2017.6.27 【繁昌亭昼席・桂かい枝、笑福亭たま・繁昌亭奨励賞受賞記念ウィーク】

【繁昌亭昼席・桂かい枝、笑福亭たま・繁昌亭奨励賞受賞記念ウィーク】

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いよいよこの日がやって来た。去年繁昌亭大賞で奨励賞を受賞したお二人の記念ウィークで、かい枝さんとたまさんが交替で毎日トリを務める。そして火曜日の今日はたまさんが昼席初めてのトリの出番という重ねて記念すべき日だ。そして共演陣もなかなかの顔ぶれ。更に注目はたまさんが何を掛けるかということ。「ちしゃ医者」 かなと思っていたら昨日の月曜日に中トリで掛けたらしい。何かな。夏噺なら 「船弁慶」 という声もあがっていて、今週一週間たまさんがどんなネタを考えてるのか、本当は毎日来たいのだけど,そうもいかないので、来た日は思い切り楽しもうという気持ちで開演を待った。

弥太郎 / 転失気
二乗 / 写真の仇討
花丸 / 千早ふる
壱之輔 / 青い瞳をした会長さん
口上 / かい枝、たま、文福、生喬 (司会) 壱之輔
かい枝 / 青菜
仲入り
吉次 / 権兵衛狸
生喬 / 竹の水仙
文福 / 歌謡笑
たま / ペッパーラッパー

弥太郎さん、「転失気」 は先月に続いて聴くの2回目だけど、落ち着いていてはっきりした口跡で楽しかった。下げもやはりこちらの方がいいと思う。これはどなたの工夫なのだろうか。

続いて二乗さんは 「写真の仇討」、あまり聴いた記憶がないと思って調べてみたら、かなり以前に花丸さんで聴いただけだった。二乗さんのはしゃべりにメリハリがあってとても聴きやすいけれど、何か頭に筋書きが入りにくい噺だ。

次は花丸さん、ヅカ話いろいろして落語がついヅカ口調になると笑いをとってから 「千早ふる」、花丸さんでは案外聴く機会少なくて3回目だけど、ミュージカルとか浪曲とかいろいろ入っていて、とても楽しい 「千早振る」 になっている。もっと聴きたい噺だ。

そして壱之輔さん、口跡がちょとしつこいのがこの人の特徴か。「青い瞳をした会長さん」 は三枝・作の爆笑編、町内に引っ越してきた外国人をめぐる騒動いろいろ。例によって噺に笑いのパワーがある。

ここで口上、司会が壱之輔さんで、下手から生喬・たま・かい枝・文福、と並ぶ。文福さんがいろいろ面白いのだけど、対象が二人の口上は正直少し焦点がずれる。

そして今日は中トリがかい枝dさん、例によって英語小噺でピカソのん。よく受けてた。更に葬儀社での落語で笑わせてから 「青菜」、今年の 「青菜」 は、まだ6月にして早くも6回目。例年になく青菜ペースが早い。
かい枝さんのは、とても丁寧な 「青菜」 で、サラに近い客層によく受けていた。

仲入り後は吉次さん、なんとなく「がまの油」 かなと思っていたら、袴姿じゃなかった。 ネタは 「権兵衛狸」、今まで新治さんで二度聴いただけだけど、どうもよく分からない噺だ。落語はストーリーがきっちりあるのと、ただただバカバカしくて楽しいのとがあるけれども、ストーリー物で矛盾や破綻が度々感じられるのは好きになれない。ただこの噺の何とも言えないほのぼの感は好きだけどね。

次は生喬さんで 「竹の水仙」,、甚五郎伝説をいろいろ語ってから噺に入る。冒頭からとても切れ味がいい。そして、竹の水仙の花が開くことを 「水を吸い上げたから」 と説明する。これはあまり聴かないセリフだけど、この方が納得感が出てくる。売れた後の甚五郎の笑顔がいい。そして下げも少し違う。いい噺だった。

そして文福さん、前から言ってるように、こういうお祝いの席にはこの人は欠かせない。演題が 「歌謡笑」 となっているけれど、相撲甚句を始め、いろいろな昭和歌謡など、かい枝さん・たまさんをいらいながら歌いまくる。きっと本人さんも楽しいんだろうな。そしてモタレという位置もまた絶好で、きっちりと今日の主役たまさんにつないだ。

と思っていたらお茶子さんがトリの高座準備をしている時、扇子で踊りながら再登場、お茶子さん驚く。

そしてたまさんもこれを受けて扇子振りながら登場。予想通り最近よく聞く文福さんのまくら始まる。文福さんはサービス精神がすごいんだけど、切れやすくもあるというこの話、いつもむちゃくちゃ受けるんだけど、何せ今日はたった今本人が高座に上がっていたわけだから異様に受ける。そしてそこで、文福さんまたも舞台に倒れ込んで登場する。素晴らしいサービス精神だ。
まくらで盛り上がりまくって、ここから何を掛けるのかと思っていたら、「ペッパーラッパー」、なるほど、これならこの異様な盛り上がりにも負けないネタだ。たまさん、この噺は古典落語の 「くっしゃみ講釈」 の改作なので、「くっしゃみ講釈」 を知っている人は二倍面白いし、もし知らない人はこの先 「くっしゃみ講釈」 を聴いた時には、これがあの部分のとなって更に面白く聴けるのは間違いないと。たまさんがそう言うと何やらまた、〇〇商法みたいに思えてくるけど、確かに面白いのは間違いない噺だから。そして噺に入って、いきなり客席をがしっとつかまえて離さない。聴いたことある人は知っている。この噺まだまだこんなもんじゃないぞ、と。思いながら笑っていた。そして最初のピーク、チューチュートレインの件、客席から歓声が。たまさんまだまだダンスが切れているな。
で、いよいよクライマックスに。たまさん 「準備が」 と断って一旦下がる。そしてイーゼルとデザインケースみたいなのをもって登場。レディガガの曲を和訳したので歌いながらフリップめくっていく。途中フリップをめくりまくらないと追いつかなくなり高座が散らかり倒す。もちろん客席は大爆笑。

ということで、考えてみれば一番たまさんらしいネタで繁昌亭昼席初トリをつとめたのではと思う。

はねた後、繁昌亭前では、たまさん中心に女子の皆さんが写真を撮りまくる。たまさん昼席の後あまりお見送りに出てこないからみなさんなかなか離さなかった。
そしてようやく撮影タイムも終わり、それから僕たちは延々と楽しい打ち上げに突入したのでした。