2017.4.7 【鈴本・昼の部】

【鈴本・昼の部】

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昨日の鈴本・昼の部も相当よかったのだけど、はねてから上野公園で花見して、その後こちらの友人と合流、吉祥寺のなんともいい焼鳥屋経由で井の頭公圓の夜桜見物から、下北沢のジャズバーというコースで楽しく過ごした。そして今日気持ちよく目覚めて確認すると、鈴本・昼の部の代演になんと馬石さんの名前が。こういう突然の代演でとても聴きたい人の名前見つけるのは本当にラッキーだ。そんなことで今日もいいメンバー、みなさん今日は何を聴かせてくれるのか、楽しみは尽きなかった。

一猿 / 一目上がり
喬の字 / 初天神
ストレート松浦 / ジャグリング
左龍 / のめる
文生 / 転失気
楽一 / 紙切
馬石 / 金明竹
小さん / 長屋の花見
のだゆき / 音楽
歌之介 / 爆笑龍馬伝
仲入り
ダーク広和 / マジック
彦いち / 熱血怪談部
文蔵 / 夏どろ
ホームラン / 漫才
喬太郎 / 死神

一猿さん、声が大きくて聴きやすい。「一目上がり」 は前座噺なんだろうけど、上方ではほとんど聴くことがないので、結構新鮮だった。前座としてきっちり後につなげた。

そして、昨日に続いて喬の字さん、「初天神」 なんだけど、噺の中では、お祭りに行く、となっていたのが少し引っかかる。でも子供はかわいかった。

ジャグリングのストレート松浦さん、昨日と少し内容が変わってた。こうして10日間の出し物くんでいくんだな。

左龍さん、「のめる」 はもちろん上方の 「二人癖」 なんだけど、内容はほとんど同じ。そして左龍さん今日も突き抜けて楽しそうだ。このひと関西で受けると思うんだけど。喬太郎さんと兄弟会とかどう。

次は代演の文生さん、初めてだけどかなりのお年にみえる。そして短い小噺いろいろ繰り出すんだけど、またなんとも味がある。ネタは 「転失気」、噺を大げさに膨らませて受けに持っていく感じだ。

楽一さんは紙切り

そして馬石さん、いきなり妙な表情で上下振ってしゃべり出した、と思ったら、「金明竹」か。変わったスタイルだな。でもこの噺、馬石さん関西出身だから違和感ないな。でも多少ある方がいいのかな。どちらにしてもこの噺は基本江戸落語のものだと思う。馬石さん冒頭で客席の動揺を誘い、一気に立て弁へ。うまいな。

次は小さんさん、今日は 「長屋の花見」、やっぱり春にはこの噺聴かないと。でも昨日とは違う噺だけど、語尾にビブラートがかかって、やっぱり志村けんに聴こえる。悪くないんだけどね。

のだゆきさんは昨日とほとんど同じネタ。

そして仲入りの歌之介さん、今日は龍馬の噺、といっても昨日同様に龍馬と関係ないギャグがポンポン放り込まれる。二日続けて聴くとすっかりこのタイミングが体になじんできて素直に笑えるようになる。〇〇のものまねとか長嶋の話、いろいろ織り交ぜながら、龍馬がゆく。

仲入り後はダーク広和さんのマジック、昨日はわざと失敗したのかと思っていたけど、昨日まで二日続けて失敗したと言って、見事なカードマジック。どこまで本気かわからない楽しさ。そして今日は見事なロープマジックも披露。やっぱりすごい人なんだ。この人もこうやって10日間の出番にメリハリつけていくんだな。とても楽しかった。

続いて彦いちさん、聴いた気になっていたけど実は初めて。「熱血怪談部」 怪談サークルの顧問が体育会系の熱血先生というミスマッチ感がまずいい。そして次々に登場する幽霊的な存在を熱血先生が次々貶めていく。
古典の 「化物使い」がモチーフかとも思うけれど、のっぺらぼうの件が爆笑だった。また聴きたい人だ。

そして文蔵さん、これ 「夏どろ」 でいいのか。どうも調べると 「置泥」 ともいうらしい。で、上方では 「さかさま盗人」、そして 「打飼盗人」 ともいう。一つのネタに東西で4つも演題がある噺はそんなにない。「さかさま盗人」 以外はいわれが分かりにくいので 「さかさま盗人」 に統一すればいいのに。押し入った強盗がそこに住んでる男の貧乏ぶりに同情して逆に金とか渡してしまう噺、文蔵さんのは立場が徐々に逆転していく様がおかしかった。
  
昨日大受けだったホームラン、今日はトリ前に登場。左の人が〇原に似てるという話から、クスリネタ、そしてオリンピック、今日も自在にわかして爆笑に叩き込む。この人たちなら普通10日間で何本ぐらいのネタ掛けるのだろうか。てことで、客席は余裕をもって喬太郎さんを迎える態勢になった。

最後に喬太郎さん登場、今日は 「死神」、喬太郎さんでは初めてだけど、聴いてるととても喬太郎さん的な噺で、初めての気がしない。て言うか何を聴いてもほぼ完全に仕上がった状態なんだけどね。この噺元ネタがグリム童話という説もあって、とてもよく出来たサスペンスフルな筋立てになっている。喬太郎さんそれを、怖がらせたり、爆笑させたり、ドキドキさせたり、客席を自由に操る。問題の布団動かす場面ではなかなかの緊張感も。
もう怖いものなしだと思った男に落とし穴があって、でも抜け道もあってどうなるのか。で、下げはこうなる。聴いた事ある人はわかるだろうけど、てことは喬太郎さん、これはトリ専用の下げなのか。

東京遠征3日で末廣亭と鈴本を丸々二席ずつ、まあ堪能したんだけど、今回の収穫は歌之介さんと彦いちさんかな。もちろん他には前からいいと思っていた人改めて感心したけど。そして喬太郎さんの古典二席たっぷりもよかった。落語以外ではやっぱり漫才、ホームラン、笑組、ニックスといったしゃべくりの爆笑系が続々聴けてとてもよかった。大阪は漫才が本場みたいにいわれるけれど、それは吉本や松竹の劇場のことであって、僕ら落語ファンが普通に落語会に通っていてこんなに楽しい漫才に遭遇することはほとんどない。わざわざNGKとかに行かないと聴けない。そんな意味でも東京の寄席システムはやっぱり練り上げられた伝統がある。できれば年に2~3回は通いたいところだ。