2017.6.18 【喬太郎独演会@西宮芸文中ホール】

喬太郎独演会】

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西宮での喬太郎さんの独演会は去年から始まった。「怪談噺」 で昼夜公演、当然通しで行ったのだけど、期待値が高かったこともあって今一つ不満が残った。まあ、僕が 「牡丹灯籠」 とかがあまり好きじゃないせいでもあるんだけど、喬太郎さんも西宮での独演会が初めてという事で少しこなれてない印象だった。なので、今年も期待と不安が半々だった。だけど今年も800人キャパは完売してるんだろう。迎える熱気みたいなのがいっぱいになった中で開演となった。

やなぎ / 青春ナイン
喬太郎 / そば清
仲入り
二楽 / 紙切り
喬太郎 / 孫、返る

開口一番は喬太郎さんの弟弟子のやなぎさん、以前東京の寄席で聴いたことあるけど、今日はなんと 「石段」 で上がってきて驚きだ。三味線は恩田えりさん、誰が言ったのか粋なことするな。そして学校寄席のこと、高校野球の事、ネタは新作で、高校の将棋部と囲碁部の生徒が女教師に告白をしあうというもので、とても面白かったけれど、なんか口調が喬太郎さんぽく聴こえたのは僕だけなんだろうか。開口一番で自作の新作てのも喬太郎さんの会らしくていいな。

そして喬太郎さん、上がってまず映画の話、「スプリング、ハズ、カム」 が7月神戸での上映を控えてるということで、広島の話、広島弁のこと、親子のこと。結構熱っぽく語ってた。でもどうせなら会場と上映日まで言った方がよかったのに。そこからいろいろと地方の食べ物の話に。秋田のおしゃれそば、青森の味噌カレー牛乳ラーメンバターのせ、で爆笑。絶対食べてみたくなる。 そしてネタは 「そば清」 だ。師匠のさん喬さんでは何度か聴いてるけど喬太郎さんでは初めてだ。噺の構成はかなり違ってるけど、上方では 「蛇含草」 になる。
喬太郎さん、そば好きの清兵衛さんがなんか楽し気でかわいい。そばが好きでたまらないのがよく出てる。
蛇含草と比べるとこちらの方がサラッとしてる。それにしても喬太郎さん、長めのまくらからネタまで終始とてもリラックスしてるのが伝わってくる。

仲入り後は二楽さんで紙切り。この紙切りはすごい芸だとは思うのだけれど、東京の寄席で遭遇する時どうも切ってる間が退屈でいけない。でも今日の二楽さんはしゃべりも楽しかった。お題を採用してもらうのには声が大きいだけじゃダメだな。よく通る声がやっぱり強いな。

そして最後は喬太郎さん、二席目もまくらたっぷり、寄席普及公演という名で、座を組んで一週間ぐらい地方を回る。そして北海道の富良野に行ったけれどスキーシーズン以外は何もない。「北の国から」も一度もみたことないので特に感慨もないと。そんな中で行った某居酒屋チェーンの話、そして昨日西脇で泊まった話から、子供の頃の夏休みの話、東宝東映の映画に行ったこと、そして田舎の祖父のところに帰った思い出。この時点で、ああ「孫、帰る」 だなと思っていた。この噺ライブで聴くのは二回目だけど、CDにも入っているし喬太郎ファンの間では有名な噺だ。お盆に孫のケンイチ君が祖父と祖母の家に帰ってくる。そしておじいさんとの日常の楽し気な風景が描かれる。ケンイチは可愛いし、おじいさんは優しいし、そんな中に笑いも入って結構受ける噺でもある。ここまでなら人情系の新作なのかと思ってしまうけれども、ある場面で噺はころっと変わって、客席が静まり返る。僕はこの場面での客席を観察するのが今日は楽しみだった。こんな振り幅の広さがやっぱり喬太郎さんの魅力だと思う。そして演題の 「孫、帰る」 は、最初は、孫が帰ってきたことだと思っていたけど、実は、孫が帰ってしまった、てことなんだと、最後は考えていた。

喬太郎さん、今日は二席だったけれど高座にいる時間がかなり長かった。「そば清」 初めて聴けたし、「孫、帰る」のインパクトはやっぱりすごかったし、今年は十分満足だ。こういう普通の独宴会を来年もやってほしいなと思う。そしてできれば昼夜公演で。