2017.6.5 【たまのパワーアップ落語会@動楽亭】

【たまのパワーアップ落語会】

イメージ 1

今年1月から始まった 「パワーアップ落語会」 も折り返しの6月だ。おそらく2年続けてできる企画ではないと思えるので、今年限りなのかな。しかし、どうもトークコーナーがたまさん本来の意図通りには運んでないようにみえる。で、今月は若手三人がこれまでと比べると比較的落語会にもよく登場するメンバーで、そんなにレアな感じがしない。それとゲストの春若さんについては、たまさんがプログラムで 「上方で一番真っ当な師匠」 と紹介していて、どんなトークコーナーになるのかとても楽しみだった。

たま / 五秒根問
紋四郎 / 昭和任侠伝
華紋 / 犬の目
咲之輔 / 動物園
トーク二本 / たま・紋四郎・華紋・咲之輔
        春若・たま
たま / お通夜
仲入り
春若 / 一文笛
たま / 火事息子

たまさん、五秒根問は入場時に渡されたカードにたまさんへの質問を記入し、今日なら紋四郎さんがそれを読み上げ、たまさんが次々答えていくというもの。当意即妙のトレーニングらしい。今日はなかなかシャープで面白かった。後の解説いらない気もするけど。

落語のトップは紋四郎さん、近々出演するという芝居の告知から 「昭和任侠伝」、先代春蝶さんの得意ネタとして知られる。設定はかなり古いのだけど、今聴いても面白い。こういう噺が古典になっていくんだろう。紋四郎さんテキパキとテンポよくすすめる。

二人目は新婚の華紋さん、なんだか随分大きくなったような気が。噺は 「犬の目」、うまいな。この人の落語は若くても聴きやすいというか、言葉の一つ一つがきちんと頭の中に入ってきて情景が描ける。先がとても楽しみだけど、それだけにあまり太らない方が、と思う。

続いて三人目は咲之輔さん、たまさんも言ってたように今日の若手三人はみなさん僕もそれなりに聴いている人で、咲之輔さんも悪くないなと思っていた。ネタはネタおろしの 「動物園」、どうせダメ出しされるのならネタおろしで行こうという事らしい。楽しいけど、しかし派手な 「動物園」 だな。元々派手な噺が更に賑やかになってる。もう一度じっくりと聴きたい。

ここでトーク、いままでは若手三人とゲストの師匠とたまさん、と五人でやっていたのを、若手とたまさん、師匠とたまさんの二つに分けてすると。で、まず若手から。たまさん、好きなネタて言っても難しいやろから、嫌いなネタは、という質問に、紋四郎さんは 「動物園」、理由は設定がおかしいから。確かに言われれば不思議な噺だ。続いて華紋さんが言った 「たちぎれ線香」 が嫌い、でしばらく話が続く。下げで三味線が止まるのは納得できない、。小糸はもう芸妓じゃないのだから、線香立ち切れてもやめないはずだ、と。なるほど、みなさん随分いろいろ考えてるのだな。僕は正直そこまで考えないけど、この話面白かった。

そしてここから春若さんとたまさんの対談、春團治さんに入門前から談志さんのファンだったていう話、そして米朝さんのこと、たまさんが言うだけあって春若さんの落語についての見識になるほどとうなづかされる。更に三人の今日のネタについても解説。30秒の 「動物園」 とは一度聴いてみたい。話は談志、米朝から、二代目春團治、五代目松鶴まで遡って楽しかったな。

ここでようやくたまさんの落語、「お通夜」 は何度も聴いてる。冒頭、父親が亡くなって葬式の段取りする場面から母親が可笑しくて爆笑続く。たまさん得意のオカン物だなと思っていると、いろいろ変な弔問客が通夜にやって来る。落語ファンのおっさんでまたよく受ける。そして遂に愛人登場、一緒にアメリカ行ったとか、小椋佳の歌が好きだったとか、たまさん何曲歌ったか。最後はなんか知らない歌まで出てきた。余りの速い展開に笑いながらついていくのが忙しい。ジェットコースター落語だ。できれば一度、福笑さんの 「葬儀屋さん」 と一緒に聴きたい。

仲入り後は春若さん、ジョークと言った。冗句なのかな。いくつか披露。面白かった。たまさんのショート落語、枝雀さんのSR、いろいろある。そこから米朝さんからつけてもらった噺でと 「一文笛」、この噺肉体的に痛い部分が出てくるので苦手なんだけど、春若さん、談志さんのモノマネとかも入れながらすすめる。やっぱり米朝さんぽいな。春若さんてこれまでそんなに頻繁に聴いたわけじゃなくて、「三十石はいいと思う」 ぐらいしか言えなかったんだけど、もっと聴いてみよう。今日の落語、トークを聴いていると、ぜひお弟子さんとっていただきたいなと。

たまさん最後は、「火事息子」、江戸の粋な噺をどう料理するのか。勘当した息子が10年ぶりに現れたのが火事の晩で、目塗りしてなかった蔵で番頭が手こづってるのを助けてやる。そして父母と再会するけど、全身に見事な刺青、頑なに口も利かない父親と対照的に優しい母親、初めて聴いたけどいい噺だ。東の人で一度聴きたくなった。たまさん、自分でコントみたいになったて言ってたけど、そんなことなかったと思うけどね。最後の黒紋付と10両の件、いい噺だった。

この会が盛りだくさんなのはいつものことなんだけど、今日のトークを別々にしてのは良かったのでは。全員でトークだとたまさんが忙しすぎる印象だった。そして春若さんにもうならされたし、若手三人もみなさん達者だったし、やっぱりいい会だ。来月はと思ってたら、今日先の予約入れるの忘れてた。