2017.4.6 【鈴本・昼の部】

 【鈴本・昼の部】

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さて、昨日は結局昼の部開場から夜の部終演まで、末廣亭にこもり続けたわけだけど、今回の東京訪問のメイン目的は今日明日のここ鈴本、昼の部トリの喬太郎さんだ。そして今日の喬太郎さん以外のメンバーもなかなかの顔ぶれ、12時開場予定ということで、11時10分ごろに着けばすでに7~8人が並んでいた。その後続々列は伸び11時40分ぐらいに開場した。このように臨機応変に早期開場してくれるところは並んでる側からすればありがたい。頑なに開場時間を守るところもあるけれど、早い時間から並んでる人のこと考えれば、開場できる状況になっていれば開場していただきたいなと思う。
まあ、それはともかくトリの喬太郎さんに向けて一丸となってスタートだ。

小はだ / 道灌
喬の字 / 鴻池の犬  
ストレート松浦 / ジャグリング
左龍 / 鈴ヶ森
南喬 / つぼ算
ホームラン / 漫才
白酒 / 新版三十石
小さん / たいこ腹
のだゆき / 音楽
歌之介 / 遊び心を持ちましょう
仲入り
ダーク広和 / マジック
白鳥 / 座席なき戦い
文蔵 / 目薬
正楽 / 紙切り

小はださん初めて、何か元気が感じられない。前座はやっぱりそれが一番と思うのだけど。

喬の字さん、さん喬一門だ。ネタはなんと 「鴻池の犬」、以前さん喬さんが、大阪ではとてもできない、という話を聴いて残念に思っていたので、今日聴けてよかった。鴻池の江戸店から犬をもらいに来るという設定はそんなに無理は感じなかった。下げも通常とは違う。上方のはあまりいい下げと思わないので、こちらの方がいいかもしれない。

続いてストレート松浦さんでジャグリング、何度か観ているけれどいいな。こういう色物があるから東京の寄席は楽しい。

そして左龍さん、今日はさん喬一門が続く。この人初めて聴いた時、顔の第一印象がすごく強かったのだけど、噺を聴くとなかなか細やかでいいなと思った。今日は「鈴ヶ森」ということで顔とも合ってるかな。でも表情も楽しくてしゃべりも聴きやすくて、間抜けな泥棒の子分で爆笑。でもオカンは出てこなかった。(たまファン限定:崇禅寺馬場と基本同じ噺)

南喬さん、何度か聴いてるけど何かいい雰囲気のベテランで、ネタは 「つぼ算」。東の人で聴くの初めてだ。
筋立ては上方とほとんど同じで、南喬さんのは番頭が驚き、うろたえ、困惑し、段々壊れてくる様がおかしい。で、下げは少し違うのだけど、僕は上方の 「思うツボや」 の方が好きだな。

続いて漫才でホームラン、こちらの寄席で何度も聴いてるけど、とてもテンポのいいしゃべくりでいつも爆笑とってる。今日のネタはと思っていたら、テレショッピングやカタログショッピングのはなしで受けまくる。でもこれひょっとして南喬さんの 「つぼ算」 にかぶせたネタなのか。分からないけどそうだとしたら益々すごいコンビだな。

そしてお待ちかねの一人白酒さん登場、花見の話、東京の盛り場の話から他の三か所の寄席をボロクソに。そこからネタは、激しい田舎言葉で始まったけど、これは石松代参じゃないか。後で調べたら 「新版三十石」というらしい。受けまくってた。田舎をネタにした噺東西ともよくあるけれど、僕はそれが落語だと思っているので、いつも大笑いしている。歌舞伎や浄瑠璃をいらった噺いろいろあるのと同じだと。

次は小さんさん、初めてだ。ネタは 「たいこ腹」、幇間とは、という専用まくらみたいなのがあるけれど、これは東西同じのようだ。でも東の若旦那は鍼を二本打っただけでとっとと逃げてしまうので、噺は西のが面白いかな。そして、小さんさんはどうもしゃべりが志村けんに聴こえて仕方なかった。

のだゆきさんという比較的若そうな女性の音楽ショー、ピアニカとリコーダーをつかっていろんな音マネや演奏、うまいし、何かしゃべりがシュールな感じもして独特だ。売れそうな気がする、というか、すでに売れているのか。

そして仲入りは歌之介さん、何年か前に初めて聴いて、新作の評判は聴いていたのだけれど、僕には合わないなと思っていた。だけど今日聴くと、ギャグの放り込み方やしゃべりの独特のリズムが身体になじんできてかなり面白かった。小ネタの激しい羅列みたいな構成だ。

仲入り後はダーク広和さんでマジック、失敗したりするんだけど、ネタなんだろう。でも面白くていいおじさんキャラで、。いかにも東京ぽい芸人さんだ。

続いて楽しみだった白鳥さん、「座席なき戦い」 は、まぐろの頭・5番アイアン・山手線、でつくった三題噺らしい。山手線の車中で起こるありえない出来事、そこにまぐろの頭と5番アイアンがからんでくる。大爆笑だ。白鳥さんのセンスしか感じられないような三題噺だった。

次は文蔵さん、半年前に東京に来た時、たまたま末廣亭の襲名披露に行くことができて、その時聴いた 「二番煎じ」 が絶品だった。今日は 「目薬」、少しバレっぽい噺だけど。この出番で掛けるのにはちょうどいいか。よく受ける。意外に器用な人でもあるんだなという印象だった。

紙切りは正楽さん、何度みてもすごい芸だ。

そして、いよいよ喬太郎さん、まくらほとんど振らずに噺にはいる。「井戸の茶碗」だ。少し前に大阪で、歌うバージョンを聴いたばかりだけど、今日はどうなんだ。まあ、どっちでもそれなりに楽しいけど。どうやら歌わない方のようだ。爆笑の新作改作や楽しい色物が続いた今日、きっちりと古典で締める、とかいう気はないのかもしれないけれど、とにかく噺は佳境に入っていく。で、今日気がついたのだけど、歌うバージョンも歌わないバージョンも基本的な構成は同じなんだな。歌う方はいちいち歌とギャグで状況説明をしてる。通常バージョンは何度も聴いてるんだけど、初めて歌う方を聴いて直後にこちらを聴いてよく分かった。どちらも同様に清兵衛さんは正直なだけじゃないし、こういう改作を自在にできるのが喬太郎さんの魅力であり、またすごいところだと思う。
そう言えば最後の方に、忖度も登場していたな。後 「仏を買ったが金を買ったつもりはない。また、金で金を買えるはずもない」 という高木のセリフ好きだな。

今日は期待以上のいい寄席だった。そして明日もほぼ同じ顔触れだ。中に何人か代演に人もいるけれど、さて誰が出てくるのか。それも楽しみだ。ということで、はねた後、上野公園に花見に出かけたのでした。