でも、下げ前の場面で親が描いたと分かるところがとてもいい。

仲入り後は新幸さん、二席目は 「ちりとてちん」、大層なべんちゃら男と、文句いい男との対比がとても面白い。
リズムもよくて、トントンと進む。そして下げ前の 「ちりとてちん」 食べる場面の悶絶ぶりがすごい。とっても楽しい高座だった。

最後は新治さん、上がって新幸さんのことを先日普通よりはかなり早く繁昌亭昼席の出番をもらって、7日間全部ネタを変えてやり切った。自分でもできないことだと。まあ、そんなことないだろうけど師弟愛だな。
そして、二席目は予告のネタおろし。何が掛かるのかと注目していたら、おそらくこれまで4~5回ぐらいしか掛かったことのない噺ですと。で、五郎兵衛さんがしてた怪談噺だと。舞台は尼崎、噺が進んでいくと、これは皿屋敷だ。皿屋敷の噺は播州と江戸の番町が有名だけど、他にも全国にもいろいろ同じ趣旨の噺が残っていると。多分この尼崎版もその一つなんだろう。で、落語の 「皿屋敷」 は,、江戸の 「お菊の皿」 も含めて怪談的な要素よりもむしろ滑稽噺だ。でもこの尼崎編はきっちり怪談噺で笑うところはどこにもない。通常の播州皿屋敷と比べると、こちらは小菊、小萩という姉妹が対立的にからんでくるので噺は一層複雑になってくる。
そして最後は小菊の幽霊が主人を追い詰めて……。
それにしても怖かった。特に小菊の幽霊で新治さんが中腰に立ちあがって伏せていた顔を上げる場面はぞくぞくした。ネタおろしでこれとはさすがとしか言いようがない。新治さんまた一ついい噺を手に入れたな。
そして噺が終わった後に、「摂州皿屋敷」 と演題が伝えられた。

今日はとにかく 「摂州皿屋敷」 につきる。この噺がこの先どういうように変化していくのか、興味はつきない。