2017.6.23 【月刊笑福亭たま・6月号@繁昌亭】

【月刊笑福亭たま・6月号】

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さて、今月の 「月刊たま」、注目はなんといってもゲストの南天さん、「高津落語研究会」 をたまさんと共催する間柄でもあり、僕もそうだけど南天ファンであり、かつ、たまファンでもあるという人も結構いる。ただ今日は繁昌亭なので、高津なんかよりもかなり客層の幅が広い。南天さん、それをどう考えてどんな落語をするのか、その前にネタは何を掛けるのか。この会に、いつもはいない南天ファンが勢揃いしてたまファンと一緒に開演を待った。

大智 / 寄合酒
鯛蔵 / 強情灸
たま / 浮世床
たま / 死神
仲入り
南天 / 青菜
たま / ネタおろしショート落語~ヤマカン刑事

大智さん、三回目だけど少し感じが変わってきた。まだまだ粗っぽいけど、そのラフさが個性にもつながってる。リズムも間も悪くない。今日は初めて楽しく聴けた。少しずつでもいい噺家になっていけばと思う。

続いて鯛蔵さん、最近よく聞く東京の寄席の話から客数ゼロの高座の話。よく受けていた。この人の落語はやっぱりテンポがいい。僕が聴いたなかでのベストは 「桜の宮」 だと思っているのだけど、今日の 「強情灸」 はいきった顔がいい。小さな体を大きく見せようとする様が落語的に面白くなる。

たまさん、今回の満員は南天師匠のおかげだと。そして繁昌亭昼席初心者のどこに座るかの傾向とそれぞれリピート率を分析。聴くの二度目だけどまだ分かりにくい。ただ僕の場合、8~9年前久しぶりに落語ライブに戻ってきた時は、繁昌亭夜席だったけど 「おもろない→おもろない→おもろい」 で以降にどっぷりとはまって今に至るわけだ。直感的にはたまさんの分析、的を得てるように感じるけどね。そこから一席目は 「浮世床」、床屋で待ってる時にいろいろしょうもないことで笑いを取っていく噺なんだけど、たまさん面白すぎる。鼻に扇子二本とか。本来はもっと地味に面白い演目だと思うけど、たまさんにかかるとこうなる。また聴きたいな。

続いて二席目、今日はお客さんよく入ってもらってるのにシックなネタが多いと申し訳なさそうに言う。さっきの「浮世床」 シックとは思わないけどね。そして 「死神」、これは確かにシックかな。この噺はやはり布団をひっくり返すところがキモなんだけど、先方にそこを何とか、と何度も頼みこまれて、悪魔の仕業を思いつくところで人間性が変わってしまうように感じた。そして死神に連れて行かれたろうそくの前で寿命を宣告される。でも往生際が悪い。死神もなぜか優しい。そして最後は…。たまさんでは2回目だけど、ストーリものにしては死神に感情移入がしにくかった。

仲入り後はゲストの南天さん、たまさんのこと一通りもち上げてから、「青菜」 なんだけど、今日は冒頭に庭の情景描写が入った。池の鯉が、とかで真夏の感じが強調される。南天さんの 「青菜」 はほぼ植木屋がハサミを入れているところから始まり、意に反して失敗したところに旦さんから声がかかり、あわてて植木を身体で隠す場面から始まる。これとてもいいと思っているんだけど、たまには今日の庭の夏描写が入るのも新鮮だな。他の部分でも全体的に説明的なところが多くて、丁寧でよく受けていた。今日は 「月刊たま」 とは言え、普段南天さんの落語を聴いている人もかなりいたのだけれど、当然そうでない人のための臨機応変なのか。こういう落語を聴くと、またいろいろと考えてしまう。そして 「鞍馬より~」 の件がかなりくどいのもよかった。

最後はたまさん、新作ショート落語は今月も面白かった。博多でナンパ、オーバーアクション、とか、後何やったかな。そして新作ネタおろしは 「ヤマカン刑事」、これ面白かったな。警察の中で刑事と刑事になりたい男の噺、場面転換多くて、事件が起きて、東粉浜で東玉出で、阪堺線が渋滞で自転車の方が早くて、きっとものになる。かなりいいネタになると思う。たまさんの新作ネタおろしは、今回のようにかなり完成度が高い時と、面白くても素材的でどう成長するのか分かりにくい時と両方あって、ファンとしてはどちらも先で楽しみだな。

やはりゲストが南天さんだと充実度が全然違う。高津スペシャルていう感じだ。そして最近南天さんの会も多いことだし、近いうちに逆に南天さんの会にたまさんゲストで出てほしいな。完全アウェーでもないけど、アウェー的な人も結構いる中で、たまさんならどんなこと言って何のネタするのか楽しみだな。そして前にも言ったけど、去年枚方でやって大人気だった二人会もまた実現しないかな。演者の人、自分が主役の時、助演の時、もっとサブの時、それぞれどんな高座をみせるのか。とても興味がある。