2017.5.14 【岡町落語ランド@豊中市立伝統芸能館】

 【岡町落語ランド】

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岡町落語ランド、なんと今日で380回。僕がここの商店街を通って高校に通ってた頃から、少し入ったところのお寺でやってた落語会が、その後場所と名前を何度か変えながらも途切れることなく岡町で開催され続けてきた。世話役の噺家さんも色んな人が関わってきて、今は吉朝一門のしん吉さん・佐ん吉さん・吉の丞さんが交替でプロデュースしている。すると今日の番組は誰が組んだのだろうか、という疑問があって、今日誰かに聴こうと思っていた。そしたらその疑問は朝の TWITTER で解消されたのだけど、それにしてもいい番組だ。これは混むぞという予感で早めに家を出た。

弥っこ / 時うどん
たま / らくだ
仲入り
まん我 / 野崎詣り
吉坊 / そってん芝居

全席椅子席になっているのだけど、開演前まで続々と客が詰めかけ椅子送りで二列後方に追加。そんな熱気の中、開口一番の弥っこさんが登場した。
「時うどん」、吉朝一門なので「時そば」型、最初から一人で行く形だ。僕はやっぱり上方の二人で行く方が面白いと思うのだけど、一人で行く方が最初と後の対比はくっきりする。そして弥っこさん、上手くなったな。言葉のひと言ひと言がはっきり伝わってくる。

そしてたまさん、今回の出番の経緯を説明。元々佐ん吉さんプロデュースの会で依頼を受けたけど、本人のダブルブッキングでこうなったと。そして、佐ん吉さんから岡町落語ランドの動員の話があって、その時話したことを改めて説明。今日の客層は普段のたまさんの会とも違うし、かと言って地元豊中の人が多いわけでもない。ネタにひかれて結構落語に詳しい人が発掘されたのかもしれない。これがまたよく受けた。僕らはいつも聴いてるけど、たまファン以外の人には新鮮だったのだろう。そこから 「らくだ」、たまさんのは何度か聴いてるけど、根本的な設定やメインの場面の状況を変えたりしている。そして全体的にも笑いに引っ張っていってる。だから 「らくだ」 特有の空気はやや薄くなっているけど、僕は好きだな。元々のらくだがあまり好きでないこともあるけど。

次はまん我さん、今日の出番は強烈な個性とめったに聴けない幻の噺にはさまってどうなのかと思っていたけど、南光夫妻が登場する鉄板のまくらから、「野崎詣り」、祭りは終わってしまったけれどまだ聴けるか。この噺の旬はやはり短い。今年も先日の南天さんと今日の二度しか聴けなさそうだ。
まん我さん、たまさんとは対照的に、普通の古典を普通に気持ちよく聴かせる。特にこの噺は、いろいろとギャグが入りながらも野崎観音に向かうロードムービー的な噺でもあり、聴く方としても気持ちよく乗せて行ってほしいところだ。

最後は吉坊、佐ん吉さんのダブルブッキングで出番依頼されたことにさらっと触れて、いよいよ 「そってん芝居」。いま上方でこの噺かけるのは多分吉坊と文我さんだけだと思う。吉坊では、去年、一昨年と聴いていて三度目になる。面白いし、芝居ぶりも楽しいし、例の見せ場はあるし、なぜもっと皆さんやらないのか不思議なくらいだ。やはり無言でお囃子だけの髪結いの場面が難しいからなのか。吉朝さんの音源は残っているけど、動画は残っていない、てことでも希少ネタのくくりになるのか。吉坊にはすごく合ってると思う。芝居の切れ味はもちろんいいし、後半のすっとぼけた味も楽しい。そして髪結いの場面はなかなか華麗だ。
珍品で済ますにはあまりにもったいないネタだと思う。

出番とネタを見ただけでわくわくする会があって、今日はそのわくわくが全く裏切られなかった。やはりたまさん言ってたように、いい顔ぶれの会には自然とお客が集まる。「岡町落語ランド」これからも客入りのいい会でずっと続けていっていただきたい。
そしてこの会これだけ長く続いているのに、地域寄席特有のスタッフの押しつけがましさが全然感じられない会だということも書いておきたい。