2017.4.17 【若手噺家グランプリ2017・予選第3夜@繁昌亭】

 【若手噺家グランプリ2017・予選第3夜】

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4月は繁昌亭で毎週月曜に 「若手噺家グランプリ2017」 の予選会が開かれている。僕は元々第4週のチケットだけ持っていて、そして決勝に行くつもりだった。だけど、1週、2週と行った皆さんの反応をみているとやはりとても面白そうで、すでに完売していた今日のチケットも、染八さんがまだ持っているということでお願いしてやってきた。雨がかなり本降りにもかかわらず、繁昌亭前にはたくさんの人が詰めかけなかなかの熱気だった。
そして出番順は事前に抽選で以下のように決まっていた。この順番の有利不利てかなりあると思う。
でもともかくそんなこんなで第三夜はスタートした。

審査員あいさつ / 団四郎、花団治、鶴二

雀五郎 / 初天神
染八 / 浮世床
呂竹 / 江戸荒物
治門 / 替り目
鞠輔 / 兵庫船
眞 / あなたも痩せられる
仲入り
三語 / 桃太郎
小鯛 / やかん
染太 / 魁!学習塾
大智 / 煮売屋

竹林 / 出演者インタビュー
結果発表

まず初めに今日の審査員登場していろいろ説明。今年の参加資格は4~18年目で70人中40人がエントリー。予選の制限時間は8~10分でオーバーしても足らなくても30点のマイナスということだった。

いよいよスタート、でも僕の本命候補の雀五郎さんがトップになってしまった。トップは誰でもキツイと思う。

で、雀五郎さん、鉄板の 「初天神」なんだけど、テンポが速い。これ明らかに速すぎるよ、と思っていたら、この噺のキーになる 向いのおっさんの 「ちょっと待った!」 で受けて、そこからいつものペースになってきて、後半は雀五郎さん独特の間で爆笑が続いた。そして前半はみたらしだけに絞って、後半いかのぼしを入れたのは構成の妙で大正解だったと思う。

続いて染八さんで 「浮世床」、何度か聴いているけれど今日は一段と声が大きい。そして字を読みにくいおっさんが無理して読む件はリズムが良くていつも面白い。少し冒頭の声大きすぎるかと思ったけれど、これぐらいの方がよかったのか。

次は呂竹さん、「江戸荒物」 は「ナイマス、ナイマス」 とか「ワッチデゴザンス」 とか奇妙な江戸弁が意外に呂竹さんに似合っていて面白かった。

そして治門さん、「替り目」 は今日のネタの並びの中では有利な気がする酔っ払い噺、冒頭少し固いかなと思ったけど直ぐにいつもの感じになってきた。終盤にちょっとアクシデントがあったけどその拾い方がうまかった。でも師匠連の審査員はこういうのは評価しないのかな。僕はこの中では治門さんいいと思ってる。

続いて鞠輔さん、インタビューでも触れてたけど、以前から師匠そっくりで型にはまりすぎてる印象だ。ばさっと崩せばいいのにとか思ってしまう。

次は眞さん、「あなたも瘦せられる」、前から演題が気になってた新作ようやく聴けた。4キロ痩せたい男が処方してもらった薬で見た夢でやせるのだけど、人によって夢の内容が随分違ってみたいな噺。面白いし、眞さんのキャラに合ってるしよかったと思う。

仲入り後はこういうコンテストに結構強い三語さん、相変わらずクサいのだけど、「桃太郎」は通常の下げの後につけた一展開がよかった。この辺りがコンテストに強い要因かな。

そして小鯛さん、この人の「やかん」 聴くのは2年ぶりぐらい。その頃からよかったけど、今日はまた一段とレベルが上がっていた。根問ものの江戸ネタで、上方ではほとんどする人いないと思うのだけど、今日の小鯛さんはこのネタのある意味キーになる表現を変えていた。あの部分があってこその 「やかん」 なのかもしれないけれど、先入観のない上方で聴かせるには今日の形の方がすっきりする。魚の名前の根問で大いに受けて、「やかん」の根問から川中島合戦の講釈場面にはいるここも色が鮮やかに変わって見事だった。で、さげでスッキリ。

次は染太さん、この人も三語さんと同じでクサいタイプだけど、噺は塾もので客席を教室に見立てる。そして後半はフリップ芸が登場、よく受けていた。

最後トリは一番キャリアの浅い大智さん、本来は文五郎さんのエントリーだったけど、怪我で出れなくなった代演だ。「煮売屋」、以前聴いた時よりこなれてたけど、やはりこの中に入ってもまだまだ若いと感じた。

僕は本命が雀五郎さんで対抗が小鯛さんと考えていたのだけれど、高座を聴いて1位2位逆になったかなと思っていたらその通りだった。それだけ小鯛さんが圧倒的だったということだろう。

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こういう結果で、今回はこれまで3度ともほぼ前評判通りの人が残っているように思う。来週の第4夜もあるけれど、このままいくと6/20の決勝は相当激しい争いになりそうな気がする。去年のたまさんのように大本命もいないと思えるし、どちらにしても来週も楽しみで仕方がない。