2017.7.7 【笑福亭たまの微笑落語会@高津の富亭】

【笑福亭たまの微笑落語会】

イメージ 1

さて今日はたまさんの古典ネタおろしの会 「微笑落語会」 爆笑ではないから微笑なんだそうだ。この会去年までは定期開催だったけれど、今年は他の会が増えたこともあって不定期に。そして今回もう1か月もない段階での緊急開催の告知。たまさんの他の会と比べるとマニアックなので、客入りもそんなに多くはないんだけど、今日は約40人。時間がなくてチラシもほとんど出回らなかったにしてはまずまずではないのか。そして今日はいつにも増して女性が多く、男性は10人もいなかった。こういう会でも女性客が圧倒する。たまさんの女性人気はますます加速していくのかな。

遊真 / 犬の目
たま / 一目上がり
生寿 / ねずみ
たま / 蛇含草
仲入り
たま / 野崎詣り

遊真さん、3回目だけどこの人も随分きちんとした落語をする若手だ。前回この微笑に出た時も生寿さんと一緒でその時のたまさんがらみの話で受ける。ネタは 「犬の目」、間もいいし表情もいい。勢いもある。近い将来もっと化けそうな若手に最近よく遭遇する。この遊真さんにしてもまだ3年目、年季明けるかどうかぐらいの若手にそういうことをよく感じる。

たまさん、まくらで書けない話を。書けないと書いてもいいのかどうかすら迷うぐらいの話だった。結構長くてネタはどうなのと思っていたら 「一目上がり」、江戸ネタで東京で何度か聴いているけれど、一昨日雀三郎さんが言っていた、まさに短くてシャレてるネタになるんじゃないかな。そんな噺だ。上方の人で聴くのは初めてだけど、たまさんもうちょっと軽くトントントンと上がっていく感じがほしかったな。

生寿さん、たまさんのまくらをいらう。太陽と北風の、北風ばかりだと。この話前も聴いた。生寿さんの言う通りだと思う。そして、たまさんの会に出た時ネタ選びで言われることで受けてから 「ねずみ」、生寿さんでは初めてだけど、子供のキャラがなんともいい。とてもかわいい。そして後半は話の展開でそれががらっと変わる。親を思う息子の悔しさがとてもよく出ていたと思う。そしてアクセントのギャグになる田舎ことばの二人の会話は爆笑だった。この噺、師匠の生喬さんがとても良かったと思っていて、生寿さんのは当然生喬さんからなんだろうけど、また違う味が出ていてなかなかだった。

たまさん二席目まくらでは、先日花丸さんと下げについて話込んだと。「堪忍袋」の下げは僕もそう思う。そして、たまさんが 「始末の極意」 や 「天王寺詣り」 や 「遊山船」 の下げが最初聴いた時分からなかったて話は面白い。僕は 「遊山船」 は上方落語屈指の下げだと思っている。 ちなみに 「始末の極意」 の下げは好きじゃない。下げにはこだわる方だけど、つまらない下げならないほうがいいとも思う。たまさんと花丸さんのそんな話てぜひ聴いてみたいな。
そこから 「蛇含草」、冒頭の餅を100個食べることになるいきさつの場面を省いているので少し違う噺になっているんだけど、これで噺はシンプルにはなっている。単に餅好きの男が食べまくってしんどくなって蛇含草を思い出して、て言う流れだ。そいてたまさんのは餅食べる場面や食べ過ぎて苦しがる場面のオーバーアクションがとても面白かった。前半省いたからこれがより強調されてる。僕は前半に本来ある二人のちょっとした諍いとかは、不自然にも感じていたので、この方がいいかなと思う。

ここで仲入り、だけど一席残しの休憩はどうも好きになれない。

最後はたまさん 「野崎詣り」、陸の上で最初の無言の所作、何かと思うと袖に隠れてキスする男と女やて。なんと粋なことで。そして、それを見に追いかけるばあさんで爆笑。でもその後の屋形船と道行く人との喧嘩は最近ほとんど聴かなくなっていたな。その喧嘩でテンション上がった後、喜六も喧嘩へ。清八にあおられていろいろするけど、結局言い負かされて清八に怒る喜六、また喧嘩。僕は野崎詣りに行ったことないんだけど、まさか今はこんなことしてないよな。来年の5月に行ってみようか。そして下げは通常のん。これもいい下げだと思う。
上方落語は当然大坂や京の江戸時代の日常がベースになっているんだけど、当時の風習が今も残っていて、そこに住んでる落語ファンの僕らなら、それに触れることができるてのは、なんとも贅沢だな。

やはり 「微笑落語会」 は今日も楽しかった。また定期開催してほしいな。どうしても新作のイメージが強くなるたまさんだけど、当然爆笑古典もたくさんある。そして今日でもそうだけど、いろいろと工夫がなされて仕上がっている。新作ネタおろしと比べると、当たり前だけどネタとしての完成度が違う。どちらも同じようにたまさんの落語だし、これからも両方楽しんでいけたらいい。

ところで、たまさんがつぶやいてた 「微笑落語会」 の雰囲気が以前と変わってしまった、てのはどういうことなんだろうか。女性が多すぎるってことなのかな。僕はそんなに変わったようにはみえなかったけどね。