2017.6.29 【繁昌亭昼席・桂かい枝、笑福亭たま・繁昌亭奨励賞受賞記念ウィーク】

【繁昌亭昼席・桂かい枝、笑福亭たま・繁昌亭奨励賞受賞記念ウィーク】

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今日は文福さん

今日も繁昌亭昼席はたまさんがトリ、だけど午前中用があったので、仲入り後に向かうことにした。繁昌亭昼席は現在前売り¥2500、当日¥3000だけど、仲入りからなら¥1500になる。今日のメンバーは一昨日とほとんど同じだけれど、仲入り以降ならとてもお値打ちだと思う。チケット買った時訊いたら、今日はかなり入っているようで、2Fしか空いてないとか言われたけれど、実際には1F最前列が二つ空いていて確保できた。後半だけだと、顔ぶれ的にもいきなり来るで感が強くて、すぐに寄席の空気に入っていけた。

吉次 / 相部屋 (三枝・作)
生喬 / 怪談猫魔寺
文福 / 歌謡笑
たま / 山寺飄吉 (福笑・作)

吉次さん、一昨日と同じ娘さんの話から 「相部屋」、三枝・作でそれほど掛からないけど、僕は好きな噺だ。会社の同期の50代の男が二人、片方は出世していて、閑職で入院中のもう一人を見舞いに来たと言う設定。そこから意外な展開になって、最後は同部屋に入院。そこで下げ。何かいい雰囲気の人情噺だけど、三枝・作だけあってカラッとしてる。で、そこがいい。でも吉次さん新作するイメージがなかったんだけど、とてもよかった。ひょっとしてこの人が一昨日と今日の二日間で最大の収穫かもしれない。

続いて生喬さん、お化けと幽霊の違い、おなじみのまくらから 「怪談猫魔寺」、この噺、とある田舎の村でお小夜ババが亡くなって、通夜の守を若い三人でしている時、一人が近くの猫魔寺と言われている寺の井戸で猫が次々殺された話を始める。すると三人のところに猫が表れて、ババが起き上がってと、ストーリーは相当怖い噺なんだけど、もちろん落語なので生喬さんの三人の演じわけでお笑い怪談噺になる。そして、井戸から殺された猫がピョンピョン出てくるところと、最後にババが次々出てくるところ、ここが画を想像すると怖さよりも面白さが勝ってしまって、つい 「ぞろぞろ」 でわらじが次々出てくるような場面を想像して笑ってしまう。生喬さんのは今日も相当面白かったと思う。

続いて文福さん、ネタは一昨日とほとんど同じなんだけど、最前列でみてると迫力がすごい。相撲甚句から昭和歌謡、ネタをいろいろ入れながら、かい枝・たまの二人をいらって、客席はずっと爆笑と手拍子、文福さん、本当にすごい芸人だと思う。歌いまくって下がる時客席向いて扇子振りながら引っ込む。

そしてお約束でたまさん、同じように踊りながら上がってくる。そしてこれも一昨日と同じ文福さんのこと、サービス精神抜群だけど、案外切れやすくて一旦切れたらとことんいくという話、その時文福さん今日は下手から転がり出る。そして更に上手からも転がる。それを見たたまさん 「素晴らしいサービス精神です」。
お二人の息の合った間を楽しんだ後、たまさん、「今日は少しショート落語をします」。で、定番ズラリと並べて受けまくる。最後はシンクロナイズド・ドリアンで仕上げ。そして、今日は古典かと思っていたら 「山寺飄吉」 をします。たまさんの持ちネタのなかでは数少ない師匠・福笑さん作の噺だ。これはやはり今週三度のトリの中で掛けるべき特別な噺ということなのかな。あまりそういう様には思ってなかったのだけど。どうなのだろうか。
でも、噺はむちゃくちゃ面白い。嫁に会いたさに刑務所を脱走し、母子を人質にとって立てこもった男を元刑事の山寺飄吉が説得のため駆り出される。ところがこの人質の母親がとんでもなくて、更に山寺も母親に負けずむちゃくちゃで、犯人そっちのけで噺が展開していく。僕は福笑さんでこの噺を聴いたことがないので、どのあたりがたまさんの工夫なのか分からないのだけど、これ案外たまさんのオカン物のルーツに近いのではと思った。それに息子の名前はオサムちゃんだしね。まあ、大爆笑としか言いようがなかった。

昼席中入りから入るのは三回目ぐらいだけど、いつも密度がとても濃くなり満足度は高い。まして今日はたまさんトリという特別な日なので、特別濃い状況だった。今週多分もう昼席は来れないので、たまさんのトリは見納めだけど、やっぱりずっと聴いてきた人が繁昌亭昼席で初めてトリをとるというのは結構感慨深いものがあった。たまさんにはこれからまたいろんな角度から素晴らしい落語をするようになっていただきたいなと強く感じた二日間だった。