2017.5.23 【万歳!伝統芸能の会@繁昌亭】

 【万歳!伝統芸能の会】

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さて、6日ぶりの落語会は繁昌亭で福笑さんの会、年に一度開催する福笑さん主催の会がいろいろあって、ほぼ全部にたまさんも出てくる。で、今日は 「万歳!伝統芸能の会」 ていうタイトルで新作派が古典をする会らしい。チラシには 「くたばれ新作!邪道粉砕」 とか 「伝統守って真の芸道」 とか書いてるけど、まともに受け取る人はほぼいないと思う。要は古典をどう料理するかの会なんだろう。だって福笑さんの 「刻うどん」 と 「桃太郎」 は何度も聴いてよく知ってるから。一体どんな会になるのか楽しみだった。

喬介 / 寄合酒
福笑 / 刻うどん
あやめ / 竜宮界龍の都
仲入り
たま / 高津の富
福笑 / 桃太郎

喬介さん、まくらは正直僕にはあまり楽しくない話題だったけど、これが後で活きてくる。そして今日の喬介さんはチラシ見た感じでは、普通に開口一番のポジションじゃなくて4人の演者の一人ではないのかと思っていた。で、「寄合酒」、鯛を持ってくるところからスタート、次々にとぼけたのが登場してとてもおかしい。喬介さんのニンにとてもあった噺だけど、特に変わったところはないなと思っていたら。下げた後も喬介さん下りない。そして後ろにスクリーンが降りてくる。喬介さん 「四天王の寄合酒をやります」、まあ、4人の肉声のコラージュみたいなもんで、喬介さんが話持ちかける男の役になり、4人がそれぞれいろんなものを持ってくる。中でも「寄合酒」 なので春團治さんが頻繁に登場する。しかも録音が新しいからか声が一番はっきりしている。三代目の声が久々に繁昌亭に響き渡って結構ジーンときた。喬介さんなかなかの飛び道具だった。そしてこちらの下げはスクリーンに。爆笑!

次は福笑さんまくらで森友とか時事ネタ、最近この話よくされてて好き放題言ってるようでも決して自分のスタンスは見せてなかったけれど、今日はちょっと見えたかな。今はかなりややこしい状況にあるので、噺家さんがそういう色を出すのはどうなのだろうか。ちょっとテンションが下がった。
ネタは 「刻うどん」、もっと何度も聴いた気がしていたけど、2年前に一度聴いただけだった。もう福笑さんのは、最初の男のうどんの喰い方で爆笑だ。箸が超高速回転する。そして引っ張られた以上に逃げる。食べさしてなるものかて感じだ。そしてその間に箸で相手をつつく。「これが速射砲のようで、ちょうどボクシングみてるようで、やっぱり最強の 「時うどん」 だった。

続いてあやめさん、「竜宮界龍の都」 は 「小倉船」 なんだけど、この噺は4代目文枝から師匠の5代目文枝へと伝わった噺で、あやめという名前もこの二人の前座名だったので、自分があやめを名乗るようになった後、師匠に 「小倉船」 をつけてほしいとお願いしたところ。お前は新作やってたらいいと断られた。なので今日の企画でこの噺をネタおろしすると。あやめさんの古典は かつて聴いた、普通の 「立ち切れ線香」 や、普通の 「厩火事」 がすごくよくてもっと古典をやってほしいなと思っていたのだけど、少し前に聴いた 「厩火事」 はギャグ盛りでかなり印象が違ってた。そして今日の 「竜宮界龍の都」、はやはりいろいろ入っていて楽しい。途中で浦島と乙姫の早替りとかもあって爆笑だった。だけどこの噺はやっぱり見栄とかの切れ味が勝負みたいなところもあって、それが後一歩だったように思う。ネタおろしだから次回に期待しよう。

仲入り後はたまさん、まくらの落研ネタで爆笑。でもほんまかいな。そして今日は僕の噺が古典としては一番まともなので少しやりにくい、自分の会にゲストで出てもらう人がよくやりにくいと言ってる気持ちが少しは分かった、とも。たまさんでもそんな風に思うことあるんだな。
そこから 「高津の富」、二番富の妄想男の件が長くて楽しい。「話はこっから」、何度言ったか。でもこんなしつこさは好きだな。だけど、一応主人公である旦さんのキャラがたってなかったかな。多分意識的にしてるんだろうけど、噺の本筋に関係ない部分が脱線して拡大してとても楽しいのは、本筋がきっちりあるからだと思うのだけど。
冒頭の部分とか下げ前とか触りすぎのように感じた。

最後は福笑さん、新幹線のリクライニングの話で爆笑。一回やったろかと思うほど気持ちが分かる。客席もそんなシンパシーを感じていた。そして、おなじみパソコンの話、これもいつもよく受けてる。
で、そこから 「桃太郎」、なんと福笑さんで聴くの9回目だ。当初は聴く度に噺がエスカレートして行って、鬼ヶ島での大スペクタクルになっていって。最近はそれでほぼ定着している。活劇場面が芝居噺のようで、とてもテンションがあがる。もう 「桃太郎」 の原型を留めない。だけど今日は正直少し飽きた感じもあった。これはやはり今日の流れとかの影響もあるんだろう。でもいつまでも聴いていたい噺だな。

今日の企画、福笑さんの二席はもう完成品なのだけど、全体的にはやはりこなれ不足的な感があって面白さも少し不足気味だった。また次回に期待しよう。