2017.5.8 【たまのパワーアップ落語会@動楽亭】

 【たまのパワーアップ落語会】

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さて今日は、たまさんの 「パワーアップ落語会」、来れなかった先月から始まった5秒根問が楽しみだ。行った人に訊いてもどんな内容だったのか今一つはっきりしない。たまさんがみんなの質問に答えるという話だったけど、どんなのか楽しみだった。そしてもう一つは、約2か月前に足を骨折して休んでいた文五郎さん、この会には元々出番が入っていたのだけど、数日前にたまさんから、もちろん文五郎さんは出はります、と発表があった。案外早いなと思ったけど、落語はまだ無理なのかな。とにかくどういう形であれ、今日から復帰には違いない。
そして今日の客席は約60人ぐらいか。少し少なめなのは繁昌亭の 「はなしか宝塚」 の影響かもしれない。
まあともかく、開演だ。

たま、笑利 / 5秒根問
笑利 / カレー屋にて
文五郎 / 漫談
福丸 / 元犬
トーク / 全員
たま / 兄弟船
仲入り
岐代松 / 火焔太鼓
たま / 包丁

さて最初は5秒根問から、前回はたまさん一人でしたらしいけど、今月は笑利さんをアシスタントにして次々読み上げてもらう形になっていた。全部で10問ぐらいには答えていたと思うし、結構スピード感もあった。これ何がでるか分からないのが面白いな。「弟子は取らないのですか?」 「来ません」 てのがあったけど本当かな。
ちなみに、僕の書いた質問も読み上げられた。たまさんの答えは 「八方師匠に訊いてください」 だった。なるほど。来月も楽しみにしていよう。

落語は笑利さんから、鶴笑さんのお弟子さんで入門三年目、僕が聴くのは初めてだ。やはりパペットもするらしいけど、今日は自作新作で 「カレー屋にて」。一人でいろいろ試行錯誤しながらカレー屋をしている比較的若そうな店主の元へ突然弟子志願者が現れる。はなから断ったもののしつこさに負けて話を聴くことに。いろいろ根掘り葉掘り訊かれてその人の正体、実は…という噺。でもこの人のしゃべり独特で面白いなと思っていたら、後のトークで6~7年漫才やっていたらしい。それなりのキャリアはあるんだ。

そして注目の文五郎さん、片手に杖をついて協会の法被姿で登場、スタンディングで漫談を始めた。とにかく2か月ぶりでとても緊張していると。まあ、元気そうだ。そこから入院中の話に、でもいろいろかなりブラックだ。
ナースの話、入院患者の話、立ってるからピンとこないけど、これ少し体裁整えたら完全に新作落語になるな。まあ、当然その辺りは考えていると思うけど。ただ、できればスタンディングはまだしんどそうだったので、トークの時のようにパイプ椅子とかに座ってるほうが楽そうだった。ともあれ、出番はこなしたのでこれから増えていくだろう。

そして福丸さん、福丸さんのキャリアだとここに登場するには年季を重ねすぎてる気がするのだけど。どうしてなんだろうか。プログラムのあいさつにたまさんが書いた人間関係にそつがなさすぎるという言葉を突っ込みながら、噺は 「元犬」、初めて聴いた時からずっと思っているけれどやっぱりうまいな。それに口跡もきれだしリズムもいい。同じ京大出身でもたまさんとはかなり路線が違うのだろう。新作とかも造ってるようだし、そういうのを積極的に聴いていけば印象も変わるのかもしれない。

そして、たまさん、岐代松さん、若手三人でトーク、今月でパワーアップは5回目になるんだけど、どうもこのコーナーがたまさんの主旨から外れているように思える。僕が来れなかった前回はゲストが竹林さんで、若手三人に当日の落語について適切なアドバイスがあったらしい。今日のトークコーナーも面白かったんだけど、やっぱり主旨はゲスト→若手だと思うので。それとたまたま京大出身が二人いて、工業高校との違いを言ってはったけど、あまりしつこく言われると、同じ噺家なんだからそんなん関係ないやんと思ってしまう。岐代松さんには六代目の話もしてほしかったな。

たまさん、後輩から兄さんの会に出ると緊張するとよく言われる、と。何かすごくマニアックな客だと思われてるみたいだけど、そんなことないのにね。そして、古い新作をするとギャグとかに違和感がでることがあると言って、ネタは 「兄弟船」、何度か聴いたけど久しぶりだ。まぐろ漁船が舞台でゲイ系の噺だ、てのは覚えていたけど、下げを忘れていて、直前に思い出して「ゲッ!」 となった。でも改めて思ったけど、テーマはともかく構成はとてもよく出来た新作だ。ギャグをかまして間髪入れずに歌うことの繰り返しがとても楽しい。でも客を選ぶ噺だろう。

次はゲストの岐代松さん、先日の60周年昼席で久しぶりに聴いていいと思った。見かけより柔軟な感じの落語だった。淀川区に住んでて、十三の話、塚本の話、例の話題に少し触れて、うーんどうなんだろうか。
今日の噺は 「火焔太鼓」、もちろん最近は上方でもよく掛かる。300両で売れた意外性がこの噺のキモだと思うのだけど、店主も嫁ももっと驚いてほしかった。

最後はたまさんで 「庖丁」、この噺全然知らなかった。不覚にも新作かと。元々上方で 「庖丁間男」 と言ってた噺が東に行って 「庖丁」 になった、この流れは 「風呂敷」 なんかも同じだと。しかし、落語には間男噺てのもいろいろとあるな。当時の風俗としてかなり浸透していたのか。仕組んだつもりが仕組み返されてという落語らしい楽しい噺、上方で間男噺というと圧倒的に 「紙入れ」 が掛かるけど、こういう噺もしてほしいな。そして、スコンとひっくり返されるいい下げだとも思う。

2か月振りのパワーアップ、やっぱりこの会の主役は、たまさんやゲストよりも若手の三人なのかなと思えてきた。今年いっぱいの日程発表済みなのでまだ7回もある。内容的に2年目もするのは難しいと思うので、バシッとした若手へのアドバイスをぜひ見せていただきたいものだ。たまさん、かなりいろいろと考えてこの会やってるんだろうな。