2017.2.22 【智丸の伝新有楽vol.5@千林・伝楽亭】

【智丸の伝新有楽vol.5】

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今日は、今まで来たくて来れなかった智丸さんの会、千林の伝楽亭に行ってきた。ここは谷町線千林大宮と京阪・千林駅のちょうど中間あたり、おそらく日本で唯一土日限定でアマチュア落語の定席となる小屋だ。で、最近はプロの落語会や講談の会も開かれている。賃貸マンションの1Fで決して広くはないけれども、普段常設のテーブル等を取り払って三十数名の来客だった。そしてゲストは大阪に一週間滞在中の浪曲玉川太福さん、エアコンも切るほどの熱気の中開演だ。

智丸 / 御挨拶
智六 / 相撲場風景
智丸 / 桃太郎
太福 / 清水次郎長伝・石松代参  曲師:沢村さくら
仲入り
智丸 / 蕎麦道拷問

まず智丸さんが挨拶、今日は兄弟子の智六さんが都合で先にあがると。

てことで智六さん、いきなり今年の1月1日にお母さんが亡くなった話から。8時に梅田で用があると言いながら延々とまくらは続く。そして相撲の話になって、相撲ネタだな。なんだろう、と思っていてもまくらは終わらない。
かなり時間が経過して、ようやく「相撲場風景」が始まった。ジャジャージャー、の場面が余りにも有名なので、他に目が行きにくいのかもしれないけど、冒頭のやかましいおっさんとか、定点観測的になかなか楽しい噺だと思う。智六さんかなり個性的で印象に残る人だな。結果的には半ばで下りた。

続いて智丸さん、「智六兄さんは8時梅田には間に合わない模様です」、と。そこから鉄の話、南森町の喫茶店撮り鉄・小梅さんの写真に智丸さんが詩をつけたのを公開しているらしい。一度行ってみなくては。
で、ネタは 「桃太郎」、やはりこの人の大阪ことばはとてもいい。少しウエットだけど何か身体全体から醸し出される雰囲気に引き付けられる。こういう語りの人は上方落語の中でも少ないと思う。訊けば生粋の大阪町中の人らしい。そして、この桃太郎、父親のキャラがいい。これも智丸さんの語りの為せる技か。

次はいよいよ太福さん、昨日の岡町に続いて二日連続だ。智六さんと同期の縁で東京で二人会やって、その流れで今回の大阪一週間になった、と。「石松代参」 は石松が次郎長の代理で四国金比羅に出向く噺。三十石船の枚方あたりから須磨の浦まで、地名を次々語っていくところの立て弁的な気持ちの良さがいい。そして帰りは八軒家からのまた三十石の中、お国自慢が始まる。こっちはそれぞれの国の侠客の名前をずらりと並べる。かなりたくさん並べる。こういう場面では自然と拍手したくなる。それも浪曲の魅力だ。今日は昨日と違ってストーリー追っかけるというより、気持ちの良い流れをたっぷり聴かせてくれた。さくらさんの三味線も今日はあまり角がない。

仲入り後は智丸さん、この会では最後に必ず新作を掛けるらしい。演題は「蕎麦道拷問」
噺家修行中の八丸、一門には卒業試験があったが、うどんの食べ方でしくじって破門になる。しかし、仁鶴さんのモノマネ久々に聴いたけどうまいな。大師匠だもんな。そこからうどんの食べ方の稽古のために入ったうどん屋でそばを出されて、そば帝国の逆鱗にふれて、ラーメンマンも登場して、赤いきつね緑のたぬき、そばムチ、そばの糸、そばあばぁ、シモンマサトで「泳げそばがき君」、そして最後に、わんこそば大食い大会で優勝する八丸。
もう終始笑いっぱなしで、アバンギャルドな噺が続く。次々繰り出すリズムが、何か福笑さんの新作に近い感じがした。とてもよかった。これでネタおろしなら驚異的だと思っていたら、さすがにそうではなかったらしい。

智丸さんも太福さんもとてもよかった。そしてこの会、次回は4/12らしい。できればまた来たいな。若いけどいろんな武器をもってる智丸さん、先が楽しみだ。そしてやはり若手の人は本人の会に行かなくてはその人の持ってるものがきちんと分かりにくいのを改めて痛感した。

それから、この会は毎回打ち上げがあるということで、僕にしては珍しく参加。楽しい時間を過ごしたのでした。