2017.6.11 【笑福亭たま・阿倍野独演会2017夏@阿倍野区民センター小ホール】

【笑福亭たま・阿倍野独演会2017夏】

イメージ 1

さて、昨日今年も開催されないと思っていたあるジャズフェスが、なんと昨日今日の両日開催なことに当日になってはじめて気づき、昨日のチケット持っていたクラシックのフィルムコンサートを飛ばしてジャズフェスに行った。一昨年まではよく行っていた楽しいイベントなんだけど、なぜか当りが悪くて途中休憩で帰ってきた。いろんなライブに行くけど、やっぱり何か月も前からチケットとって楽しみにしていたプロセスも大事なのかな、てのが昨日の感想。なので今日は当然予定通りこの阿倍野独演会へ。ゲストの鯉朝さんも楽しみだった。

慶治朗 / みかん屋
呂竹 / 近日息子
たま / クイズ
たま / 権助芝居
仲入り
鯉朝 / 街角のあの娘 (グッドエンディング版)
たま / 新作ショート落語~三十石

慶治朗さん、「みかん屋」 はゆるやかで聴きやすい口跡がいい。そして高座の全体的な印象も柔らかい。この先とても楽しみな人だと思う。それにしても兄弟子の米輝さんんとまったくタイプが違う。こんな二人を擁する米團治一門もまた楽しみだな。

続いて呂竹さん、同じ笑福亭でたまさんとは従兄の関係になると。ふと思ったけど本当に従兄だと思った人もいたのでは。そして二人の大師匠六代目松鶴の話で爆笑。これいつ聴いても面白いな。そしてそこから 「近日息子」、この噺は息子のありえないぼけっぷりが落語的なんだけど、呂竹さん冒頭のこよみの場面からそんな空気が良く出ていた。そして悔やみに来た人たちの困惑もよかった。盛りだくさんな内容で好きな噺のひとつだな。

次はたまさん、今日の入りは280人と。そして呂竹さんを受けて六代目の話、そうだな、たまさん入門した時はもう亡くなってたんだな。そこから〇〇企画〇〇社長の話をたっぷり。何度聴いても客席爆笑になる。ぱっと見普通の人なんだけど。それにしても〇〇飯の話は余りに具体的でビビった。そこから今日は新作を先にということで「クイズ」、たまさんの新作の中でも相当マニアックな噺だと思うけど、僕は好きだ。特にジョージ・マロニーとかを例えにしてありえないのではというところまでクイズの回答を突き詰めていくところがいい。ある意味地噺的に聞こえるところもあり、そんな意味でも新鮮だ。

そして一旦下がって着替えて出てきたたまさん、二席目は 「権助芝居」、江戸ネタだけど大阪弁でやります、と。田舎の素人芝居の噺なんだけど、正直落語に出てくる田舎言葉てのが少し苦手だ。江戸ネタ上方ネタどちらにもでてくるけれど、歌舞伎や浄瑠璃をおちょくって笑い飛ばすようなことと同じように自分の中で処理しにくい。しかもこの噺は権助が結局気の毒な目にあうという。でも「試し酒」 とか 「百川」 とかは好きなんだけどね。

仲入り後は鯉朝さん、この人は関西の落語ファンには心情的に一番受け入れられている東京の噺家だと思う。彦八まつりに毎年来られるし、自分が主任の時、東京の寄席に上方枠の出番つくってるしね。今日は自分の亭号瀧川は元々春風亭だったけれどそれが変わったいきさつを。東京は少人数な亭号もいろいろあってなかなか分かりにくいところもある。そして中崎町のアリとおっさんとおばちゃんの話、こういうしゃべりは大阪の人とても好きだろう。で、ネタの話になって、「僕のペコの噺聴いたことある人?」 で手を上げた人少なかったので 「街角のあの娘」をすることになった。僕は今日で聴くの3回目、こういう少しシュールで人情噺的でもある新作てあまり聴かないけれど、この噺は初めて聴いた時からやられた。しっかりしていて健気なペコちゃんのキャラがとてもいい。この次はぜひ続編も聴きたい。グッドエンディングでない方をね。

最後たまさん、繁昌亭集客委員会が明日のたまさんの発表で一応区切りらしい。たまさんのマニア・リピーター・初心者の座席についての行動の分析は、少なくとも自分が辿ってきたプロセスを考えるとかなり当たってると思う。でも僕は繁昌亭昼席は今の整理番号システムがいいな。手数料少し余分に出せばネットで買えるから。今日のこの噺は相当面白かった。「たま通信」 復活してほしいな。
そして、今日はショート落語を新作と最近のと多めにやります。いや、とても楽しかった。最近ショート落語が少し不調だなと思っていたので、久々に爆発だ。「ピエロ」 「JRアナウンス」 「神社」 「発泡酒」 そして 「見台」 のハングル。最後のはずっと忘れられない。度々見たくなりそうだ。
そこから噺は 「三十石」、たまさんのでは、客をどついた船頭がしつこくしらばっくれるところがいい。そして船唄もたまさんのは楽しい。呂竹さん、慶治朗さんも唄う。上方の若手は三十石舟唄必修だな。とても楽しい 「三十石」だったけれど、僕はよく言ってるけどこの噺ロードムービーだと思っているので、できればフルバージョンで聴きたい。三条大橋から京都名所、船の中、周りでいろんなことおこるのも含めて。めったに聴けないけど。そして船唄型の 「三十石」 が多くなってきてるので、ほとんどこの先聴けないかもしれないけどね。
それとたまさんので朝の八軒家浜の情景を描いたのは終わり方としてとてもいいと思った。

ここでの独演会に来るのは三度目、高座が高いのはもう慣れた感じだけど、腰の調子が悪い時は、このホールのなぜか座面高がかなり低い椅子がしんどくなる。椅子のスペックでいう、SH てやつだ。確かここは7月から耐震工事でしばらく使えなくなるはずだと思っていたら、10/9 ABC独演会のチラシが入っていた。そして明日の発売だ。さっそく確保に走ろう。それにしても今日も3時間強のボリュームなんだけど、まあずっと楽しいから長くてもいいかと、そういう会だね。