2017.6.19 【動楽亭昼席】

【動楽亭昼席】 

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先週3カ月ぶりに来てとても楽しかった動楽亭昼席、今日もすごくいいメンバーなのでやってきた。毎月1日~20日までの動楽亭昼席、やはり6席ぐらいが手ごろだし、今日のようにほとんどの人が聴きたくて、聴きたくない人が誰もいないという番組はとてもわくわくする。そしてこの顔ぶれでどんな流れの寄席になるのか。そちらの方も楽しみだった。

りょうば / 阿弥陀池
佐ん吉 / お血脈
たま / 代書
塩鯛 / 皿屋敷
仲入り
瓶吾 / 化物つかい
三喬 / くっしゃみ講釈

りょうばさん、高座に上がって最初から飛ばす、飛ばす。勢いがあってかつリズムもよくて、口跡もきれいで聴きやすい。今日も先週と同じ二列目にいたんだけど、所作も大きく見えて抜群のライブ感だった。また上手くなったように感じる。この人をもっともっと聴きたいと思った。

二つ目は佐ん吉さん、りょうばさんをどう受けるのかと思っていたら、江戸の同期一之輔さんの話を始めた。先日のNHK出演の話とか、かなり自虐的だ。でもよく受ける。そこから 「お血脈」、仏教誕生の地噺だ。上方には案外地噺少なくて、よく聞くのは 「紀州」 ぐらいだと思うけど、冒頭ではダジャレや時事ネタを織り込んでいたのが後半地獄の閻魔が登場してからは俄然スペクタクルに。一席目の勢い加速させて次につないだ。

そしてたまさん登場、今日は協会の総会があったらしい。そこから最近よく聴く、文福さんのサービス精神すごいけど切れるのも早いという話で客席大爆笑。ここまでで今日の 「派手で勢いのある高座を」十分につないでいる。で、「しゃべり過ぎた。8分で代書できるかな」 と噺に入る。たまさんの代書は、冷静な代書屋とアホな男が、かなりデフォルメされて描かれる。そして代書屋の顔が段々崩れてきて、後半遂に切れだすのだけど、今日は半ばまででおりた。今日はこの三つ目のポジションによくたまさんがいたなと思う。ここで勢いをかわすような落語が出れば流れがきっと変わってしまっただろう。

続いて中トリは塩鯛さん、今日はざこばさんの代演だ。で、「本来代演というのは本人より少し上の人が務めるものですが。」 と断りを。いえいえ筆頭弟子の代演なら十分だと思う。そして先日見舞いに行って来たら随分元気でナースステーションで飲んだらダメかと訊いてひどく怒られていたと。こんな話で客席が少し落ち着いてきた。そこから幽霊の噺をしますと 「皿屋敷」、この噺もちろん芝居として有名な前半部分に、落語で後半を加えたわけだけどいつもよく出来てると思っている。当時の作者はここまで残るなんて思っていなかっただろうに。
塩鯛さんの持ち味は力が入っているようにみえないのにきちんとかっちりしていてよく受ける。ある意味落語の理想的な受け方かもしれない。今日も楽しい高座だった。

仲入り後は瓶吾さん、兄弟子達瓶さんの話から入る。それにしても今日は出番外の噺家の名前がよく出る一日だ。達瓶さんも相当ユニークな人のようだ。そして噺は 「幽霊の噺が出ましたけれども、次はお化けの噺です。」ということで、「化物つかい」、瓶吾さんて何か見た目の感じがペットぽくてかわいいので、演じる化物がみんなかわいく見える。一つ目小僧のなんてキャッチーなこと。あまり聴く機会がないけど本当はもっと聴きたい人だ。

仲入り前後で流れが落ち着いてきていよいよトリの三喬さん、まくらなしでネタに入る。みなさん時間が押してる時とかこうなることい多いけれど、僕は噺が聴き手にグッと飛び込んでくる感じがして時間の有無に関係なくこの入り方好きだな。そしてネタは 「くっしゃみ講釈」 三喬さんでは二度目だけど、とてもいい。なぜか後藤一山でなく講釈師は実在の旭堂南左衛門の名前になっていて、その名が出るたびにざわつく。忘れのボケっぷりともう一人の怒りっぷりがエスカレートする様がおかしい。そしてお七の歌、ふつうはここはワンコーラス歌って終わりにする人多いんだけど、三喬さんは何番まで歌ったんだろうか。5~6番ぐらい、印象に残る旋律で好きな曲だな。
ガッシャーン!
終始たのしい 「くっしゃみ講釈」、三喬さんはいつものように気負わず緩めずマイペースにみせて、きっちりつくって受ける、爆笑させる。今まであまり感じなかったけれど、塩鯛さんと三喬さんてその辺が少し似ているのかもしれない。

今日もむちゃくちゃ楽しかったけれど、改めて寄席は流れだなということを実感した日となった。前半三人たまさんまでのドライブ感あふれる流れから、後半落ち着きながらも勢いが削がれることなくいい落語をきっちり聴かせる。やはり動楽亭昼席もっと通わなくては。