2017.6.26 【出没!ラクゴリラ@太融寺本坊】

【出没!ラクゴリラ】

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さて今日は 「ラクゴリラ」、2回続けて他の会と被ったので来るのは半年ぶりになる。この4人のユニットなので、内容は折り紙付きだ。定期的に落語会をしているユニットとしては上方最強だろう。同期4人がそれぞれ違う一門で、落語の色合いもまた違う。それでもう22年目に入っていて4人の年齢も50才手前に差し掛かってきている。これから先どんな落語をこの会でみせてくれるのかとても楽しみだ。そしてこの会は当日のみ、18時半開演で、
17時から整理券配布なんだけど、17時に行くとすでに23番だった。最近みなさん出足が早い。夏場のせいもあるんだろうけど、それぞれファンの側も気合が入っているてことなんだろうか。いつもの事だけど、この開演待っている時間てのも結構楽しいんだな。

弥っこ / 犬の目
文三 / 孝行糖
生喬 / 質屋蔵
仲入り
花丸 / 電話の散財
南天 / 火焔太鼓
 
弥っこさん、最近よく前座で遭遇するけど、本当にどのネタでもきちんとした落語をする。そしてリズムもいいし、表情もいい。今日も初めて弥っこさん聴いた落語ファンがすごくほめていた。もうそろそろ前座噺でないネタも聴きたくなってきた。

文三さんは 「孝行糖」、師匠の先代文枝からは 「汗をかきながらしゃべれとよく言われた」 と。そして南天さんが今太鼓をたたいてる。花丸さん、生喬さん、仲間の話。この噺文三さんのキャラにすごく合ってると思うし、とても清々しいアホが似合う。だけど 「孝行糖♪孝行糖♪」 と歌う場面がもっと振り切れていてもよかったのではと感じた。下げについては分かりにくいかもしれないけれど、ばかばかしくて結構好きだな。

続いて生喬さんは「質屋蔵」、この噺、不本意ながら質屋の蔵に眠ることになった商品たちに、持ち主の恨みが乗り移って、幽霊になって相撲とる、という流れが面白い。ありそうで、なさそうな、そんな噺を生喬さん、きっちりと受けながら進めていく。そして、そして熊はんが旦那に次々悪事を告白する場面、これも落語によくある本筋とは関係ないけどとても面白くて、生喬さん、かさにかかってエスカレートしていく。これもとてもよかった。

仲入り後は花丸さん、先日の大師匠の先代染丸五十回忌落語会の話題から 「電話の散財」、大師匠のまた師匠二代目染丸の十八番で、大正時代に随分演じられた噺らしい。これまで花丸さんでしか聴いたことなくて、今回で4回目になるのだけれど、一番よかった。これまではストーリーが入ってきにくい印象だったけれど、今回は遊び好きの大旦那のキャラがとてもくっきりと描かれていてチャーミングだった。電話で混線した時に「話し中」と言うとつながるというのは、実際にあったような、なかったような、微妙な記憶が残っているのが僕らの世代で、この言葉が狂言まわしになって下げにもつながるのがとてもいい。今日一番の出来だと思う。

最後は南天さん、落語会の値段はお客さんが決めるという話、大きなホールの5000円超えるような会と、今日のこの会の値段との違い。確かに聴き手が好きな会に行けばいいのだけれど、ラクゴリラのような会の方が客席のまとまりというか、一体感というかそれが大きいので、また楽しさが増幅される。本当にいい会だ。
で、そこから骨董の価値は誰が決めるのか、となって 「火焔太鼓」、もうすっかり南天落語のレギュラーになっているけれど、度々聴いていて、いつも面白くて、ほめるボキャブラリーが段々なくなってくるのだけれど、そんな域までいったネタはそう簡単に飽きないし、ずっと聴き続けられるし、少し変わっただけでもすぐに気が付くと思う。

今日もラクゴリラは楽しかった。でも最近悩ましいのは、この会がいろいろとかぶるようになってきていること。言っても仕方ないことだけど、何かいつもいつも踏み絵を迫られているようで複雑だ。でも身体はひとつだからどうしようもない。この悩みは深みにはまればはまるほど、また大きくなるから始末が悪い。