2017.7.5 【古似士の会・落語と文楽一本勝負@繁昌亭】

【古似士の会・落語と文楽一本勝負】

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イメージ 2こちらは3日前、同じ繁昌亭前でのお二人

さて、梅田のにぎわい亭の後、付近の立ち飲み屋で小一時間過ごした後、繁昌亭に向かう。最近基本落語会のダブルは避けてるのだけれど、したらしたでいい会を続けて観れるのはやはり楽しい。
そして、実はこの「吉田幸助・笑福亭生喬」の二人会、関係者の方から随分前から聴いていてとても待ち遠しかった。落語と文楽のコラボというのは僕たち両方のファンにとっては余りにも楽しみ過ぎる。これまでにたまさんとかも同様のコラボを繁昌亭でやったことがあって、それも随分楽しかったのだけど、人が変わるとまずどんなコラボになるのかがなかなか想像できなくて、今日が近づくにつれて、どうも 「蔵丁稚」 やって、横で定吉の人形遣うみたいやで、とか聞いてもなかなか分かりにくかった。で、どういう層の人が来るのかと多少心配もしたものの、1Fは満員でスタートした。

幸助・生喬 / 対談・二人のコニシ
生寿 / 文楽紙芝居 『新版歌祭文~野崎村の段』
生喬 / 堀川
仲入り
生喬・幸助 / 蔵丁稚 (仮名手本忠臣蔵四段目) 文楽×落語のコラボ

まずは対談から、この二人実は本名が同じコニシマサユキ。字は違うけれども同姓同名でそれも付き合いが始まったきっかけだったと。どちらか言うと生喬さんがホスト役になり、文楽のこと、幸助さんのことをききだす。でも生喬さん話引き出すのうまいな。やっぱり芸人さんは聴き上手な人も多いんだな。そして、幸助さんが語る修行のこと人形の事を聴くといつもながら文楽という芸の時間を超越したようなすごさを感じる。そしてこの繁昌亭という落語の定席舞台にに文楽人形遣いの人が立つことにも感慨深いものがある。二人のトークを聴いていて、後半のコラボが益々楽しみになってきた。

続いて、生寿さんによる文楽紙芝居は 「新版歌祭文~野崎村の段」、紙芝居はかなりのボリュームで作画は幸助さんの奥さんの中西らつ子さん。文楽・落語関係のイラストを随分描いているのでイラストのキャラはおなじみだけど、カラーでこれだけ次々に見せられるとほのぼの感でいっぱいになってくる。あらためて素敵な絵だなと思う。そして生寿さん、多芸というか、たまたま生喬さんの弟子になったからなのか、落語はもちろん落語以外のこともよくやってる。この紙芝居も絵にあわせてしゃべっていくのはそんなに簡単にできることじゃないとおもうのだけど、とてもさらっとこなしていた。さすがだ。

そして、今日唯一の普通の落語は生喬さんの 「堀川」、この噺上方林家の家の芸ということになっていて、ほかにざこばさんとかもするんだけど、生喬さんも含めて何か得体のしれない空気がまとわりついているように感じる。一体なんなのだろうといつも思っていて、結局言葉なのかなと。特に母親の言葉は古い上方言葉なのかそうでないのか、僕が思っている江戸時代の上方言葉ともまた違うように思う。そして、「タッタっタッタッタッ」ていう駆けていく様がまた、幽霊出る時の効果音みたいに聴こえる。更に突然猿まわしが登場して噺の流れを奪っていくような展開も独特なものがある。不思議な噺だ。

そして仲入り後はいよいよ落語×文楽のコラボ、まず最初幕前に生寿さん黒子姿で登場して 「東西、東西」、幕が上がると舞台下手寄りに見台が置かれている。生喬さん登場して 「蔵丁稚」 始まる。この噺は、芝居好きが過ぎてお使いのついでに道頓堀で長々と芝居観て帰ってきた丁稚定吉を旦那が問い詰めてさぼってたことを白状させおしおきとして蔵に閉じ込める。しかし定吉はまたも蔵の中で忠臣蔵四段目を一人芝居で始めるというもの。この定吉が芝居を始めるところで幸助さんが定吉人形を持って登場する。定吉人形は中西らつ子さんのデザインのツメ人形になっている。生喬さんが定吉を語る。そして幸助さんの人形が動く。定吉は蔵の中にいることも忘れて楽しそうだ。動きがどんどん切れてくる。そして生寿さんも登場して幸助さん助けて左を遣う。舞台で人形の左を遣った噺家さんは過去にいたのかな。そして生喬さんの語りにも熱が入る。だけど落語なので、腹をすかしていたこと思いだした定吉が騒ぎ出して一転下げとなる。太夫の語りと落語のしゃべりとは全然違うけれど、人形と噺が絡み合っていく様は同じでいいものをみせてもらった。
後、残念だったのはやはり照明に一工夫ほしかった。具体的には生喬さんの顔が暗く映り過ぎたと思う。

でも楽しい会だった、生喬さんも言ってたけれど、今回は繁昌亭の公演なので落語寄りだったけれども次回はまた別の会場で文楽寄りでやりたいと。それもとても楽しみだな。
その後当日は仲間10人ぐらいで行っていたので反省会と称した打ち上げに参加。その後一人で流れて、また流れて、昼のにぎわい亭に始まってとても楽しい一日だった。