2017.4.18 【繁昌亭昼席・上方落語協会創立60周年記念月間】

 【繁昌亭昼席・上方落語協会創立60周年記念月間】

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この4月は協会創立60周年記念ということで、繁昌亭昼席の出番は日替わりになり、基本1か月間で全員が出演するという話が聞こえてきたのは1月2月ごろか。その後少しずつ出番が発表になり全部出そろった時に来たいと思ったのは4日ぐらい。で、結局今日と明後日20日のチケットを買った。客入りは日によって違うようだけど、今日は開演前1Fは満員で補助席も出ていた。いいメンバーだと思う。口上も含めてとても楽しみだった。

記念ビデオ上映
弥っこ / 子ほめ
治門 / 田楽喰い
銀瓶 / 宿題
ぽんぽ娘 / メイド漫談
笑助 / 鉄砲勇助
かい枝 / 三十石
仲入り
口上 /  銀瓶 (司会)   岐代松・福笑・かい枝
岐代松 / 紙入れ

最初にスクリーンが降りてきて喬介さん制作の記念ビデオ上映、懐かしい人もいろいろ出てきた。

そして弥っこさん、確かついこの間年季明けだと思っていたら、やっぱり昼席出番初めてらしい。吉弥さんのお弟子さんだけど、口跡きれいだし表情豊かだしいいと思うけど、息継ぎが少し粗く感じた。

次は治門さん、昨日のグランプリ予選に続いて二日連続だ。昨日は残念だったけど、今日の 「田楽喰い」 も気持ちよく聴けた。これからもっと注目していこうと思う。

銀瓶さんあがって、「大入袋の出る200人まで後8人です。どなたか8人連れてきてください」やっぱり演者の人は大入袋が出ると気持ちが違うんだな。そして、大阪のおばちゃんの話でわかせてネタは「宿題」
昼席にぴったりだ。とてもよく受けていたけど、銀瓶さんのは父親があんまり深く考えてなさそうなのがいい。

続いてぽんぽ娘さん、メイド衣装で登場し客席盛り上がる。この人あまりにも下ネタに走られると少しひくことあるけど、漫談の中のネタはとてもシャープだと思っている。やっぱり浅草で、そして大須で鍛えられてるのは伊達じゃないってことかな。今日の出演者を別のものに例えて片っ端から落としていくのは小気味がよかった。

そして笑助さん、笑瓶さんのお弟子さんで東京在住と思っていたけど、今は吉本の住みます芸人で山形にいる。で、今日も山形から5時間半かけて来て出番が15分だと。でも僕は以前何度か聴いた時、きちんど会話を積み上げていくような口調が分かりやすくていいと思っていた。今日の 「鉄砲勇助」 もまたしかりだった。

中トリはかい枝さん、この人も三日前に 「島之内寄席」 で聴いたばかりだ。新幹線の奥さんとかおなじみのまくらから 「三十石」は寺田屋の浜から。今日はお女中の件が今ひとつ受けなかったけれど、舟唄で盛り返す。この噺本来は長いので、最近こういう構成が多いけれど、ぼくはロードムービーだと思っているので長く聴きたいな。

仲入り後は口上から。銀瓶さんが司会で、右に向かって岐代松さん、福笑さん、かい枝さんと並ぶ。
かい枝さん繁昌亭オープンの時から10年経って、序列が9人しか上がっていない、で爆笑。なかなかいい出番にならないわけだ、と。そして銀瓶さん岐代松さんを協会噺家で唯一甲子園の土を踏んだ男、と紹介。客席にどよめきが起きるも、高校の吹奏楽部としてだった。最後は福笑さん、繁昌亭のギャラの話とか経費の話ばかりして、銀瓶さんから 「もっと昔の思い出話をしてください」 と言われるも無視して下世話な金の話で受けまくっていた。
実に福笑さんらしくて楽しかった。そして口上最後は福笑さんの大阪締め、「打~ちまひょ、」

次の出番は岐代松さん、聴く機会が少ないのだけれど、何か今日は口上のテンションがそのままなのかえらく気合が入ってるように思えた。そして豆腐屋の女将が間男する噺、これなんなんだと思っていたら長い小噺だったようで、そこから 「紙入れ」、新さん引き気味で、女将さん一層積極的なのがよかった。

そしていよいよたまさん、今日は確かにいつもの落語ファンもいくらかはいたけど、大半はたまさんを知らない客席、そして口上で今日の主な出演者は顔を出している。更にたまさんの後はトリの福笑さん、普通なら決して楽な出番じゃないんだけど、たまさんなら別に問題なくクリアすると思っていて、この時間の限られた出番をどういうように構成するのかにとても興味があった。たまさん、上がってすぐ恩狸さんが8人連れて来てくれたので大入袋が出ることになった、と。そしてぽんぽ娘さんの出演者ネタを後半出番の人の分を口上ですることにしていたけど、やらなかったので今やります、と、ぽんぽ娘さん呼び込む。そして、残りの人を気持ちよく落とした。
そこから今日はショート落語ベストシリーズ、炊飯器とかドリアンとか避難訓練とか、おなじみのが次々出て大いに受ける。そして今から落語しますけど、僕の持ち時間は後5分しかありませんので、どこでも切れるのをします、と。これは 「バーテンダー」 に違いないと思った。時間自在で絶対受けるもの。予想通り始まって、酔っ払い客のベロンベロンぶりですぐに客席をつかんで離さない。そして、二人の木村のくだりはきっちり抜かずにした。「男前といえば…」 を繰り返すたびに客席の笑いが大きくなる。大いに受けてここで 「バーテンダー」 ですと演題言っておりた。「カルアミルク」 のところも今日のお客さんに聴いてほしかったけどな。でも、今日の高座で間違いなくたまファンはまた増えたと思う。

そして最後は福笑さん、期待したけどやはりたまさんのことには触れず。そういう師弟なんだろう。
福笑さん、森友問題をしゃべった後、この話題はまだ当分まくらで使えそうだ。福笑さんの時事ネタまくら面白いから。でも好き放題言ってるように見えても、笑いに昇華させてるだけで、主義主張は感じられないようになっている。だからみんな笑えるんだと思う。
そしてなんと突然、「今日は、猫の恩返しという、ネタおろしをします」、えーっと思った。ネタおろしをする時に公言してする人とどちらか言うと黙ってする人がいて、福笑さんは後者の人だと思っていたので驚きだった。
それにしてはとてもよくまとまった爆笑噺で、さすがとしか言いようがなかった。
内容は書かないけど、政治家や歌舞伎役者や幽霊が出てくる噺だった。福笑ファンの人はすぐにどこかで聴けるのではと思う。

ということで、協会60周年記念の繁昌亭昼席、今日は期待以上に楽しかった。で、最初に書いたように僕は明後日もまた行くのだけれど、今日の話題としてネタ貼り出しの画像を置いておく。寄席や落語会のネタ出しでこれだけきっちりした寄席文字はなかなかみれない。書いたのは今日の楽屋番の小梅さんらしい。これも一つのサービスだと思うけど、それをサービスと感じれるのはある程度落語会に通っている人たちだというのがとてもよかった。

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