2017.4.20 【繁昌亭昼席・上方落語協会創立60周年記念月間】

 【繁昌亭昼席・上方落語協会創立60周年記念月間】

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さて一昨日に続き今日も協会60周年記念の繁昌亭昼席にやってきた。普段は週に二度昼席に来ることはまずないので、これも特別プログラムの効果か。そして大入りだった一昨日同様今日も一階はほぼ満席。平日なのによく入っていた。一昨日がいいメンバーとはいえ、予想以上に楽しかったので、決して負けてない今日の顔ぶれ、期待は高まって開演だ。

協会60周年記念ビデオ上映

あおば / 動物園
智六 / 相撲場風景
染左 / 二人癖
旭堂南海・宮村群時 / 書生節
雀太 / 替り目
新治 / 鹿政談
仲入り
口上 /  染左 (司会)  文華、雀三郎、新治
文華 / 八五郎坊主
ぽんぽ娘 / 赤ちゃん談義
雀三郎 / 素人浄瑠璃

あおばさん 「動物園」 は何度も聴いてるけれど、今日が一番面白かった。所作が丁寧で、すごく噺にメリハリがあってよかった。でもマイクの使い方というか、四つん這いで 「パンくれ」 とか言うところマイクが近すぎて、少しやかましく感じた。

智六さん、だいたい少し変わった落語をする人だと思っているので、「相撲場風景」 もあってる印象なんだけど、今日のまくらの話は、自分の会以外ではしない方がいいのでは。客席の気が下がるし、まくら噺として落ちもなかったし。

次は染左さん、繁昌亭近くの電車の中で女性客に顔がさしているのかと思っていたら女性専用車だった、という話から 「二人癖」、終始軽快にトントンと進んで下げ、さすがのキャリアを感じさせる。

続いて、南海・群時の書生節、大正時代の袴姿という当時の学生のかっこにヴァイオリンもっていろいろ歌う。昼席で何度もみてるし、僕は結構好きで、南海さんはもちろん上方講談の先生だけど、群時さんはこのユニットと、毎年彦八に出てる、しん吉さんとのユニット 「ぐんきち」 でしかみない。普段何をされてるのだろうか。でも僕はこの人のラフな歌いっぷりが結構好きなんだ。

そして雀太さん、風呂桶でおっさんがカーリングしてた話で爆笑。で、いきなり酔っ払い、パパリコシャンシャンパパリコシャン、この歌は雀太さん以外ではあまり聴かない。「替り目」 なんだけど冒頭の部分カットで酔っ払いが帰宅したところから。で、最後は嫁に聴かれて 「お前まだおったんか。」 の半ばまでなんだけど、この間を雀太さんいろいろと膨らまして爆笑の連続に叩き込む。酔っ払いの都々逸連発、表面張力で引っ張ったり、最後は泣き出す。それはもう見事なためで、最近雀太さんどのネタ聴いてもこれぐらい面白いのは驚異的だと思う。

中トリは新治さん、もちろん今日の楽しみの一つだ。大阪府警のポスターをいろいろといらってから、私は奈良出身で、と、奈良の話に。これでネタはもう 「鹿政談」 しかない。この噺の時誰もがつかう専用まくらがあって、それがそもそも飽きてるのだけど、新治さんはそのままじゃなくて少し工夫を。そして本編も同様にちょっとずつ手を入れる。これで正直 「ああ、鹿政談」 かと思った噺が生き返る。特に奉行所内の配置を逐一説明するのは、その場所がくっきりと想像できて面白かった。あと、出雲の反論やそれを奉行がたしなめる場面が芝居がかりでわくわくした。まあ、とにかく見事な 「鹿政談」 だった。ただ、残念だったのは 「キラズにやるぞ」 で拍手がきてしまい、「マメで帰ります」 が少し聞き取りにくくなってしまったこと。難しい問題だけどね。

仲入り後は口上から、司会が染左さん、で、右に向けて文華さん、雀三郎さん、新治さんと並ぶ。
一昨日と違って皆さん、自分の入門当時の思い出話を楽しく語る。一昨日のような派手な口上も面白いけど、こういうきっちりした口上もいい。そして雀三郎さんの発生で大阪締め。「打ーちまひょ、もひとつせ、祝おうて三度」

次は文華さん、まくらで落語の歴史を語る。1680年ごろに江戸・京・大坂でほぼ同時期に発生した。そしてその元になったのが安楽庵策伝という僧の遺した笑い噺集のようなものだと。そこから坊さんの噺をしますと 「八五郎坊主」、普段それほど聴いていない人なんだけど、やっぱり達者だな。特に文句を言う甚兵衛はんがえらく似合う。もっと聴きたい人だ。

そしてぽんぽ娘さん、一昨日は色物枠で、今日は落語でも出番だ。一昨日に続いて、今日の出演者を切りまくる。しかし、これ誰が出番でもできるのは大したものだ。そこからネタは 「赤ちゃん談義」、ママ友の赤ちゃん同士がいろいろ会話する噺で、どんなオムツがいいかとかミルクの話とかが続く。何度か聴いたことあるけど面白い。何かたまさんの新作に通じるところあるように思ったけど、今日は赤ちゃんがしゃべってるという印象づけが少し浅かったのかな。それとも僕の聴き方の問題か。

最後は雀三郎さん、いつもの歌手アピールから、そして 「ヨーデル食べ放題」 を歌うとうなずく人多し。やっぱり歌手雀三郎は普通の人には認識されてないんだな。で、そこからネタは 「素人浄瑠璃」、雀三郎さんでは初めてだけど、この噺で浄瑠璃うなるのがこれほど似合う人いない。もう大爆笑だ。だけど、拍手はいらない。ひたすら笑おう。笑いはドカンときてすぐにひくけど、拍手はしばらく続くからその後のしゃべりが聴こえにくくなる。まあ、中には拍手要求するような人もいるけどね。
それはともかく、雀三郎さんのこの噺、どうして今まで聴く機会がなかったのか不思議なくらい楽しかった。旦那が番頭に説得されてそう粘らずに 「じゃあ、やろうか」 となる。最近粘らない人のを聴くこと多くて、断固としてうんと言わない旦那よりこちらのほうがいいかなと思えてきた。そしてやはり枝雀一門だから下げの寝床はなし。
これも見事な「素人浄瑠璃」 だった。

18日、20日と、60周年の昼席に二回通って予想以上に楽しかった。これはやっぱり口上が大きい。口上というと普通は襲名披露とか受賞記念とか、明らかな主役がいてすべてその人に収束するものだけど、今回はそうじゃないからフリーというか何を言ってもいい感じで並ぶ皆さんもとてもリラックスしてるように感じた。
今月いっぱい、予定はいろいろあるんだけど、もう一度ぐらい行けないか考えてみよう。
それにしても 「拍手」 だな。